第一話:プロローグ
書き直しました。
皇歴2705年 帝都東京
戦後百年を迎えた大日本帝国では帝都で華々しい記念パレードが行われていた。そのパレードにて見事な行進を見せるのは大日本帝国陸軍第一師団の面々である。陸軍の中でも精鋭のみが入れる第一師団は陸軍に所属する者なら誰しも一度は入りたいと考える程だ。
そんな彼らが行う乱れの無い行進は誰もが目を奪われほぅ、と息を吐くほどだ。まるで一つの生物の如く一寸たりともずれることなく右、左、右、左と手足を動かしていく。その行進を見る誰もが素晴らしく美しいと思い、そしてそれを可能にする第一師団の精強さに日本の未来は明るいと心の中で思うのであった。
「ママ~、ぼくも大きくなったらへいたいさんになってみんなの前であるきた~い」
「ふふ、ならちゃんと勉強しないとだめよ。あの兵隊さんたちはみんな勉強が出来る凄い人たちなのよ」
「分かったー!ちゃんとべんきょうしてすごいへいたいさんになるんだー!」
パレードを見ていたとある親子の間ではそのような会話が成されていた。これはここ大日本帝国では至って普通の事である。乱れの無い行進は少年少女の胸に衝撃という種をまき憧れという花を咲かせる。そして自分たちもあの場所に立ちたいと言う思いで軍人を目指していく。中には途中で別の夢を見つけたり軍の厳しさに辞めていく者もいる。しかし、それでも諦めなかった者は第一師団を目指し頑張っていく。
「うぅ」
別の所では車いすに乗った一人の老人が涙を流していた。障碍者用に設けられたスペースにいる彼は元軍人であった。それも第一師団に入る事にあこがれその座をつかみ取った一人であった。
現在は連合国亡命政権との戦争で両足を失って軍を離れ残り短い余生を満喫していたが、彼の脳裏には第一師団にいたころの記憶が蘇っていた。戦後六十年を記念したパレードにて彼は第一師団にて行進を行った。
「第一師団は時が経っても昔と変わらん。彼らがいる限り日本は反映していくじゃろう」
老人は涙ながらにそう呟くのであった。