序
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いきなりこんな話をするのも申し訳ないのだが、この世界にはどうやら怪異の存在が本当にいるらしい
えっ気が狂ったんじゃないかって?
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まあ聞いてほしい、こんなに科学が進歩した現代社会においてなぜ駅で電車に轢かれた人間が忽然と姿を消す?
SCP、クトゥルフ神話、本当にあれが創作物の範疇に収まっているものだとでも??
こんなこと言われてもな、いきなりごめん
少しだけ昔の話をしようか、あれは高校生になる春のことだ、僕が桜の花が散るのが好きなのは知っているよね?
散るのが好きなのは変わり者だって?
散り際の美しさがわからないとはまだまだ子供だな、感性を磨かないといけない
そ、そんなへこむなよ、つ、続きを話そう
そうあれは春の風が強い、決していい天気ではなかった日、地元の小さな公園にある大きな大きな枝垂桜の木、風が強かったからね桜吹雪が見れるかなと思って行ってみたんだ、案の定人はあまりいなかった
なんだかこの大きな桜の一年を独り占めしているみたいな気持ちになって、そうそううれしかったのを覚えているよ、自転車で行ったんだけど雰囲気と相まって何となく、そのいわゆる恋愛アニメとか、ドラマの出会いのシーンでこんな感じの一幕あるよなあみたいな、ちょっと浸っていたんだけど残念なことに周りにいた女の子は、カップルのみ、仕方がないよなと思っていたんだけどね後ろから一人の女の子が歩いてきたんだ、ちょっと暗いような雰囲気の黒髪の女の子、こういう不思議なお話に出てくるようなおかっぱ!みたいな子ではなかったけれどまあちょっと垢抜けてはいないがきれいな子で、十分雰囲気があってなんだか絵になる感じだったね
ん?こっからラブコメが始まるのかって?
うーんラブコメだったらよかったんだけどね残念なことにこのお話の主人公は僕ではないんだ、僕はただの語り手、このお話を紡ぐのはきっと君のはずなんだよ、そうここまで君が望む舞台を用意してあげただろう、割とこの手の舞台を用意することは多いほうでね、まあちょいちょい僕の好みも入っているが許してくれ、アクセントだよ、アクセント
この物語をラブコメにするのかはたまた陰鬱たる雰囲気をまとったホラーになるのかは君の好みによるだろうけどこの物語には「可能性」がたくさんあるんだ、ハッピーエンドをつかみ取った子もいれば、どこまでも沈んで行ってしまうようなバッドエンドになってしまう子もいるだから気を付けて
そうだよ、僕にとっては壮大な「実験」君にとっては至高の「現実」だ
そうだね、頼んだよ、まだ僕が用意した至上の「結末」に到達した子はいないから
そうそう、君の名前は「相馬勝篤」、彼女の名前は「日立木美桜」これでいこう
さあ、舞台設定はここで終わり、行ってらっしゃい
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たのんだよ