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カナシクナッタ
私は知らなかった。
恋愛の悲しみを。
私は知らないほうが良かった。
人を好きになることが、
こんなにも辛く、重く、苦しいのだと。
私、立川栞菜、16歳。高校一年生だ。
成績は普通。
スタイルも普通。
顔は…まあ普通よりちょっと上ぐらいかな笑
でも、ずば抜けて可愛いわけでもない。
家もお金持ちではない。
いたって普通の高校生だ。
父は中学校の教師、母は専業主婦。
弟が二人、妹が一人、兄が一人いる。
本当に、普通の高校生なんだ…
彼氏は、今までいたことはあるけど、
相手が本気じゃなかった。
浮気をされてしまってからは、
誰かを本気で好きになることはなくなっていた。
4月上旬、高校へと入学。
そして今に至る。
私は高校では恋愛はしないと決めた。
だけどすぐそこに、忘れるなんて出来ない恋が
迫っていた。