乙女ゲーム? 何処かで聞いたような?
婚約破棄後の第三者の目線で書きました。十人目です。
僕の名前は、ディオン・ラグルスです。
伯爵令息しながら、騎士団で仕事をしています。
ここは、僕が居た世界と違うみたいです。
前は地球に住む 日本人でした。
子供の頃、アニメで見た北○の拳 ケン○ロウに憧れました。
服が破れる筋肉に衝撃を受け、自分も筋肉で服を破りたいと思い、ムキムキマッチョを目指しました。
鏡の前でのポージングチェックは、日課で欠かしません。
鏡で広背筋を見て思います。広背筋は、素晴らしいです。
腹筋?おまけです。
グ○ップラー○牙の異常発達した打撃用筋肉の鬼の貌。
ちょっと羨ましいです。
勉強し知識をつけ、部分トレーニングを良くしました。
トレーニングをしてないと、禁断症状が出始め、旅行中でも気は抜けませんでした。
歯磨きと同じで、しないと気持ち悪いからです。
俗に言う、習慣病です。
後、自分に会うプロテイン探しで沼に、よくはまりました。
反復練習は、基本です。
勿論、大会に出てました。
友人に頼み 「○番! 切れてる! バリバリ!」と声を掛けて貰っていたことは、いい思い出です。
7つのポージングがあり、その中でも
ラッド スプレッドのポーズが大好きでした。
一番初めに教えて貰った事もありますが、
因みにポージングですが
① 両手はグーを作り、骨盤から脇腹に刺し 手首を立てる。
② 両手の甲を上に向けるよう 肘からひねっていきます。
③ 背中を広げると同時に肩のボリュームを出します。
更に、綺麗に見えるコツですが、
拳と肘を一直線のラインになっています。
良い形を作る事で 背中を押して意識も深まります。
もし、ポージングが上手く出来ない原因は広背筋の神経未発達です。常に意識し、筋肉を動かす事で神経を鍛える事が出来、なお且つ解消できます。
えっ!? ポージングは、もういいですか?
後6つありますが??
異世界なら、ゴリマッチョが、沢山いると思ってましたが、実際には居ませんでした。
何故なら筋肉を付けすぎると、動きに問題が生じるとの事です。
確かに前世では、素早く動けない、物陰に隠れきれない、水中では沈み、エネルギー消費がめっちゃ早い、等々問題が沢山ありました。
その中でも一番の問題は、自分の肩に触れ無い事です。
何故なら、上腕部と前腕部の筋肉がぶつかり合い、
そのせいで1人で服を脱ぎ着できません。(介助必要!)
首元のボタンをとめられない。自分で襟も直せない。
スーツは、絶対に1人で着られない!のが当たり前でした。
まだまだあります。
床に直接、座れない。→後ろに転がる。
背もたれのある椅子に座らないと、上半身が筋肉で重いため。
シートベルト。→息苦しい。
運転席ならまだ何とかですが、助手席では、確実に窒息します。
又、筋肉のせいで身体が以上に硬いために、前の席から後部座席に物を渡せません。
日本人とぶつかる。→「ソーリー」と謝られる。
外国人に間違われる。ハグ○ットとかシュ○ックとか呼ばれる。
どっちもマッチョではないが、「大きい」という共通点だけで色々なあだ名が付けられた。
胸ポケットにiPhoneを入れておく。→胸筋が勝手にiPhoneを操作して無差別に電話をかける。
満員電車には、乗れない。→乗客の視線が痛いです。
パンパンな車両にマッチョが入ってこようとしたら、「えっ!まじか…」って言われた。
飛行機も辛い。→エコノミー席は地獄でした。
更に、辛いのは自分だけではなく、エコノミー席で並び合う隣人にとっても地獄のフライトでした。
後、「マッチョなのに」と良く言われました。
たとえば、瓶のフタをあけられないと、
「使えねえな…!!」くらいの勢いで残念がられました。
思い出すだけでもまだまだあります。
仕事上、筋肉で動けずに死亡では、騎士失格です。
残念ですが、ゴリマッチョは諦めました。
そんな僕ですが、この世界で、彼女が出来ました。
