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未来のきみへ   作者: 安弘
地獄道編 Ⅱ
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水もしたたるいい男

 「ちくしょう!ロエルを離せ、化け物め!」


 「うわぁ~~ん、怖いよぉ~。親方、ルキアさん、助けて!」


 「ロエル!ルキア、離れておれ!」


 親方は持っていたリュックサックの中から小銃を取り出すと標準をジャージー・デビルに合わせてトリガーを引く。見事に命中してジャージー・デビルは空中より落ちてきた。と同時にロエルも地上へと落ちるが運良く地底湖に落ちた。それを確認したルキアは地底湖に飛び込む。地底湖底に沈んでいくロエルを見つけるとルキアはその腕を掴み湖面へと浮上していく。ルキアは湖畔にあがると水を大量に飲んで意識を失っているロエルの気道を確保して人工呼吸と心臓マッサージを繰り返し行った。


 「・・・ゴホッ、」


 「ロエル、大丈夫か!」


 ルキアの対処により大量の水を吐き出して咳き込んではいるがロエルの意識は回復した。そこにすべてのジャージー・デビルを始末した親方が走ってきた。


 「ふたりとも大丈夫か?」


 「ああ、大丈夫だ。ロエル、痛いところとかはないか?」


 「ゴホッゴホッ・・・大丈夫です。」


 「ふたりとも無事で良かった。」


 親方は小銃の残弾を確認しながら辺りを警戒する。ロエルがジャージー・デビルに捕まったのはまさに一瞬の出来事だった。洞窟を歩いていた親方達は地底湖を発見した。飲み水も底をついていたのでロエルが水筒に水を入れようとしていたその時、上空より急降下してきたジャージー・デビルに捕まってしまったのだった。悲鳴を聞いたルキアが急いでロエルの足に掴まって抵抗したがすぐに振り落されジャージー・デビルはそのまま上昇をしていったのだ。


 「火を起こしたぞ。ふたりともここに来て温まれ。」


 親方は石積みするとそこへ固形燃料を置き手にしていたランタンの火を入れた。ルキアとロエルは濡れた服を脱ぐと火の近くに座って身体を暖めた。親方にアルコール度数の強めの酒を手渡されたルキアは一口飲み干した。ロエルも興味があったらしく親方に内緒でルキアはロエルに一口飲ませた。


 「ゲホッ、ゲホッ!」


 「ルキア!!ロエルに飲ませるんじゃない!」


 飲んだ瞬間、目を真っ赤にさせて咳き込んだ姿を見た親方がルキアをギロッと睨んだ。ルキアは親方の視線をゆっくり外すとボトルを手に一口飲んだ。


 「ロエル、寒くはないか?」


 「大丈夫です、親方。」


 「なぁ、ロエル。前から思っていたんだけどその丁寧口調なんとかならないか?

  俺たち一緒に仕事してけっこう経つぜ。」


 「・・・・すみません。」


 「ルキア、お前偉そうな事言うじゃねえか。お前だってロエルくらいの年頃は無口だっただろ?・・・ロエルが昔の自分にそっくりなもんで歯痒いんだろ?」


 「うっ、うるせえ!」


 顔を真っ赤にするルキアを見てロエルは何と無く嬉しかった。憧れているルキアにも自分と同じ時期があったことが信じられなかったが自分も努力すればルキアのようになれるかもしれないと思った。嬉しそうなロエルの表情を見て親方にも笑みがこぼれる。

 丁度その頃、焚き火の明かりを発見したリナとミカは親方達の姿を見つけた。それと同時にミカは地底湖の表面からジャージー・デビルが顔を出して近づいていくのを確認する。


 「リナ、あの人達無事みたいだよ・・・あっ、危ない!」


 地底湖よりジャージー・デビルがルキアに襲い掛かった。急な出来事に回避することも出来ないルキア。


 「うわぁ~・・・?」


 襲いかかってくるジャージー・デビルに恐怖で瞑っていた目を開けるとその鋭い爪はルキアの目前で止まっていた。桜色の盾がルキアをジャージー・デビルの爪から守っていたのだ。


 「よかった・・・間に合ったみたい。」


 ミカは桜玉理力 サクラリーフを放っていた。ガリガリとサクラリーフに噛み付いているジャージー・デビルを今度はリナのサンドラドックが襲い掛かった。雷撃を浴びて地底湖に沈んでいったジャージー・デビルが再び浮き上がってくることはなかった。


 「化け物め!・・・んっ?」


 親方が小銃を構えてリナとミカのいる方向に銃口を向けた。しかし手をあげて出てきたのがふたりの女の子だったため小銃を下ろした。驚いたのはルキアの方だった。干してあった服をリナとミカが歩いて近づいてくる前に急いで着た。リナとミカに親方は驚いた表情で言った。


 「お嬢さん達・・・ふたりだけかい?」


 「ええ、そうだけど・・・」


 「こんなところに来るとは・・・さっきのアレはお嬢さん達の能力か?」


 「ええ・・・」


 「ガルの力とよく似ておる。」


 「ガルを知っているの?」


 「・・・二・三度会った事がある。」


 リナは親方にガルを捜していることを伝えた。親方は少しの沈黙の後で話を始めた。ガルはこの蒸気設備場の何処かにはいるはずだが居場所はわからないらしい。親方達の行き先をミカが聞くとクリスタルを捜すためにこの洞窟に入ったのだと答えた。


 「タービンの材料探しだったのね。私達はガルに逢いに行くのかと思っていたわ。」


 「期待を裏切って悪かったな・・・どうだろう、クリスタルを一緒に探してくれるのならガルの捜索に協力するぞい。五百名の配管工の連絡網を駆使すればすぐに見つけられると思うぞ。」


 リナは少し考えたが悪い条件でもなさそうなのでミカの合意を得て親方達と行動を共にすることにした。ルキアとロエルのことを考えて親方はここで休息を取る事を決めた。ジャージー・デビルは乾燥した牛の糞の臭いが嫌いらしく親方は天幕の周辺に牛の糞を撒く。しかし完全に就寝するのは危険な為に幼いロエルを除いた四名の交代で見張りを立てることになった。ミカが一番最初の見張者になり火を絶やさないように固形燃料を入れているところへルキアが歩いてきた。


 「なかなか、眠れなくて・・・あのさ、さっきは助けてくれてありがとう。」


 「ううん・・・無事で本当に良かったね。」


 「親方のせいでへんな事に巻き込んじゃってゴメンな。」


 「ううん、そんな事ないよ。それよりもう寒くないの?服は乾いているの?」


 「えっ、見てたの?恥ずかしいなぁ~・・・大丈夫だ、もう乾いているから。それにしてもミカのその言い方ってなんか子供に言ってるみたいだな。」


 「あっ!ごめんなさい。つい、いつもの調子になっちゃって。」


 「ミカの手をわずらわせる幸せな奴がいるのか・・・なんか羨ましいなぁ~。」


 一方、ルキアの言う幸せな奴、タカヒトは食事を終えて食堂の二階にある仮眠室で眠っていた。ポンマンもてんとも歩き疲れたようでグッスリと眠っている。


 「ミカちゃん、大丈夫だよぉ~~・・・もう食べれないよぉ~~。」


 幸せそうな笑顔を浮かべながらタカヒトは寝言を言っていた。


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