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未来のきみへ   作者: 安弘
地獄道編
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同種の能力者

 「さてと・・・待たせちゃったね。」


 「・・・・」


 赤タカヒトから白タカヒトに選手交代したわけだが海面上の亜人種は微動だにしなかった。そのような変化は亜人種にとってどうでもよいことなのかもしれない。亜人種は白タカヒトを睨みつけるといきなり衝撃波を放った。しかしその刹那、白タカヒトも衝撃波を繰り出すと空中で衝撃波同士が相殺された。この出来事にはさすがに亜人種も動揺した。


 「えへっ、ビックリした?僕も同じ能力を使うんだ。君のと少し違うけどね。」


 海面に立っている亜人種はフワッと浮きあがると白タカヒト目掛けて一気に距離を詰めてきた。驚いた白タカヒトは防御に徹する。亜人種は近距離から連続蹴技を白タカヒトに浴びせる。白玉の能力である圧縮空気の応用で衝撃波の盾を作った白タカヒトは亜人種の蹴技をなんとか受け止めていく。


 「こっのぉ~!」


 白タカヒトも負けじと亜人種に蹴技を浴びせるが亜人種も同様に衝撃波の盾で防御する。亜人種は再び衝撃波を白タカヒトに放つが白タカヒトも衝撃波を繰り出し双方の衝撃波は空中で相殺され弾け飛んだ。今まさに亜人種と白タカヒトの力は拮抗していた。


 「結構やるねぇ~。君、名前なんていうの?

  僕とこれだけ渡り合えるなんてかなりの能力者だよね?」


 「・・・カオス。」


 「やっと喋ってくれたよ。へぇ~、カオス君っていうんだ。よろしくね。

  それじゃあ、カオス君・・・行くよ!」


 白タカヒトは自分の足元に圧縮空気の玉を二つ作るとその玉に乗った。ニヤリと笑みを浮かべた白タカヒトはカオスとの距離を瞬時に詰めた。二つの圧縮空気の玉は水の入った風船のようなもので玉に乗るとその部分が破ける。風船が破ければそこから水が溢れ出すように破れた部分から圧縮空気が一気に白タカヒトの身体を押し出したのだ。白タカヒトはカオスに近づきながら両手に圧縮空気の玉を作りだす。むかってくる白タカヒトにカオスは衝撃波を放つが両手に作った圧縮空気を巧みに使って白タカヒトはカオスの衝撃波を次々とかわしていく。


 「イッツ、クール!!!!」


 カオスは次々と衝撃波を放つがそれらをかわして白タカヒトは次第に接近していく。戦慄を感じたカオスが巨大な衝撃波をためこんで白タカヒトに目掛けて放った。


 「あまいよぉ~、とりゃあ!」


 間一髪のところで巨大な衝撃波をかわすとカオスの懐に入り込むことに成功した。白タカヒトは両手をカオスの腹部に押し当てると会心の衝撃波を放つ。カオスの腹部に異常な陥没が発生すると勢いよく海底へと落ちていった。


 「イエイ、僕の勝ち!」


 カオスとの戦闘に勝利を確信した白タカヒトはミカのいる浜辺へと飛んでいった。


 「どうだった?僕って凄いでしょ?」


 「・・・あれ、見て!」


 ミカの表情が急に曇り、その指さした方向に白タカヒトが視線を向けるとカオスが顔だけを海面から出して睨みつけていた。


 「あれ?生きてる・・・でも向かって来ないね?恐いのかな?」


 不思議がる白タカヒトを睨みつけながらカオスは微動だにしなかった。ただ機械混じりの声らしき音だけは白タカヒトとミカにもはっきり聞こえた。


 「ピッ、ガ、ガガ・・・損傷率55パーセント・・・右腕・・・破損・・・セーフティロック・・解除・・・スタビライザー解除・・・リミッター解除・・・・」


 白タカヒトの攻撃により負傷を負っていたカオスが海面より少しずつ浮きあがっていく。下をうつむきながら少しずつ浮きあがると再び海面に立つ。顔をあげたカオスの表情からはダメージを受けた様子は伺えない。