シェルビー・レクストン子爵令嬢です。
因みに、顔面強面の第二騎士団長の娘さんです。
いずれは婚姻しなければと、思ってましたが
もう少し後でもと、のらりくらりと交わしていたのです。
ですが、流石に両親から
「いい歳なんだから、いい加減にしなさい!」と、言われてしまい、更に縁談話を持ってきたと聞かされ、
その上、相手の女性は、上司の娘…。
どう断ろうかと思ってましたが、会ってびっくりです。
騎士団に来ていた迷子の女性でした。
訓練所入り口で、キョロキョロしていた為、声を掛けた令嬢でした。
他の令嬢達とは違い、節度のある態度や対応してくる女性でした。
前世では、筋肉を語り合う仲間は、沢山居ましたが彼女は、居ませんでした。
前世での友人の彼女は、
「その筋肉なに使うの?」
と恋人から小馬鹿にされたことがあると言ってましたが、僕からすると
「あたしと仕事どっちが大事なの?」
と言われるぐらい不毛な質問です。
そういう次元で筋トレしていません。
その友人の彼女ですが、一緒に写真に写ると華奢に見えるとの事で、良く写真を撮った記憶がありますが、筋肉の映り方が気になり、撮り直しの要求や、SNSの投稿を禁止した事。
今では、良い思い出です。
話しを戻しますが、彼女の事です。
手作りクッキーを作ってくれました。
ちょっと失敗したのもありますが、嬉しいです。
刺繍で、イニシャルを入れた、ハンカチーフを貰いました。
かなり、嬉しいです。
前世では、プレゼントやお土産と言えば、プロテインでした。それ以外貰った事が無かったので。(服だとサイズがすぐ合わなくなる事が多かったので)
本気で嬉しいです。
同僚に、お洒落なレストランを教えて貰い、彼女を食事デートに誘いました。
食事に高タンパク低カロリーで、タンパク質200グラム(大皿に大量の肉)を食べないと!(基本、料理名で呼ばない。)
と気にする事は無くなりましたが、
好きな物を好きなだけ食事出来る事が、
前世では無かったので罪悪感がハンパ無いです。
前世では、栄養にうるさかった気がします。
疲労回復には、ビタミンEを!とか、
摂取しても排出されるビタミンCは、沢山とる!とか、
サプリメントとプロテインは、ビッフェ状態でOK!など。
タンパク質150グラム(卵 10個)が、分解出来ずにおならが臭かった事もありましたが、それはナイショです。
そう言えば、彼女の弟の友人で ヘラルド子爵令息?だっけ?
剣と魔法の練習に付き合った時に
「術式装備! エレメンタルフォース!」「属性付与! アイスジャベリン!」
とか叫びながら剣、振り回していたよね。
何でも、剣を通して魔法を放ちたかったみたいだけど?
デバイス魔法?とか言ってだけど、意味わからないし、
そんなこと出来るのかなぁ?
何だか魔法では無く、気合のような?気がするし…。
それに、先輩騎士 誰もやってないけどな?
もしかしたら彼、転生者かも知れません。
良くわからないけど…。ゲームの知識なのかなぁ?
話しが合わなそうなので、あえて聞いては、無いけど。
放置で、まぁいいか。
彼女の弟君も
「面白い友人でしょう?」と言って笑っていたし…。
あれ? 面白い友人で、いいのかなぁ? 面白い…?
本人、至って真剣だったような気が…?
弟君 友人は、選んだ方が良いよ。
今日は、彼女とデートです。
卒業パーティーのエスコートが、出来なかったお詫びも兼ねてます。
同僚に聞いた可愛らしいカフェで、お茶をしながら、彼女の話しを聞いてます。
「エラン王子様 王太子になれるのかしら?」
婚約白紙の話しですね。 騎士団でも今、話題です。
何でも男爵令嬢が、この国の第一王子様筆頭に、男性数人を逆ハーレムにしたらしい。
更にその王子様が、婚約者に婚約破棄を宣言したとか。
王太子が、定められて無い為、派閥争い(マウントの取り合い)が起こる事必死です。
それにしても、女性が男性数人を侍らすとは…。
何処かで聞いたような? 話し…?
