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私の異世界での立ち位置  作者: 葉月
勇者編
8/97

8.歌



「枯れちる花をこの手でつかもう 枯れちる心をこの手で守ろう 空から落ちる雨は覚えているから 僕は一人じゃない いつも側には君の温もり 立ち向かえ








軌道戦隊アルタイル〜♪」



痛快な小気味よい歌が聞こえる。誰が歌っているのだろう、と不思議に思う事はない。何故なら歌っているのはこの私だからだ。

この歌は、『アルタイル』という某番組の挿入歌だ。この番組は特撮ヒーローものの番組で一応子供向けなのだが、人生観や政治論、色々と考えさせられる内容の回が定期的に、そして計画的に流される事から大人も楽しめる番組として有名で、視聴率は軒並み高い。



私は、挿入歌の続きを口ずさみながら少し前を歩く青年を見る。


方向音痴で金髪蒼眼の青年が、あっちにふらふらこっちにふらふらと右往左往しながら地図を片手にさ迷い歩いている。

青年の名前は『アルファルド』


ちなみに名付け親は私。



私とアルファルド君が初めて出会ったのは数日前。街に襲ってきた魔物を伝説の勇者の剣(多分)で退治した青年は、歓喜沸き立つ街の人々から口々に『アルファルド』と呼ばれていたのだ。

言葉が理解できなかった私は、そのままその勇敢な青年の事をアルファルド君と呼ぶことに決め、今現在一緒に旅をしている。


一方的に。





………もしかして、これってストーカー行為になるのか?

そんな事を考えた時もあったが、見えない聞こえない幽霊スキルを持つ私みたいな奴にストーカーされても何の被害もないんだから良し。と結論ずけた。


アルファルド君と旅をしてきて数日がたった。未だに私はこの世界にいて、寝ても覚めても祈っても呪っても向こう側の世界へ戻れそうもなかった。


やはり私はこちらの世界で戻る方法とやらを探さなくてはいけないらしい。


だが、この状態で元の世界に戻る方法など探せない事は考えるまでもないので、私は当初の思惑通り勇者様であろうアルファルド君についていくしかなく。


さしずめ私は『傍観者』という立場にでもなるのだろうか。





方向音痴で、

強くて逞しくて、

体術も使えるみたいだが、剣術や棒術の方が得意みたいで、


最初に出会ったあの丘で、どこか寂しそうに街を眺めていた青年は

これから先、色んな試練を乗り越えていかなければならないのだろう。




アルファルド君、

出来る事なら私は君を助けてあげたいんだよ。










とりあえず、その素敵に無敵な方向音痴から。


あれから何日経ってると思ってるの?そろそろ次のステップに進もうぜ?いい加減こっちも堪忍袋の緒が切れますよ?


あの少女との出会いと別れから3日が経ったある日の昼下がりの事だった。










そんなこんなで迷いに迷ったあげく、通り行く人々に聞きまくったアルファルド君。そして私がようやっとたどり着いた場所は、魔物が多く生息している見るからに何かの秘宝でも眠っていそうな、


そんな遺跡ダンジョンだったのでした。



遠い道のりだったぜ。



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