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未来のきみへ   作者: 安弘
地獄道編
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初めての敗北

 「あらあら、ボロボロねぇ~。カオス、やるわよ!」


 「攻撃対象・・・確認。」


 カオスとギガスがジリジリと間合いを詰めて近づいてくる。青ざめた表情の赤タカヒトのもとへ手助けをするためにミカが駆け寄ってきた。ミカは赤タカヒトの横に配置すると桜色に輝き戦闘体勢を整えた。


 「あら、彼女も参加?・・・ちょっとした合コンね。始めましょうか。」


 語り終えた次の瞬間、瞬時に移動したギガスはミカの目前にいた。その高速移動にミカは驚き赤タカヒトはすぐさま反応したがギガスの動きはそれを超えていた。

 成す術もなくミカがその場に倒れ込んでいく姿が赤タカヒトにはスローモーションのように映った。激怒した赤タカヒトは反撃するがヒラリとかわすとギガスはカオスのいる位置まで高速移動して戻った。


 「くそが!」


 ギガスを睨みながらもミカを心配し抱かかえると赤タカヒトはトレブシェルへ歩いていく。ギガスがどのような攻撃をしたのかはわからないがミカはただ気絶しているだけのようだった。ミカをトレブシェル内の安全な場所へおろすと赤タカヒトは紫玉と白玉に話しかけた。


 「おい!白、紫・・・助けがいる。協力しろ!」


 (赤ちゃん、それがものを頼む態度?)(白玉)


 (フフフ、これでも頭を下げているつもりらしい。

  協力しょう。そうしなければ奴らには勝てないのだから。) (紫玉)


 「あらあら、合コンは終わりなの?残念ねぇ~~。」


 トレブシェルより一人戻ってきた赤タカヒトに扇子を手にしたギガスはつまらないそうに言った。


 「安心しろ!合コンは終わりだが二次会を用意してある。」


 赤タカヒトの闘気が高まると同時に身体のまわりに白紫色も輝き始める。その三色の輝きが増すにつれてギガスとカオスの表情が険しくなる。


 「最高のパワーだ・・・いくぜ!」


 更に輝きを増していく赤白紫タカヒトはギガスとカオスに飛び掛っていく。赤白紫タカヒトの左蹴りがカオスの顔面をヒットしたと同時にギガスに向けて左腕一本で紫玉上級理力アルティメットキャノンを放った。顔面を歪ませたカオスにも右腕で赤白玉上級闘気複合技ハイパーメガフレアを続けて放つ。無防備の状況で直撃を喰らったカオスはその衝撃に森のほうへ吹っ飛んでいった。

 ギガスもアルティメットキャノンを喰らったが扇子を巧みに使い致命傷は避けるように受け流すとギガスはその場に立ち留まった。森に吹っ飛んでいったカオスも直撃を受けたものの機能低下には陥ってはおらず再びギガスのもとへと戻ってきた。この赤白紫タカヒトの攻撃によりカオスとギガスの表情がガラリと変わった。いままでの余裕は全く無く、それはまさに戦士の顔となっていた。


 「やるわねぇ~・・・アレスの坊やがやられるの無理ないわ。

  カオス、本気でいくわよ!」


 「圧縮率・・・上昇 バースト率・・・最大値・・・」


 カオスの身体がひとまわりもふたまわりも大きくなっていく。地面が震えあがりそれと同調するようにカオスのエネルギーが高まった。地面の震えが静まる頃、カオスの風貌は異様なものへと変化していた。以前戦ったカオスとは姿形がまるで違っていた。見事にビルトアップされた肉体と言うよりは肉団子と表現したほうが正解であろう。

 カオスの姿にも驚いたが本気になったギガスの姿がまったく変わらないのも赤白紫タカヒトにとって警戒すべき事であった。カオスは右腕を軽く振り回すとその風圧が赤白紫タカヒトに襲いかかる。


 「くそが、なんてパワーだ!」


 赤白紫タカヒトは風圧に耐えながらなんとか体勢を整えた。普段、無表情のカオスが赤白紫タカヒトを見て強者に巡り会えたことに興奮すると一気に突っ込んできた。間合いに入ったカオスが右腕を振り下ろすと赤白紫タカヒトは軌道を確認してメガフレイムソードでそれを防ごうとした。

