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未来のきみへ   作者: 安弘
地獄道編 Ⅱ
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ザック兄弟再び

 「まったく、しょうがないヤツだ!」


 親方に怒られしょんぼりしているルキアにミカはコーヒーカップを手渡した。ミカの優しい笑顔にルキアは親方に怒られたことなどすっかり忘れ、いつも通りの調子に戻った。天幕の撤収を終えてジャージー・デビルの巣窟を目指しクリスタルを奪取する。危険はさらに増していくがミカとリナが仲間に加わった事によりリスクはかなり抑えられると親方は考えていた。

 ミカはルキアと共に歩きリナはロエルを守るように歩いている。これならなんの心配もなくクリスタルを得ることが出来よう。そんな親方達を暗闇から見つめている魔物がいた。魔物はしばらくして立ちあがると親方達に気づかれないように立ち去った。


 「なるほど・・・奴等はじきこの塔に到着するのだな?」


 ジャージー・デビルに偵察を命じていたアイザックは扇子をたたむと目を閉じた。そしてしばらく偵察を続けるように命じ、ジャージーデビルが部屋を出て行くと同時にモルザックが部屋に入ってきた。


 「どうしたんだ、アイザック?やけに嬉しそうだな。」


 「すべての出来事は繰り返される・・・ということだな。」


 「???」


 不敵な笑みを浮かべるアイザックにモルザックは首を傾げている。何も知らずにジャージー・デビルの巣窟を目指している親方達は足場の悪い洞窟を進んで行く。転べば、鋭い岩場に肌が切られる。しかし悪い足場の中で、親方は比較的歩きやすい道を進んでいた。


 「親方、前にここに来た事があるのか?」


 「何故だ?」


 「迷う事もなく先を進んでいくからさ。」


 親方がこのジャージー・デビルの巣窟の存在を知っているのは数十年前に一度入ったことがあったからである。当時、親方もいまのルキア位の年齢であった。今と同じようにクリスタルが必要になり数名とこの洞窟に入っていったのだ。クリスタルは手に入れたものの生き残って帰ってきたのは親方だけだった。今でも親方の頭からあの時のことは忘れることが出来なかった。だからこそ親方はこの入り組んでいる洞窟を迷うこともなくここまで来れたのだ。だが以前、親方が見た巣窟とはかなり違っていた。


 「どういうことだ!何故、こんな塔が・・・・?」


 「親方、ここがジャージー・デビルのいる所なの?」


 「いや、ジャージー・デビルにこんな塔を造る知能などない。」


 「つまり別の高等な魔物がいる可能性があるのね。

  ミカ、警戒を怠らないようにね。」


 塔の内部に警戒しながら入っていく親方達の姿を塔の最上部からアイザックが見下ろしている。手に扇子を持ちながらモルザックと共に笑みを浮かべていた。


 「さあ、ショータイムの始まりだ。

  苦しみのショータイムへようこそ、雷獣の娘よ。」


 塔の内部を警戒しながら見回していくが魔物を発見することは出来なかった。リナは皆が思い思いに動いており、バラバラで統制が取れていないことに懸念を示した。


 「ミカ、臨戦態勢でロエルのサポートを忘れずにね。」


 ミカはうなずくとロエルの近くに寄り添う。リナを先頭にロエル、ミカの順でしんがりを親方とルキアが務める。塔の内部は四角のブロックが詰まれて強固な造りになっていた。低能なジャージー・デビルにはとても築くことなど出来ない造りで警戒しながらも親方がその見事な出来栄えに見惚れていた。塔内部はかなり広く入口付近に位置しているリナ達から奥行きが見えないくらい広かった。天井もかなり高い。リナは入ってきた入口以外にドアがないことや異常なほど広いフロアそして何より静かすぎることに嫌な感じを覚えた。


 「静か過ぎるわ・・・警戒して!」


 リナの嫌な感じは的中した。フロアの中央にきたリナ達を取り囲むように複数のジャージー・デビルが現れた。囲まれ逃げ場を失ったリナ達はロエルを中心に背中合わせに立ち並んだ。


