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ダーク・プリンセス  作者: ノリック
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「始まり、そして旅立ち」1 ミシェルのデート7


(ニッシュ、あの時デザインのいい練習着が欲しいって言っていたわよね……なら、)


 年配男性の店員さんと話をしていたニッシュに、私が「ねぇ、ニッシュ」と呼びかける。「うん、なに?ミシェル?」と問いかけてきたニッシュに、私が答える。


「あのティーシャツなんだけど……」


 私はさっきのティーシャツを指差してニッシュに見てもらおうと思った。すると年配男性の店員さんが話し出す。


「ああ、そいつか!デザインがいいんでうちに置いてるんだ。嬢ちゃん、目の付け所がいいねぇ!そいつは五百ガルでうちの店では安い方だ。レイピア術っていう武術のデザインが施されてるんだ」


 豪語する年配男性の店員さんだがそれに伴った商品に、私は(うんやっぱりいい商品なのね)と確信する。


「ニッシュ、この商品どう?」


「ああ、なかなかいいな。レイピア術のデザインだなんて凄くかっこいい。生地も着やすそうだし」


 ニッシュも気に入ったようで、手に取ってまじまじと見ている。


「兄ちゃんも気に入ったか。俺はやらないんだが、レイピア術は見ててスカッとするわな」


 そう年配男性の店員さんが言うので、私達はこう言った。


「私達」「俺達」「レイピア術をやっているんです」


 年配男性の店員さんは驚いて言う。


「なに⁉あのハードで激アツのレイピア術をやっているってか‼そいつはスゲェ!これはサービスしなくちゃな!」


 と年配男性の店員さんは興奮気味にテンションが高くなった。


私はニッシュにそのティーシャツを見つけてから決めていたことを言ってみる。


「ねぇ、ニッシュ……そのティーシャツ、ニッシュにプレゼントしようと思うのだけれど」


 ニッシュは「え、でも」と言うが、私は話し出す。


「ニッシュ、あの時の事思い出して。ニッシュ、ジェイクにデザインのいい練習着がレイピア術のモチベーションも上げるって言われたって言ってたでしょ」


 すると、ニッシュは「ああ、あの時の」と思い出したようだ。私は続けて言う。


「だから私、そのティーシャツ、ニッシュにプレゼントするわ」


「でもミシェル、いいのか?」


「何言ってるの、ニッシュ。ニッシュだって私に銀色のイヤリングプレゼントしてくれたじゃない」


 と私は顔を振り銀色のイヤリングを揺らめかせる。星を模った銀色のイヤリングが、キラキラと煌めいた。


「それにニッシュに約束したじゃない。私がデザインのいい練習着をニッシュにプレゼントするって」


 ニッシュは「う~ん」と考えてから言葉を口に出した。


「それもそうだな、ミシェルにプレゼントしてもらおうか!」


「決まりね」


 話がまとまり、ニッシュからレイピア術がデザインされたティーシャツを受け取り、私は年配男性の店員さんを呼んだ。


「店員さん、このティーシャツくださいな」


 年配男性の店員さんは目を輝かせると、勢いよく喋り出した。


「へい!お買い上げですね。安い商品でも、うちはデザインがいいからね!そのうえレイピア術をやっているとあっちゃあ、たくさんサービスしないとな!値段はこの商品これ以上安くできないから、なにサービスがいい?」


 と年配男性の店員さんが言うが、私はこう言った。


「ごめんなさい、お気持ちは嬉しいのですが、私これからニッシュとデートで、あまり荷物は持ちたくないの」


「分かってるって、嬢ちゃん、兄ちゃん」


 すると年配男性の店員さんが、店の奥からゴソゴソと何かを持ってきた。


「これなんて、どうだ」


 それは二体のフィギュアのようなミニチュアの人形だった。しかもレイピア術のフィギュアのようで、レイピア、防具であるヘッドガードやボディガード、靴までレイピア術の全てがミニチュアの人形に収まっている。


「へぇ、かわいい」


「よくできてる。これなら俺も欲しいな」


 年配男性の店員さんは得意げにしていた。顔がニヤニヤしている。


「これを嬢ちゃんと兄ちゃんに一体ずつあげるぜ」


 私は喜んでニッシュと共に言った。


「ありがとうございます‼」


「おうよ!」


 感謝の言葉に年配男性の店員さんも素直に応えてくれた。


そして私はニッシュにこう促した。


「ニッシュ、このティーシャツ、着ていかない?」


「うん?そうだな……着てみるか!」


 私はニッシュにレイピア術がデザインされたティーシャツを渡した。ニッシュは着替えるためカートンショップに拵えられた試着室に入った。


(ニッシュにきっと似合うだろうなぁ)と想像して私は待ち遠しくなっていた。


シュッ


ニッシュが試着を終え、カーテンが開いた。


 レイピア術で戦っているイラストが、ニッシュの胸元にキレイに収まっていた。


「もう、どこからどう見てもレイピア術をやっている人のティーシャツね」


 ニッシュがくるっと一回転すると、後ろにもレイピア術をやっているイラストが描かれている。武道館でもこの格好でいれば映えることだろうな。


「へへっ、ミシェル、いいかな?」


「とってもいいわ、ニッシュ!」


 私とニッシュは二人で和気あいあいと二人の時間を過ごしている。この時間がいつまでも続くといいな。


「じゃあ嬢ちゃん、五百ガルでいいな」


「はい、店員さん五百ガル」


 年配男性の店員さんから促せれ私は五百ガルを払う。そしてニッシュにこう言った。


「お腹が空いてきたわね、ニッシュ、カートンショップで食事しましょう!それからそのティーシャツ着ていきましょうよ」


「そうだな。このティーシャツ着ていこうか。それとカートンショップでお昼食べるんだったな。よし行こうかミシェル!」


 私達はカートンショップ巡りの最後にお昼を食べに行った。



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