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私の異世界での立ち位置  作者: 葉月
勇者編
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2.教えて神様

私見では20代前半。

太陽の光を浴びてキラキラと輝く黄金の髪に、深海を思わせるかのような蒼い瞳。そして見るからにイケメンオーラを出しているその人物は、樹木に背中をあずけて座り、遠くの方にある街をただじっと身動ぎもせずに、見ていた。



とりあえず接触してみた。



「こんにちはー」


片手を上げ、そう挨拶しながら私はその人物に近付いていったのだが。




綺麗に無視された。


めげずにもう一度声をかけてみる。

だが、その人物は微動だにしない。





これは…、完全なる無視だな。うん。


だが一度や二度の無視だけで、傷つき諦めるようなそんな柔な女じゃなかったりするのだ、私は。

むしろ、そんな態度取られちゃうと俄然やる気も出ようというもの。


喧嘩上等。

売られた喧嘩は買うのが礼儀ってもんでしょ。


ふふふふふ、と不気味な笑いを見せ、未だに樹木に凭れて座る微動だにしない人物を見据え、私はぐるぐると腕を振り回しその距離を徐々に縮めて行く。


そして、その人物のすぐ真正面まで来てから私は気付いた。




この人、本当に私に気付いていない…?


さすがにすぐ目の前まで人が来たら誰でも何かしらの反応を見せるはずだ。だが、その人物は目線を動かす事もなく、体が不自然に動く事もなく。


ただ、さっきまでと同じ表情、同じ体勢のまま、じっと私の体の向こう側にある先程までの景色を何ら変わることなく見続けていたのだ。


「………」


これはどういう事だろう?


試しに目の前で手を振ってみたり、目の前で手を叩いてみたり、目の前で変顔をしてみたり、

踊ってみたり歌ってみたり、今話題の芸人のモノマネ100連発をしようとしてみたり……。


色々と出来うる限り試してみたのだが、金髪蒼眼の青年はこちらをチロリとも見やしなかった。




私は最終手段をとる事にした。



鳴かぬなら、泣かせてやるまで、ホトトギス。

よし、殴ろう。




そして、私がぐーにするかぱーにするか迷っている時。

私がこの世界に来て初めて、そして予想もしていなかった言葉をその青年の口から聞いた。


その声は、私にとってとても残酷な現実を突き付けた。



「――――――」







漫画やアニメでよく見るファンタジーの世界ってさ、異世界に来た女の子や男の子が勇者になったり魔法使いになったりして世界の平和を守ったりなんだりするんだけど。

大前提として、


『言葉が解る』っていうスキルは大抵持ってる筈なんだよね。





今、金髪蒼眼の青年から放たれた言葉は



何語なのか、私に教えて下さい。神様。

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