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戦争と兄妹  作者: KAIN
第三章:過去と兄妹
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第四十話

 妹が、黙って真田に銃を向ける。

「……さて」

 冷ややかに言いながら、妹が銃の撃鉄を起こす。

「色々と、私の夫が世話になったらしいな?」

 その言葉に、真田は軽く笑った。

「別に、大したことはしてないぜ」

 へらへら言いながら、真田が僕の顔を見た。

「堂本君とは、毎日楽しく遊んでいただけだし、なあ?」

 ははは……

 ははははは……と。

 真田が、笑った。

 僕は……

 僕はその笑い声を……

 歯ぎしりと共に……

 聞いていた。


「遊んでいた、ねえ」

 妹が言う。

「私も、何回かお前達が、私の大好きな兄様と『遊んで』いるところを見たが……」

 妹は、そこで……

 そこで、言葉を切り、そして……

 表情を……消す。

「楽しんでいたのは、貴様らだけだったように見えたよ」

 そして……


 ぱあんっ!!


 乾いた銃声が、響いた。


 だが真田は、妹が発砲した時には既に、走り出していた。

 身体を僅かに横にずらし、こちらに向かって突っ込んでくる。

 その手には、さっき僕が投げ渡した銃が握られ、こちらに銃口が向いていた。

 真田がにやつきながら、銃の引き金に指をかける。

 だが……

 それよりも早く、妹が僕と真田の間に立ちはだかり、銃を撃つ。


 乾いた銃声が、再び響く。


 だが。

 真田は咄嗟に、その場に身を伏せ、銃弾を回避していた。


 真田が、ゆっくりと……

 ゆっくりと……立ち上がる。

「っ」

 そして……

 僕は……見た。

 はっきりと、見た。

 真田の顔に、またしても……

 またしても、あの笑みが浮かんでいた。

 木村の飲み込んだ爆弾を爆発させた時と同じ……

 あの……


 あの、笑みが。

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