確か、前世の妹の携帯ゲーム?で、乙女ゲームだったような?展開。
聞き流していたから、よく覚えて無いけど…。
そんな話しだったっけ?
自分に関係ないので、よしとしよう。
彼女の話しに合わせ、お茶を飲みながら
「一部で、派閥の主導権争いが起こりそうだね。」(細マッチョ)
「ええ あり得ますわね。」
「そうならないように、何組か婚約の組み直しが、あり得るかな。」(細マッチョ)
「でも…。」
「第一王子様の婚約者が、白紙になったからね。婚約していない令嬢で、釣り合いの取れるとなると、かなり年下の令嬢しかいないからね。そうなれば、必然的に…。となるよね?」(細マッチョ)
「…。」
「多分だけど、派閥内だとしたら宰相のご子息のお相手だった侯爵令嬢が、最有力かなぁ?
後、第一王子様の側近候補者達、全員組み直しするかもね?
男爵令嬢に、現を抜かしたんだから。自業自得でしょ?
まぁ、廃嫡にならずに、組み直しで済みそうだし。」(細マッチョ)
「相手のご令嬢、今からやり直しするのは、大変ですわ。」
「あーっ そっち? 流石に令嬢が、かわいそうかなぁ?
でも、必要な事だし。」(細マッチョ)
「…。」
「?」(細マッチョ)
「政略結婚でしょ? だからこそ信頼関係を築くには、時間が足りないですし…。」
「そうだね。…何か心配?」(細マッチョ)
「レクストンは、中立派ですが、ラグルス伯爵は、第二王子様の派閥でしょ? その、少し心配で…。」
「ああ そうだね。心配? 大丈夫だよ。僕は、中立派寄りだからね。
団ちょ…シェルのお父上や、総騎士…シェルのお祖父様が、中立派だから、僕の立ち位置も中立派に見られてらからね。
もしかして、婚約組み替えの心配かな?
僕達は、大丈夫だよ。あれは、第一王子様の派閥だしね。
それに僕が爵位を継げば、中立派になる予定だしね。」(細マッチョ)
安心させたくて、彼女の手を握る。
「大丈夫なの?派閥の鞍替え?」
「総騎士団長は、無理でも、団長位には、なりたいからね。
今迄の流れでは、残念だけど中立派しか、団長になれないからね。そうとなれば、鞍替えするでしょ?」(細マッチョ)
「騎士団は、実力主義ではないのですか?」
「実力も必要事項だけど、騎士団での派閥と言うか?
総騎し…シェルのお祖父様の派閥が、あるんだよ。騎士団の中でね。
因みに、文官も派閥もあるんだけどね。
その中で、実力も必要だし、統制力とか、収集能力とか、まだ他にもあるんだけど、それを踏まえても、派閥がものを言うんだ。騎士団全体の統制が、とれてないと不味いからね。」(細マッチョ)
「騎士団は、派閥の関係性が余り無いものだと思ってましたわ。」
「上に行けば行くほど、色々あるんだけどね。」(細マッチョ)
「色々大変ですわね。」
「ほんとだよ。」(細マッチョ)
「でわ、そんな大変なディオン様に… はい。あーん」
笑顔で、ケーキを口の前に差し出して来たね。 うん。
ちょっと恥ずかしい。 前世でもしたことないんですけど。
可愛い彼女の悪戯でしょうか?
笑顔で、「あーん」を受けます。
もぐもぐ。 美味しく感じるのは、何故でしょう?
これが、前世でのリア充でしょうか?
是非、仕返しをしなくては…。
こう見えても前世の僕、理系ですからね。
脳筋じゃありませんよ。
そしてリア充ですよ。 爆発しませんからね。
彼の名前を出さずに何処まていけるか?と頑張りました。
因みに、知り合いの知り合いで、マッチョ様に話しを聞いて書いてます。が、ポージングまで披露して下さいました。時間、かかりました…。ありがとうございました。