49.激可愛癒しーズツインズ
そういえば。
「ね、アルファルド君。アルファルド君はなんであんな所にいたの?」
前を歩くアルファルド君を見ていたら、ふと疑問が膨らんだ。私が魔王になり、勇者さんから逃亡し、そしてアルファルド君に再会した場所。あそこはアルファルド君の街の近くではなかったはずだ。何しろあの辺りに街など見当たらなかったのだから。なのにアルファルド君はあんなところにいた。
何故あんな所にいたのか。
しかも昼間っから寝てもいたし。
そう聞くと、アルファルド君は私をじっと見てきた。え、何さ、と思いその視線を受け止めているとアルファルド君は、ふい、と視線を逸らせた。
「………」
怪しい。
「アルファルド君、また私に隠し事とかしてないよね」
じとりと私はアルファルド君を見る。生け贄のことも黙ってた彼のことだ。また、私に何か内緒なことがあっても不思議ではない。
だけど、アルファルド君は素知らぬふりをした。ミズイロの性格が曲がってきているのは確実にアルファルド君のせいだろう。
「…街、追放とかされてないよね?」
まさかと思い聞いてみた。だって、アルファルド君は『失敗』したのだから。追放とかあっても不思議ではない。だが、アルファルド君は違う、と言った。
「儀式がなくなって、家族は喜んでた。それに街の連中も。少なからず、ほっとはしていた」
だから、お前が気にやむようなことではない。そう聞こえなくても聞こえた。アルファルド君はやっぱり優しいんだ。
「そうなんだ。なら、良かったよ」
少なくとも、アルファルド君はあの街で迫害なんてものには合ってはいない。それだけで、私はほっと胸を撫で下ろせるのだ。
だけど、当初の疑問がまだ解決していない。
「じゃあ、なんでアルファルド君はあんな所にいたの?」
やはり答えてはくれなかった。
けち臭い。
唯一無二の、私が元の世界に帰る方法を知っているブカに会いにいけない、となれば、私達は別の方法でその帰る方法とやらを探さなくてはならない。
「図書館、とかは?」
私はアルファルド君に進言した。何か調べるなら図書館、だろう。この世界に図書館があるかは疑問だったが、アルファルド君が図書館で理解したようだったので、もしかしたらこの世界にも図書館なるものがあるのかもしれない。
アルファルド君が地図を広げる。
「どこ?」
私が聞くと、アルファルド君は一点を指差した。多分街の一つ、かな。地図は魔王となった今でも解読不能だ。
「でもアルファルド君。そもそも、ここが何処か分かってないよね?」
その言葉にアルファルド君は、はっ、と今気付いたような顔をした。え、忘れてたの?
何処かこの辺りで街とかでも見つかればいいのだが。そう思いきょろきょろしていたら、遠くから見覚えのあるツインズ。
あ、あれはぁっ!!
私は愕然とした。
あれはもしや、
あのツインズではっ!!!
遠くに見えるはフードを被った二人の子供。 あれはまさにあの御食事処で見かけた、激可愛癒しーズツインズではないですかぁっ!!
ああ、一応。六話参照。
「あ、あ、あ、アルファルド君っ!!」
「な、何だっ」
どうした、と腕をガシッ、と急に掴んだ私の態度に、アルファルド君はびっくり顔。そんなアルファルド君に私はツインズを指差す。正確にはツインズ、プラス大人一名だったのだが。
激可愛癒しーズツインズと話し話されるチャンス!とばかりに、私はあの人達に道を聞こうっ!と張り切って言ったのだが、アルファルド君に却下された。
「何故っ?!」
あのツインズがいるんだよっ。あの、涙と感動の別れを、見えない聞こえない幽霊スキルだった私が悲しきかな一人でしたあのツインズがっ!!今は幽霊スキル持ってないから話し邦題見邦題触り邦題なのにっ!!
「お前、頭と目」
アルファルド君は静かにそう言った。黒髪黒目。
バカなっ!またしてもこれかっ、これなのか!!
「もう間郷古となく魔王だし」
いいじゃん、別に。
そう言ったら、アルファルド君は俺一人で行く、と一人走っていってしまった。
一人でツインズと戯れようとは、ズルい。
そんなこんなで、私は悲しきかなツインズと前の時以上に悲しい別れをすることになった。
近くで見たかったな。
話したかったな。
触りたかったな。
アルファルド君が戻ってきた。
「ズルいっ!!」
戻ってきた彼に開口一番そう言った。アルファルド君が「何がだ」と眉を潜めた。




