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未来のきみへ   作者: 安弘
地獄道編
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トレブシェルでの攻防

 「いえ・・・邪悪で巨大な力を感じます。」


 ウンディーネは追撃が予想されると警戒を怠らなかった。実際その予想は的中した。アレスは飛行艇の甲板に出てくると船首に立つ。強風によりアレスの赤いマントがなびいている。両手を合わせ、闘気を高めると茶色の輝きが増していく。みなぎる力に笑みを浮かべ、泉を見下ろすと水に揺れてトレブシェルがうっすらと見えた。


 「くらえ、茶玉最大闘気 ガイヤ!」


 泉の底が熱を発した瞬間、岩が持ちあがりマグマが押し出された。トレブシェル自体は結界が張られているのでマグマや熱の被害は受けないが、泉の水はマグマにより次第に蒸発し、泉の底に沈んでいたトレブシェルがその全貌を現した。全体が白くガラスのようなトレブシェルに飛行艇からデモンズが次々と飛来してくる。


 「いくぜ、野郎ども!」


 デモンズ達はトレブシェルに降下していくと覆っている結界へ集中攻撃を仕掛た。地上からもギガスの指示を受けていたヘルズ達が泉の底へ押し寄せてきて結界を造り出しているターミナルポイントを次々と破壊した。それらの攻撃によりトレブシェルを覆っていた結界の効力は次第に弱まっていく。トレブシェル内ではタカヒトが落ち着き無く共鳴石の部屋をウロウロしていた。


 「あわわゎゎ~ どっ、どうしょう。」


 「タカちゃん、慌てないの。大丈夫だから心配しない!」


 「・・・・うっ、うん。」


 (わっはっはっ、タカヒトもミカの前じゃあ形無しだな!)(赤玉)


 ミカに叱られているところを赤玉にからかわれてすっかり落ち込んでしまったタカヒト。そこへウンディーネが近づいてきた。


 「能力アップが完了しました。しかし潜在意識の安定化の為、少しだけ時間が必要です。それまであなた方にトレブシェルの防衛にあたってほしいのです。お願いを聞いていただけますか?」


 「うん、分かった。でも・・・」


 「もちろん、私も行くわよ。」


 「ミカちゃん・・・でも・・・」


 「ほら、行くよ。」


 ミカに背中を押されながら一緒にトレブシェルの外へと歩いていく。外に出たタカヒトがその光景を見て頭に浮かんだものは絶望という二文字だろう。トレブシェルの上空にはデモンズ達が、地上にはヘルズ達が物凄い形相で結界を破壊している。呆然としているタカヒトの意識に白玉が語りかけてきた。


 (数分で結界の一部が完全に崩壊される。ねぇ、僕にやらせてよ。

  デビュー戦での黒星から立ち直りたいんだ。) (白玉)


 (何、しゃしゃりでてんだ!

  この場合は俺様に決ってんだ!だろ、タカヒト?) (赤玉)


 「えっ・・・・」


 赤玉は反対したが白玉は熱望していた。タカヒトはかなり悩んだが白玉の熱意に押され承諾する形になった。喜んだ白玉がタカヒトの意識を支配するとタカヒトの髪の色や瞳が白くなった。


 「壊れたぞ!野郎ども、一気にいくぜ!」


 その瞬間、白タカヒトのいる前方の結界が完全に崩壊し、鬼のような形相をしたヘルズ達が一斉に押し寄せてきた。


 「ミカちゃん、待って!僕が行く。」


 反撃しようとするミカを制止させると白タカヒトは左腕を押し寄せてくるヘルズ達に向けて衝撃波を放った。押し寄せるヘルズ達は吹き飛ばされていく。続いてデモンズ達も侵入してくるが、マシンガンのように繰り出される衝撃波にデモンズ達もヘルズ達も地面に倒れこんでいく。しかし、しばらくするとムクリと起きあがりデモンズ達もヘルズ達も筋肉を隆々とさせて威嚇してきた。


 「きかんわい!もっとごっつうしたのださんかい!」


 「鍛えに鍛えた筋肉をなめんなや!」


 白タカヒトの衝撃波を受けても強靭な肉体を持つデモンズ達もヘルズ達にはダメージを与える事が出来ず、マッスルポーズを決めるデモンズ・ヘルズ軍団。


 「やっぱり無理かぁ~・・・わかってはいたんだけどね。

  ねぇ、紫玉くん!力貸してくれない?」


 (よかろう) (紫玉)


 (?・・・ちょっと待ちやがれ!てめぇ~、自分でなんとかするんじゃねえのか? 

  てゆうか、なんで俺様じゃねえんだ?) (赤玉)


 「赤ちゃん!ちょっと、黙ってくれる。僕は紫玉くんと話しているんだから。」


 (※!#?+・・・) (赤玉)


 怒り狂う赤玉を無視して紫玉は白タカヒトに力を貸すことを承諾した。白タカヒトを紫色の輝きが包んでいくと白紫タカヒトは両手を向かってくるデモンズ達もヘルズ達に向けた。


 「白紫玉複合技 上級心気 メガアルティメットキャノン!」


 紫色の巨大な粒子砲に白玉の衝撃波が加わりその威力は数段増していく。強靭な肉体を誇っていたデモンズやヘルズの身体をいとも簡単に溶かしていった。それは粒子砲というより馬鹿デカい粒子の剣のようにも見えた。白紫タカヒトはその馬鹿デカい粒子剣を振り回すと周囲にいるデモンズ達もヘルズ達が斬り裂かれていく。


 「よし、仕上げはこれだ!」


 白紫タカヒトは粒子剣を振上げると上空の飛行艇に突き刺した。心臓部といえる動力部を破壊された飛行艇は推進力を失い、煙をあげながら降下していく。そして爆音をあげ地上に落ちると焼け残った森の木々をなぎ倒しながら飛行艇は停止した。


 「くそったれ!」


 炎のあがる飛行艇のパネルを突き破ってアレスが飛び出してきた。怒りに肩を震わせながらトレブシェルに降下してきた。機能を回復したカオスもアレスの後を追ってトレブシェルに降下してくる。そこへお気に入りの着物を着こなし、扇子で顔を覆いながらギガスもやってきた。地獄道最強の三獣士を目の当たりにした白紫タカヒトは戦慄を憶える。


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