22.勇者育成計画
すぅ
「ええと、それで、今?どうなってるの?」
フィルディアとのだーいじなOHANASIが終わったところで、お行儀よく座っていたエクシアが話しかけてきた。
「あー、こいつはソル…あー、えっと、天神の使いで君の監視と補助をしていた天使長のフィルディアだ」
「よろよろ~」
「…馬鹿の天使長だからこいつも残念だが、性能については地上の創造物以上だぞ。残念だが」
「なぜ2回言うの!?」
「それでこの俺g…俺は男だ。でだ、あんたのことは馬鹿からある程度聞いている。勿論前世のこともだ」「え!?すスルー!!?」
「っ…」
「おおっと、そう殺気立つな。それで、俺はあんたのサポートやらなんやらを頼まれている。一応馬鹿の証言も聞くか?」「ちょっと~わたしにもかまってぁ~」
「ええ、貴方はまだ信用できない」
「よかろう。4式、映像投映」「おお!プロジェクターじゃん!」
部屋の壁に、現在のソルの部屋とリンク待機した映像を映し出し、コールを行う。
数回のコール後、部屋とのリンクが確立し
『おぼるろるろろろ!おばろる』
折檻中の主神が映し出された。
「「「………」」」
「少しまて。…ルナさん。起きてます?ああ、今起きたんですか?お早うございます。それで起きて早々に申し訳ないんですけど、馬鹿の部屋の神水?を抜いて貰えます?ええ、ちょっと話がしたいので。はい。お願いします」
取り敢えず、映像を切り、エクシアと向き直る。
「…今のが我らが主神だ」
「………はい。気配、顔立ち、紋章も嘘はついてはいませんでした。が、いや、触れない方がよろしいですか?」
分かる!分かるぞ!その認めたくないけど!あの威厳に満ちた空間の中で勇者の勅命を受けたときのソルの顔は感動ものだからな!ルナさんの方が可愛いけど!(好感度稼ぎ)
「ああ、一応あんたの事も含めてああなってるからな。そこだけ抑えておいてくれ」
「っ!私は何かしでかしたのでしょうか!?」
突然悲壮感に満ちて青白くなった顔で詰め寄ってきた。前世の事があれば無理もないが…。
「…聞かないんじゃなかったのか?まぁいい。主にうちの身内のことが大半だが、あんたの場合は、勇者召喚が馬鹿の独断で成されたというだけだ。本来は、会議の末に多数決で決めるようにしている。まぁ喚ばれた側に罪はねぇし、あんたも前世のままなんて嫌だろ?だからラッキー…つまり幸運だったと思っとけばそれでいい」
「わかり…ました」
ジジジジッ…
こちらで雑談している間に向こうの準備が終わったようだ。
…だが暗いままなのはなぜだ?
暫くすると、机に俯いた状態で手を顔の前で組んだままのソルが、上からスポットライトを当てられながら映し出された。
『これより…勇者育成計画を始動する』
「「「………」」」
『描写的にアゥトォォォォオオオオオオ』
『ブレィバッ』
パジャマ姿という激レアな俺の上司がジャイロドロップキックでキメ顔の馬鹿を沈めた所は兎も角、今のって俺にしか分からないネタだよな。あれエヴ◯のあのシーンだよな?エクシアとかフィルディアとか頭に?が乱立してるぞ。もうちょっとこの世界で分かるネタ持ってこいよ神…。
数分後…
『やっはろー!公爵家アイドルリーダーのマーヴィげんきー?ちょっ、まっ、取り敢えずその大鎌直そうか!ねぇ!私達親友だよね!親友だよね!?大事なことだから2回言いました!あっちょっ!次元越えようとしないで!ルナっちの折檻だけで間に合ってるから!あ"ップギィ!』
―――――――――[自主規制]―――――――――
『はい、と言うわけで、はい、マーヴィラス他数名各位は勇者の育成及び魔王討伐の助力と補助をですね、はい、受けて頂くという事でですね、はい』
俺とのタノシイOHANASIが終わってから、改めて今回の事の内容を明かした訳だが、俺や他のメンバーが魔王討伐の補助とかいいのかという話だ。
今回の魔王、下手したらボッコボコ不可避。
なんせスキルカンスト元勇者、同じくスキルカンスト元魔王、超高火力メイジ、回復の鬼プリースト、超級闇神霊、凶暴肉食神龍、超万能半神冥土、地獄デバフ神獣が居て、全員の全てのスペックが魔王のそれより上回っているのだ。
勇者ちゃん頑張れとしか言いようがない件
エクシアには他のメンバーの性能を、まだ、教えてはいないが、俺が主神をボk…静sy…違うな…ええと折檻できる立ち位置だと解ったせいかさっきから凄いしおらしいというかなんと言うか…。
「あー、と言うわけで今度から俺達もお前に同行することになる…」
「はい、このエクシア、慎んでお請け致します」
だれ!?
「いや、あのな?別にそんなかしこまらなくてもええんやで?」
「しかし!天界第2位のルナ様の神使様に向かって無礼な態度などできません!」
さっきまでいっぱいしてたじゃん!?
「先ほどまでの無礼はこの身を捧げてでも償いますのでどうかご容赦を!」
王族のDOGEZAは初めて見たかもしれない。じゃない!
「落ち着け!いいか!俺は!エクシアの先輩なだけであって!そこには格差などない!いいな!?」
「ひゃい!?」
床に擦り付けていたエクシアの顔を両手で挟み、しゃがんだ俺の目線まで持ってきて至近距離で目と目を合わせ語ってやった。
「敬語くらいなら問題はないが、無駄にかしこまらないでくれ、俺が偉くなったみたいでむず痒くなる」
「はい…」
「数百年昔ではあるが、俺も勇者だったんだ。まぁ、お前とは違う形だったが…そこは追々話すとして、なんでもいい、小さなことでもいいから俺達を頼ってくれ」
「……はいっ」
「いいか、俺とお前は今日から味方だ。お前を裏切ることなんてない。前世がアレだったからまだ信用なんて出来ないだろうが、必ず信用させてみせる。約束だ」
「はいっ!」
そう返事すると、ここに来て初めて笑顔を見せた。
「はっ!やっぱ笑顔はかわいいじゃねぇか」
「へっ…あぅ…」
「ん?どうした?」
「ああ、マーヴちんはこういう落とし方をするのネ…」
「あら?朧ちゃんいたの?」
「胸のアクセしてたのネ。と言うかなんで天使長なのに気付かないのネ」
「て、てへぺろ!」
「あ、あの、先輩って呼んでいいですか!?」
「お、おう?構わんぞ?」
「やった!」
「?」
後輩属性を開発させたマーヴであった
やぁ……( ̄q ̄)zzz