それまでの日々1
初めて書いた作品です。
経験不足のため拙い文章ではありますが、これからよろしくお願いします。
「守宮 誠はいわゆるごく普通の(少し臆病な)一般人である。」
そのように俺は自分自身を評価している。
これまでのところ美少女が柄の悪い男に絡まれているのを助けたり、マフィアの秘密の取引を目撃して追いかけられたりするという物語の主人のような体験はしていない。まあ、積極的にしたいとも思わないが。
朝起きて学校へ行き、放課後になれば授業で疲労の溜まった状態で帰宅し、そして寝る。そんな日々をまるで作業のように繰り返し、今という時間を過ごしていく。
代わり映えがなく何となく退屈だと思うこともあるが、だからといって具体的に何をしようという気にはならない。その日もいつもとほとんど変わらない「日常」として過ぎていく
はずだった。
ジリリリリリリ!!!!
アナログの目覚まし時計の新しい朝が来たことをけたたましく主張する音が部屋を駆け巡る。
ジリリリリリ!! ガシ、 ジリリ、カチ
うるさいとばかりに俺はそれをひっつかみ黙らせる。俺が使っている目覚まし時計は始めからこれでもかというくらいの大音量で鳴るアナログの目覚まし時計(上にベルが2つ付いているあのタイプ)なのだ。
そのため近所に住む人に迷惑がかかりそうな程にうるさい。そんなにうるさいのになぜこの目覚まし時計を使うのかというと、自分がそれくらい大きな音でないと目が覚めないからだ。本当、朝決まった時間に起きることができる人が羨ましい。
朝食は昨日のうちに予約して炊いたご飯とレンジで温めた昨夜の夕食の残り物で済ませる。朝食中につけた朝のテレビではニュースや今流行のファッション、人気のスイーツの店についてのリポートに続けて星座占いをやっている。
『今日最も運勢が良いのは、魚座のあなたです!いつもより早めに行動すると新たな出会いが待っているかも!?ラッキーアイテムはスポーツドリンクです♪』
とのこと。ちなみに俺は魚座だ。
「新たな出会い」という単語に反応し、それに影響されスポーツドリンクの入っているペットボトルを持って行く荷物に追加する。…これは非リア充の悲しい性であると信じたい。それから身支度を済ませ誰もいない家の鍵を閉める。
親は海外赴任しており、ほとんど家に帰ることがないため、家に住んでいるのは事実上自分一人である。
まるで俺が高校入試で今通っている高校に合格したのを見計らったかのようなタイミングで親が海外赴任することになり、また突然のことだったため、とても驚いたことを覚えている。
それからおよそ1年ほど経ち、高校二年生になった今、家事は一通り身に付け、よく買い物に行くスーパーでは常連として店員に知られるまでになった。
(今日は親からの仕送りが振り込まれる日だから帰りに銀行寄らないと)
そう思いながら鞄代わりのリュックサックを背負い直し学校へ向かった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
更新は不定期になりますので、予めご了承ください。