 白タカヒトを見据えたカオスは海面上を猛スピードで向かってきた。同様に白タカヒトもカオスに向かっていく。すでに勝利を確信していた得意げの白タカヒトは衝撃波を繰り出した。カオスは衝撃波を受け続けるがダメージは全く受けてはいない。


 「効かない?じゃあ、これならどうだ?」


 白タカヒトは衝撃波の数と威力を増していくがそれらを浴びながらもカオスは白タカヒトの懐にいとも簡単に入り込んだ。動揺する白タカヒトの腹部へカオスの右膝が入ると九の字に折れ曲がった白タカヒトは苦悶の表情を浮かべた。


 「あががが・・・!!」


 次の瞬間、白タカヒトの視界に映ったものはカオスの左脚だった。蹴りを浴びた白タカヒトは上空のカオスを見つめながら海底へと落ちていく。沈んでいく白タカヒトを追ってカオスも海中へと潜った。


 「もっ、ごごご、もごご・・ぶっ!」


 息を堪えながら反撃しようとするがカオスがそれをさせない。海中でもスピードの落ちないカオスは白タカヒトの背後にまわり込むと右拳を突き出した。

 海水が突き刺さるように海中から空中へと飛ばされた白タカヒト。それを追ってカオスが海中から飛びだした。


 「くっそぉ~・・・どこだ?」


 白タカヒトは空中でなんとか体勢を整えて海面を見るがそこにカオスはいない。カオスの気配を感じて頭上を見上げたがすでにカオスは衝撃波を繰り出す体勢にあった。

 白タカヒトは回避する余裕もなくカオスの怒涛の衝撃波を浴び続けて海中へと再び落ちていく。カオスは攻撃を止めようとはせずに衝撃波を繰り出し続けた。


 「あがががががが・・・・・」


 衝撃波を浴び続けた白タカヒトは海底へと打ち付けられその身体は海底の砂に埋もれていく。衝撃波がおさまった頃、白タカヒトは覆いかぶさった砂をどけて立ちあがろうとしたが膝はガクガクしてうまく立てない。

 カオスを攻めて倒したはずが今では自分が瀕死近い状況に追い込まれている。状況を理解出来ない白タカヒトの心に紫玉は語りかけた。


 (白玉よ。カオスは急激にその力を増した。今のままでは勝てないぞ!)(紫玉)


 「うるさい!黙っててよ!」


 紫玉の話に耳を傾けようとはせずにガクガクしている膝をなんとか押さえ立ちあがると空中に立っているカオスを睨みつけた。白タカヒトは最後の力を振り絞って海面にあがると衝撃波をカオスに撃ち込んだ。カオスはその衝撃波をいとも簡単に腕のみで打ち落としていく。 


 「うわあああああ~~~ちくしょうぉ~~なんで僕の攻撃が効かないんだぁ~~~!」


 白タカヒトは涙を流して泣きながら衝撃波を乱れ撃つ。カオスは衝撃波をかわしながら海面に立っている白タカヒトに衝撃波を溜め込みながらゆっくり向かっていく。近づいてくるカオスに蹴撃を繰り出すが紙一重でかわされるとカオスの左膝が白タカヒトの腹部にめり込んだ。


 「うごっ・・・がはっ!」


 苦しみに悶える白タカヒトの顔面にカオスの特大衝撃波が放たれた。ゆっくり海底に沈んでいく白タカヒトの瞳にぼんやりとカオスの無表情な顔が映っていた。意識を失いかけている白タカヒトに紫玉が必死に話かける。


 (おい!白玉・・・大丈夫か?) (紫玉)

                  

 「うっ・・・紫・・・玉くん?やっぱり・・・ダメだったよ。」


 (なんとか大丈夫らしいな。よく聞くんだ!ヤツは強い。おまえや赤玉の単独攻撃では勝てない。だが我々の力を合わせればヤツに勝てる要素は十分にありそうだ!意識を赤玉に戻せ。反撃の開始だ!) (紫玉)


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