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ダーク・プリンセス  作者: ノリック
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「始まり、そして旅立ち」1 奪還4


 ウィングエッジの商店街のリルクントン材木店の前の通り。ニッシュはミシェルの無事をただひたすら願いながら、リーンと共にミシェルの父、ジョニーの到着を待っていた。


「大丈夫だ、ミシェル。ミシェルのお父さんが君を助けてくれる……」


 ニッシュは夏の星空の下、夜でもまだ暑さの残る中ミシェルを案じていた。


「ニッシュ。大丈夫よ、ミシェルは強いわ。ちょっとやそっとじゃ何てことないはずよ、きっと大丈夫」


 リーンもミシェルの無事を祈っていた。親友であるミシェルに、どうしても無事でいてほしいのだ。


「リーン、君だけでも帰ってもいいよ。もしかしたら、危険な目に合うかもしれないし……」


「ニッシュだけ置いていけないわ、あなたさっきまで気絶していたのに。ミシェルのお父さんにニッシュも頼まなくちゃ」


 ニッシュは「そう――か」と思い悩んだ。とその時どこからか音が聞こえてきた。


 ブロロロロロロッ……


「あっ、あの車じゃない」


白いワゴンカーが、ウィングエッジの商店街の向こうからこちらへやって来た。そのワゴンカーはリルクントン材木店の前に止まる。車の中から左の後部座席からビルが、右前の運転席からジョニーが降りてきた。


「ニッシュ君、待たせたね」


「ミシェルのお父さん!」


 ジョニーは大変だね、よく頑張ったよと労いの言葉を掛ける。白いワゴンカーの後部座席から降りてきたビルが、ニッシュに声を掛ける。


「ニッシュ、姉ちゃんでも闘って勝てない相手だったんだ、しょうがないよ。それもウッドレイピアを使ってだろう?かなりの達人だぜ、そいつ」


「ビル……」



 そしてビルはリーンにも挨拶する。


「リーンさんこんばんは、何でここに?」


「リーンが家族で食事をしてきたら俺が倒れていたところに出くわしたんだ。リーンは介抱してくれた」


「そうよ、もうニッシュがリルクントン材木店の前で倒れていたからもうビックリしちゃって……ところでミシェルは大丈夫かしら……」


 皆がミシェルを心配する中、ジョニーが決意を表明する。


「ミシェルは、必ず助け出す!」


 ジョニーは言葉にして、娘を思う。


「ジョニーさん、こんばんは。大変な事態になりましたが、私たちに出来る事があれば言ってください」


「ジョニーさん、気を付けてね」


 リーンとシェーンの父と母も一大事に出来る事があればと言ってくれる。


「お姉ちゃん、大丈夫よね。ミシェル、助かるよね」


 シェーンもミシェルを心配している。リーンは「シェーン、大丈夫よ」と言って聞かせる。


 ジョニーは、ニッシュに持ってきた装備を見せた。


「ニッシュ君、この装備を持ってきたよ」


「これは……!金属製のレイピア!」


 ニッシュは本格的に闘いをするのだという事を思い知らされる。


「ああ、凄い武器だよ。ニッシュ君がリルクントン材木店でウッドレイピアを借りたって言っていたけれど、それは返さなくちゃな……今日の武器は、金属製のレイピアだ」


 ジョニーはそれと、闘いに行ったらジョニーが矢面に立ってニッシュとビルはサポートに回る事、ニッシュは特に防具を付けていないので闘いには最新の注意を払う事、各々が自分の身は自分で守る事を告げた。


「じゃあ今からミシェルを助けに行く!ビルとニッシュ君は後部座席に乗ってくれ」


 ジョニーは白いワゴンカーでミシェルの〈電話〉から発信されている位置情報を頼りにサントモス山の麓の森の中へと向かうところだ。ジョニーが運転席、ビルとニッシュが後部座席に乗る。


 リーンはそんな皆を心配する。


「じゃあ、皆気を付けてね」


「ああ、リーンちゃんも気を付けて帰って、また会おう」


 ブロロロロロロッ……


 ジョニーは車をサントモス山の麓の森の中の方へと走らせる。




 ブロロロロロロッ……


 ジョニーとビルとニッシュが乗っている白いワゴンカーは、サントモス山の麓の森の辺りまで来ていた。ジョニーは辺りを見回す。


「――この辺りからは、車では通れないな。車を置いて、ここからは歩きだ。ミシェルの〈電話〉のGPSを頼りに進んでいく」


 ジョニーが白いワゴンカーを停め、車から降りる。ビルとニッシュも車から降りた。


「ミシェル、こんな森の中に連れていかれたのか……」


「大丈夫、姉ちゃんは無事なはずだ」


 ニッシュがミシェルを心配する。ビルも姉は大丈夫と言うが内心心配していた。


「さぁ、この金属製のレイピアを持って、歩いていこう」


 ジョニーは白いワゴンカーから金属製のレイピアを取り出し、自身が持つ分の他にビルとニッシュにも渡した。三人は金属製のレイピアを持って森の中へと歩みを進める。


 ジョニーは森に何か跡を見つける。


「――これは、荷車か、馬車の類の跡だな。この向こうにミシェルの〈電話〉のGPSの反応もあるし、この跡を辿ろう」


 三人は車輪の跡を辿り、サントモス山の麓の森の中へと向かっていく。


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