 だがカオスの右腕とメガフレイムソードが激突した瞬間、メガフレイムソードは砕け散った。折れたフレイムソードを手に驚愕する赤白紫タカヒトの瞳にカオスの巨大な左拳が映ると次の瞬間、トレブシェルの壁に赤白紫タカヒトの身体がめり込んでいた。


 「あっ、が・・・」


 カオスは両手をトレブシェルに向けると連続衝撃波が赤白紫タカヒトの身体に襲い掛かる。防御する暇もなく連続衝撃波を喰らい続け壁にめり込む。赤白紫タカヒトの身体を支えきれずにトレブシェルの壁にヒビが入る。カオスの連続衝撃波はよりいっそう強力なものになり赤白紫タカヒトの身体はトレブシェルの壁を破壊して内部に入った。トレブシェルのフロアでは赤白紫タカヒトが大の字で倒れていた。


 「追撃モード開始・・・・!!」


 追撃するべくトレブシェルへ向かおうとしたカオスに一閃の波動が放たれた。その波動を間一髪かわすとカオスはその先を見据えた。そこには金色の輝きを放つ赤白紫タカヒトが立っていた。赤白紫タカヒトは衝撃波の連撃を喰らいながらも徳の水筒を飲んでいたのだ。


 「今のは結構効いたぜ・・・時間もねぇ、一気にいくぜ!!」


 金色の赤白紫タカヒトはカオスに向けて赤玉上級闘気メガフレアを放つ。それを衝撃波で打ち消したカオスの目前にはすでに金色の赤白紫タカヒトがいた。

 カオスは防御する間もなく金色の赤白紫タカヒトの白紫玉複合技上級心力メガアルティメットキャノンを喰らった。


 「オッケー、直撃コース!」


 直撃を受けたカオスは間違いなく致命傷であるはずだと金色の赤白紫タカヒトは確信していた。しかしカオスが直撃を受けた直後メガアルティメットキャノンの威力が少しずつ弱まって消えていった。もちろん金色の赤白紫タカヒトの最大級の技の直撃を受けたカオスは機能低下しているらしく動こうとはしない。金色の赤白紫タカヒトが異変に気づきギガスのほうを見る。空中に浮いていたギガスは両腕を前方に向けてメガアルティメットキャノンの波動を吸収していた。


 「あらあら、ばれちゃった?そう・・・これが私の力よ。

  我が黒玉、暗黒の力を持つ者の力。思い知るがいいわ!」


 ギガスの身体が黒い輝きを放ち出していく。両腕を開きその黒い輝きが弱まると同時にギガスの右腕が紫色に輝きだした。次第にそれは大きくなって紫色の波動玉を創り出した。

 金色の赤白紫タカヒトがそれに気付いた時のそれより速くギガスはその紫色の波動を金色の赤白紫タカヒトへ向けて放った。見覚えのある紫色の波動アルティメットキャノンが金色の赤白紫タカヒトに襲い掛かる。瞬時に回避した為、直撃は避けたが・・・。血の流れる右肩をおさえながら金色の赤白紫タカヒトはギガスを睨みつけた。


 「てめぇ~・・・・この技は・・・」


 「暗黒の力をただエネルギー吸収するだけと思っていたのかしら?

  吸収したものを放出することも出来るのよ。しかも改良してね!」


 「改良だと?・・・ぐわあぁぁぁ~!」


 ギガスの放ったアルティメットキャノンをかわした金色の赤白紫タカヒトであったがそれは大きく弧を描いて再び襲い掛かってきた。気がついた時にはすでに遅く金色の赤白紫タカヒトは背後からアルティメットキャノンの直撃を受けた。

 金色の赤白紫タカヒトが倒れたと同時に徳の水筒の効力も消え、倒れたタカヒトにはすでに意識はなかった。


 「・・・やったのか?」


 アレスとカオスがダメージを回復してギガスの元へ向かってきた。トレブシェルのフロアにはギガスの放ったアルティメットキャノンの直撃を受けて倒れているタカヒトを三獣士が並んで見下している。トドメを刺そうとアレスが中級闘気イレイザーを倒れて意識のないタカヒトに放った。

 菜の花色の波動がタカヒトの命を奪おうと鋭く放出されたが直撃する寸前に緑色の球体がそれを受け止めた。


 「誰だ?」


 アレスが壊れかけたトレブシェル内部のドアに視線を向けるとてんと、リナとポンマンの三人が立ち並んでいた。


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