6. 〖泉の狩人〗
更新が遅くなって申し訳ありません。
なんだあいつ。あいつが水の塊を撃ってきたんだよな? やっかいだな……こいつたぶん、スケルトンよりだいぶ強い。
こいつが泉から出てこれないってんならこのまま逃げるのもありか? ……せめてステータスくらいは確認しておきたいな。
また水塊が飛んできた。今度は二発同時だ。俺は〖鋼化〗を使わずに回避した。水塊がさっきまでいたところに着弾する。
よし。これくらいの速度だったら十分避けられる。さすが敏捷特化のコボルドだ。
「ぎゅばぁ」
何かが水面から大口を上げて飛び出してきた。なんていうか、すごく口がとがっている魚だ。口には鋭利な歯が並んでいる。
俺は急いで跳び下がった。その魚の大口が空を切る。
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種族:プーリーフィッシュ(E)
状態:通常
Lv:7/15
HP:19/24
MP:23/28
攻撃:23
防御:13
魔力:26
敏捷:10
特性スキル:
〖魚鱗:Lv2〗〖熱感知:Lv1〗
耐性スキル:
〖水属性耐性:Lv2〗〖飢餓耐性:Lv2〗〖毒耐性:Lv1〗
通常スキル:
〖アクア:Lv2〗〖噛みつく:Lv3〗〖引きずり込む:Lv1〗
称号スキル:
〖泉の狩人:Lv1〗
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Eランク! こいつやっぱり強い。つーか、俺が特化している敏捷こそ上回っているものの、ほかの数値は全部5,6倍以上ある。短剣と〖鋼化〗によるステータス補正があればいけるか?
逃げるのも手段ではある。こいつの攻撃を〖鋼化〗なしに食らえば間違いなく即死だ。だけど。敏捷では勝っている。攻撃も通る。絶対に勝てない相手ではないんだ。どこかでリスクは負わないといけない。
「エアッ!」
俺は短剣をふるう。思ったよりも浅い。特性スキル〖魚鱗〗の効果なのか、実際の防御の数値よりも防御力が高いように思える。
「ぎゅばぁ」
プーリーフィッシュが跳びはねながら泉に戻っていこうとする。一閃、二閃…三撃目を入れようとしたところで、プーリーフィッシュが泉に戻った。途端に動きが速くなる。
……〖敏捷:10〗と言ってるけど、実際にそれだけ早く動けるのは水中だけみたいだな。水の外だとその半分くらいしかなさそうだ。
これならいけそうだな。水中にいたらあいつは〖アクア〗を撃ってくることしかできない。〖アクア〗が俺にあたることはまずない。あれなら避けられる。水上で動きが鈍るプーリーフィッシュの〖噛みつく〗なんてまず食らわない。
問題は〖引きずり込む〗か。多分水中に〖引きずり込む〗んだろうな。〖鋼化〗状態でも呼吸は必要だから、万が一水中に連れ込まれたら終わりだな。
よし、〖引きずり込む〗を警戒してヒットアンドアウェイを繰り返そう。
そう考えてるうちに〖アクア〗が飛んできた。一、二、三つか。よし、問題ない。〖アクア〗がは多少数が増えたって対応できる。
「ぎゅばぁ」
プーリーフィッシュが再び跳びはねてきた。また大口を開けている。さっき対応されたのに同じ手段できたのか?
歯を避けて、カウンターを取ろうとしたとき、突然プーリーフィッシュが跳びはねた。完全に宙に浮いたその巨体は放物線を描いて俺の真上に落ちてくる。押しつぶそうってのか。さすがにひたすら〖噛みつく〗だけで仕掛けてくるわけないか。
なんにせよ、チャンスだ。
俺は膝をついて短剣を上に向けて構えると〖鋼化〗を使った。
真上を向いた刃めがけて、プーリーフィッシュが落ちてくる。短剣の刃がやすやすとその体に入っていく。
「ぎゅばぁ!?」
プーリーフィッシュが困惑の声を上げる。こいつにしてみれば、あたりをうろついていた小物を押しつぶそうとしていたんだろう。ところが、今こいつは刃が刺さっている部分だけで全体重を支えている。痛いなんてもんじゃない。逃れようにももがくたびに傷口が広がっていく。
その関係は俺が〖鋼化〗状態でじっとしているおかげだ。まあ、〖鋼化〗しているから、俺も指一本動かせないんだけどな。
二本足で立っていたら倒れてしまったかもしれない。でも、〖鋼化〗の前に俺は膝をついていた。おかげで両膝と両足、計四本で俺とプーリーフィッシュの重さを支えている。おまけに、短剣が刺さる位置はプーリーフィッシュの重心となるようにしっかりと考えたから安定感はばっちりだ。
おっと、やっと短剣から抜け出せたのか。とはいえ、出血量も多い。プーリーフィッシュはもう虫の息だ。
俺は〖鋼化〗を解除すると、ゆっくりとプーリーフィッシュに近づいた。短剣を構えると、勢いよくその目に突き刺す。
[経験値を37得ました。]
[〖コボルド〗のLvが1から5に上がりました。]
おおう、一気に上がったな。さすがEランクモンスターだ。経験値が随分と多い。
[特性スキル〖忍び足〗のLvが1から2に上がりました。]
[通常スキル〖鑑定〗のLvが1から2に上がりました。]
[対象物を〖鑑定〗で調べられるようになりました。]
[通常スキル〖鋼化〗のLvが1から2に上がりました。]
お? レベルアップでもスキルレベルが上がるのか? ラッキーだ。 使い倒さないと上がんないと思っていた。〖鑑定〗と〖鋼化〗のレベルが上がったのはラッキーだ。こいつらものすごく便利だからな。どう変わったのかしっかり確認しておかないと。
[称号スキル〖剣士:Lv1〗を獲得しました。]
うん? 剣士? 短剣で戦ったからか?
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種族:コボルド(E)
状態:通常
Lv:5/15
HP:4/32
MP:2/17
攻撃:12+17
防御:9
魔力:6
敏捷:39
装備:
〖錆びた短剣:D-〗
特性スキル:
〖嗅覚:Lv2〗〖忍び足:Lv2〗〖器用:Lv2〗
耐性スキル:
〖飢餓耐性:Lv2〗〖毒耐性:Lv1〗
通常スキル:
〖鑑定:Lv2〗〖鋼化:Lv2〗〖噛みつく:Lv2〗〖ひっかく:Lv1〗
称号スキル:
〖幸運の持ち主:Lv--〗〖剣士:Lv1〗
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だいぶ強くなった…かな? 少なくともレッサーコボルド相手なら何体同時でも対処できそうだ。
釣っても、まだこの洞窟内でどれくらいの位置にいるのかがわかっていない。最弱の部類だったら笑えない。強くなっておくに越したことはない。
だがその前に……このプーリーフィッシュをいただくとしようか。この巨体だ。十分満足できるだろう。
短剣の鞘をこいつから得るのは無理だな。ま、次に狩りの時に得ればいいか。
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