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2 幼馴染の男の子 前編

2週目です。前回の連載から学んだこと: バックアップは取りましょう。無理のない執筆計画を立てましょう。

 3人とも、無事に東邱高校に合格することができた。けいちゃんはなんと首席合格。入学式で新入生代表のスピーチをしていた。……入学式のスピーチで好きなゲームの話を延々としたのは後にも先にもけいちゃんだけだと思う。


 そういえば、この前はじめて告白をされた。登校したら机の中に手紙が入っていたのは控え目にいってかなり驚いた。文章は丁寧だったし、気持ちもこもっていたように思ったけれど断った。恋愛は……。よく分からない。


 家でもいい変化ではないが、少し変化があった。これは中学生の終わりくらいからかもしれないが、父が家に帰らないことが増えたのだ。たまに帰ってきたと思ったら、誰か女の人と家にいて。毎回違う女の人を連れている父をみるのは辛かった。今やもうお母さんを思い出すことは少なくなったが、それでもふとしたときに思い出がよみがえってくる。私には父が母のいた跡を壊そうとしているようにしか感じられなかった。


 高校にも慣れたある日、例のごとく父が初めて見る女の人と家にいた。私は、夜までどこかに出掛けることにした。これ以上落ちぶれた父を見たくなかったのだ。日が沈んで、辺りが薄暗くなって街灯が街を照らし始めた頃、私は家に帰った。いつもなら女の人は帰っているはずだったけれど、その女の人は私が帰ってきてもまだ家にいて。……そしてまた、私は父に裏切られていたことを知った。父は私がバイトをして貯めた生活費をその女の人に渡していたのだ。


「あの……。それ、今月の生活費で……。」


「あぁ?なんか文句あんのかよ!」


「ねぇ、こいつ誰?まさかこんなガキにも手ぇ出してんの?」


「いいや。俺の死んだ女が産んだ娘だ。口答えばっかりしやがるしうるせぇだけさ。ちっとは教育してやってんだがな。……おい、酒はまだあったか?」


「さっき飲んじゃったばっかだよ。あ、こいつに買いにいかせればいいじゃん!手ぶらで帰ってきたらちょっと教育(・・)するってことで。」


「好きにしろ。殺さねぇ限り文句は言わねぇよ。」


「そういうわけだから、そこのお嬢ちゃん。ちょっとこれで酒買ってきて。ビールと酎ハイね。」


 そういって女の人が私の前に5,000円札を置く。でも、いくらお金があったって、今時未成年にお酒を売ってくれる店なんてどこにもない。……私が買うのは無理だ。思わずそんな言葉が口をつく。


「え、でも……。私未成年で」


 つい言ってしまった言葉に、父が私の髪をつかんで、怒鳴り付ける。


「うっせぇな、お前。誰にここまで生かしてもらったと思ってんだよ。ちょっとばかし金稼いでるからって生言ってると潰すぞ!」


「まあまあ、そこらへんにしときなって。お嬢ちゃんもね酒買ってきたらそれだけですむ話なんだよ、分かる?わかったらとっとと買ってきてね!」


「おい、とっとと動け。俺がいってることわかんねぇのか?わかんねぇなら死ね。てか死ねよ。日本語も理解できねぇゴミ屑なんていらねぇんだ。それともお前本気でバラされてぇのか!?」


 そのまま動けずに固まっていると、父が私の首筋にナイフの背を当てながら低い声でそういった。私は首を縦に振ることしかできず、5,000円を制服のスカートのポケットに捩じ込み、鞄をつかんで家を飛び出した。


 コンビニに着いた私は、途方にくれていた。私の容姿は童顔ぎみ。どうあがいても成年になんて見えるような風貌では決してない。つまり、正気の方法で購入することは絶望的だ。意を決して、ビールと酎ハイを手に取り、そのまま鞄の中に忍び込ませようとした。


「おい、不良娘。」

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