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To non heroes,or the reserve forces.  作者: 青海老ハルヤ
4/4

写真

前書き書く必要ない気がしてきた。

まあ楽しんでいってください。

 家で呑んでいたら、急に窓の外が明るくなった。5階だから車じゃないし、妙に色とりどりだ。


 花火か。酒のせいか思考が遅い。


 カーテンと窓を開けてベランダに出た。厚着してるとはいえこの気温はさすがに寒い。


一際大きいのがパッと散った。どーーん!と芯に響く音が遅れて聞こえてくる。


……。


 体がブルっと震えた。窓を閉めてさっさと寝室に行く。


 少しだけ笑った。苦笑なのかどうかは自分でも分からなかった。



〜§〜



 学校に行くと、もうほとんど揃っているというのにしんとしていた。もうみんなに知れ渡っているようだ。


 急にガラッとドアが開いて先生が入ってきた。メガネを外して教卓に置いた。真面目な話のサインだ。要件は分かっているけど。



「みんな揃ってるか?うん、もうみんな知ってるみたいだな。とりあえず席に着いてくれ。ちょっとこっちでもバタバタしてるから、なるたけ早く話しときたい。」



 ガラガラとイスのこすれる音も今日はもはや心地いい。とにかく音が欲しかった。感情の一切ない音が。



──だから来たと言うのに。



「昨日。守谷が亡くなった。午後5時3分だそうだ。静かに逝ったと聞いている。」



「仲良かったやつには辛いかもしれないが、葬式は家族だけで行うらしい。コロナだから仕方がない。」



 女子が泣いている。女は泣かすなって言ったのは誰だよ。マジで。



 そのあとは亡くなった時の話とかしていた。最高にどうでもよかった。苦しむ話とか聞きたくもない。


 その日の授業はとんでもなく長く感じた。やっぱり来なきゃ良かった。




 家に帰ってLINEを開いた。なんかクラスで手紙書いて出そうとか言ってるらしい。死んでるやつに何を馬鹿なことを。届くはずもない。



 お前もどうせいらないだろ、と。



 俺も大概だったようだ。



 ふと窓の外を見た。10月だと言うのに花火がなっている。フラフラと立ち上がって窓の外を見るとマンションでギリギリ隠れて見えなかった。


 普段なら絶対にこんなことしないのだが、急いで靴を履いて道路に出た。マンションの隙間からギリギリ見える。鮮やかな何色もの花火。



 上から見下ろすのはどんな気分なんだろうな。


 何故かその時は疑問に思わずそう思っていた。



 ポケットからスマホを出して写真を撮った。最新のスマホの性能はその一瞬を完璧に捉えていた。



〜§〜



 花火はあの大きなやつで終わりだったらしい。ボリボリと背中をかいて布団の中に潜り込んだ。と。



どーーん!



 最後にもう1個あったらしい。気の迷いか急いでベランダに出た。もうパラパラと花火が消えていく。


 スマホはその瞬間をギリギリ捉えていた。パソコンに取り込んでふたつの写真を見比べる。


 笑った。今度こそ腹の底から笑顔になった。


 こんなに笑ったのは久しぶりだった。

面白かったら評価よろしくですタンタカターン

酒飲んだことないから描写むずかった。

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