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嘘つき聖女様は恋がしてみたい  作者: まさみつみなみ
3/3

聖女とは

いままでにこの国、ヴァリアーナ王国では2回聖女が現れている。最初は建国された当初、いまから約300年前のことである。どこからともなくさっそうと現れた(ように見える)彼女の伴った戦場では絶対に負けないという伝説が残っている。いくつもある小国のひとつのひとつだったヴァリアーナ王国を大きく、そして豊かな国にした彼女は始まりの聖女と呼ばれた。

そして2度目に聖女がこの国に現れたのは約150年前、世界的な飢饉に加えて疫病が蔓延し、ヴァリアーナ王国は滅びる寸前だった。そしてこれまた突然(に見えるらしい)前世の記憶をもった聖女が現れ、その膨大な魔力のもと国を建て直し、国のために尽力した姿は聖女の再来と称えられた。


「そんな恥ずかしい2つ名があるなんて知らなかった」


リディア・ウィズダムは真っ赤な顔を両手で隠しながら愕然としていた。そういえば、わたしのいない間の歴史はどうなっていたのかしらなんて気軽な気持ちで歴史の本をめくってみれば、自分の黒歴史が壮大な装飾、かつドラマティックに書き上げられていたので、穴があったら入りたい、いや、穴がないから掘りたいくらい恥ずかしい気持ちになることになった。


リディアが思う聖女とは、治癒魔法に優れ、祝福を与えるものなのだけれど、どうやらこの数百年でかなり装飾され、伝説的な存在になっているらしい。


「その清廉潔白な存在は、決して穢れ知ることなく、孤高な存在で.....って、ボッチだっただけなんですけど.....」


悲しくなってきたので、そっと本を閉じることにした。


この世界には、魔法を使える人間が存在する。基本的な魔法は火、水、土、風に分類され、人それぞれに得意な分野を持って生まれてくる。治癒魔法はそれとは別の光に分類される魔法である。この力を持って生まれてくるものは少く、とても重宝される。そして、治癒魔法と同時に『祝福』を与えることができる人間が聖女と呼ばれる存在である。この世界では時々そういった存在が生まれ、国同士で聖女を奪い合い争った歴史もある。


「つまり、魔法を使えないふりをすればいいのかしら」


そんな聖女の生まれ変わりであるリディアは、今世こそは聖女になるまいと決意したばかりだ。

聖女であったばかりにボッチで、恋人もいない人生を2度も歩んでしまった。幸い、いまのヴァリアーナ王国は平和なようだし、飢饉や疫病の話も聞こえてこない。わたしさえ魔法を使えないフリをしていれば、聖女ルートからは完全に外れられるはず。


「完璧だわ!」


ふふふ、と不気味な笑みを浮かべる6歳は、その子供らしからぬ行動からすでに周りの人間から怪しまれていることに、何一つ気づいていない。

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