 「どういうことだ!奴らどこに隠れていた?」


 「考えている暇はないわ!どう戦うか、どう生き残るか?それだけを考えて!」


 動揺する親方にリナが激を飛ばした。しかしリナ達の戦況は圧倒的に不利だった。圧倒的なジャージー・デビルの数に対してこちらはリナの雷撃と親方の小銃だけが頼り。ミカに攻撃能力はなくロエルを守りながらでは能力を出し尽くすことは難しいだろう。ルキアは鉄パイプを持っているが・・・論外である。圧倒的に不利な戦況にリナは背中に冷たい汗が流れるのを感じていた。そんなリナの表情を見ながらアイザックは笑みを浮かべる。


 「くっくっくっ、どうする?雷獣の娘よ。」


 リナはこの状況化で自分の甘さを思い知った。ジャージー・デビルは下等な生物でありリナはさほど能力も使わずに倒すことが出来た。過信は命をおとす・・・・戦場で生きたリナが当たり前のことを忘れていた。唇を噛み締めたリナは冷静さを取り戻すと牡丹玉ミドルエレメント サンドラドックを放つ。五匹のサンドラドックは勢い凄まじく次々とジャージー・デビルを喰らい殺していくがあまりにも多すぎる数に戦力の差は埋まらない。


 「このままではラチがあかない。一気に行くわ!ミカ、最大級の防御をお願い!」


 リナがエレメントを高めていくとフロアがビリビリと震えだしていく。それと同時にミカも理力を高めると桜色の輝きが親方達を包み込んだ。親方は小銃を構えながらそしてルキアは涙をためているロエルを守るように抱きかかえている。


 「桜玉上級理力 桜吹雪」


 ミカと親方達は桜色の輝きに包まれると辺りに桜吹雪が舞った。激しくそして優しい桜の花びらの舞が終わるとそこにミカ達の姿はなかった。リナはジャージー・デビル達に囲まれながらも笑みを浮かべている。


 「さあ、いくわよ!牡丹玉オーバーエレメント リ インドラ メガラウンド!!」


 頭上に雷神の腕が現れるとジャージー・デビルは恐怖に身が凍った。雷神の腕が地面を激しく叩くと雷撃とともに衝撃が広がっていく。広いフロアを埋め尽くすジャージー・デビルが一瞬にして黒焦げの人形と化した。黒焦げの人形は粉々になって黒い粉の山がいたるところに現れていく。


 「はあ、はあ、はあ・・・終わった。」


 黒い粉の山が出来上がった頃、桜吹雪で消えていたミカ達も姿を現した。すべてが終わった事にミカはリナに微笑んだ。そのリナにもはや力は残ってはいない。すべて出し切り笑みを返すことが精一杯のようだった。地面に膝をつき余力のないリナをルキアと親方が手を貸す。ロエルは気絶していてミカが抱きかかえている。


 「これだけの数が駆逐されたということはジャージー・デビルはもう現れないと判断してもよいかもしれんな。後はワシ達でクリスタルを探すことにしょう。」


 「俺達もがんばらねえと!」


 ミカとリナは力を使い果たしもはや余力などない事は親方にもわかった。ここで休んでいるように二人に伝えると親方はルキアを連れて上の階への階段を探しに行った。二手に別れて親方とルキアは階段を探しているがなかなか見つからなかった。ため息をついてルキアは親方に声をかけた。


 「親方ぁ~。階段は無さそうだ・・・親方!」


 「どうした ルキア・・・ん?」


 遠くのほうで叫んでいるルキアを気にしながらも足元を見ると人影が見えた。少しずつ親方は頭をあげるとアイザックがニヤニヤしながら立っていた。


 「おまえさんは・・・!!」


 親方は人の姿をしているアイザックを警戒していなかった。声をかけた瞬間、腹部に激しい熱を感じた親方が腹部を見ると血が流れていた。


 「くっ、くっ、くっ・・・」


 アイザックの手には銃口から煙が立ちあがる拳銃が握られていた。ルキアが遠くで何かを叫んでいる姿を見ながら親方は地面に倒れこんだ。意識が薄れていく中、ルキアが近づいてくるのがわかった。


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