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未来のきみへ   作者: 安弘
地獄道編
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その名は死神ディーノ

 「何処まで行くんだろ?」


 「わからないわ。この子に聞かないと・・・。」


 ミカは麒麟の首を撫でた。てんとのいる場所から飛び立ってかなり時間が経った。今はただ雲の中を天へ突き進んでいくだけだった。それからどれくらい経ったのだろうか・・・雲を抜けて青空の見える場所に辿り着いた。麒麟が雲の上に降り立つとゆっくり腰をおろした。 

 タカヒト達は辺りを見渡したが雲と青空以外何も見えなかった。変化のない光景に麒麟の背中でウトウトすると睡魔に襲われたタカヒト達は眠ってしまった。


 「・・・よ・・・よぉ~・・・お・・・き・・てけ・・れ おきてけれ!」


 タカヒトとミカはビックリして飛び起きた。目の前には異常に顔がデカくしかも顔の半分を占めるほどのデカい一つ目の恐ろしい魔物がいた。タカヒト達は麒麟の背中を降りるとキョロキョロと辺りを見渡した。タカヒトは心の中で魔物?と警戒していた。その表情を見た一つ目はクスッと笑うと口を開いた。


 「残念ながら魔物ではないらよ。」


 「! ・・・・僕の心が読めるの?」


 「アハッ、違うらよ。そんな顔してたら誰でもわかるらよ。」


 一つ目は自らをディーノと名乗り徳寿より使命を受けていると言った。本来なら天道で会うことになっていたがディーノは天道が嫌いだと言う。その代わり気に入っているこの場所で会うことに勝手にしたらしい。もともと麒麟はディーノのペットである為、主人のもとに来る事は当然だと豪語した。長いディーノの話を聞いている間もタカヒトは地獄道で待っているてんと達のことを考えていた。


 「僕達はすぐにでも戻りたいんだ。何をすれば良いの?」


 「焦ることはないらよ・・・・」

 

 タカヒトがディーノに問い掛けるとディーノは目を閉じた。ほんの一時が過ぎて焦り出したタカヒトは怒鳴るように言った。


 「ディーノ!僕は何をすればいいの?」


 タカヒトに言われ、ディーノは少しずつ目を開いていく。いったいどんな試練が待っているのかと考えながらタカヒトは固唾を飲み込みディーノの口が開くのを待った。目をしっかりと見開きタカヒトとミカにディーノは静かにそれでいてハッキリと答えた。


 「・・・・あっ、ゴメン!寝ちゃってた。」



 一方、てんと達はというと・・・水の精霊ウンディーネのいる遥かなる泉を目指していた。地獄道に唯一存在する聖なる泉はウンディーネの力により邪気なる者を近づけない結界が張り巡らされていた。 しかし泉へ行くには地獄の一丁目を通り抜けなければならない。しかも地獄の一丁目はギガス率いるヘルズ軍団の拠点となっている。徳寿の計画で定期的に食料などが地獄の一丁目に運ばれるらしくその荷台に隠れて侵入することになった。そして今、てんととポンマンはその荷台に隠れて地獄の一丁目へ向かっていた。



 「ちょっとぉ~~ 寝ないでよねぇ!」


 「ごっ、ごめんらよ。

  ずっと待っとったからつい・・・気を取り直していってみるらよ!」


 軽くキレ気味のミカにハンカチで顔の汗を拭きながらしどろもどろのディーノはふたりを連れて歩いていく。すると天空に伸びた雲の木がタカヒト達の視界に入ってきた。ディーノの話ではこの雲の木は天道まで伸びているらしい。


 「この雲の木を登らなければ天道に行けないのかぁ~。どうやって登るの?」


 不安になったタカヒトはディーノに問い掛けた。ディーノは両腕の手のひらを返して首を横に振ってみせた。


 「登る?違うらよ。ドアを開けてこの中に入るんらよ。」


 ディーノは幹に付いているノブを廻して中へ入るとタカヒト達も続いた。そこはいままでいた雲の世界とは全く異なっていて地も天もない不思議な空間だった。ディーノの後をついて行くとテーブルらしきものがあり、その上にはひとつのグラスが置いてあった。

 飲み物とは思えない色をしていてタカヒトはまさかとは思ったのだが、ディーノはタカヒトにグラスに入っている飲み物を飲むように言った。タカヒトはやっぱりと思いグラスを見つめたがそれ以上にこの空間が気になっている。


 「ちょっと、待ってよ!その前にここはどこなの?天道??」


 「天道ではないらよ。ここは無空間らよ!」


 無空間とは天道や地獄道、狭間とも違う異質の世界でここは無空間のほんの一部らしい。地獄道に堕ちた魂でも救いようのない魂やソウルオブカラーの所有者や狭間に堕ちた者達がその命を終えた時、その魂はここに連れてこられるらしい。 


 「気をつけるらよ。出入口を見失うと出られなくなるらよ。ここへ来ては彷徨う魂が

後を絶たないらよ。」


 ドンヨリして灰色によどんだ無空間はどこまでも続く限界のない場所でそれが恐ろしく見えて、タカヒトとミカはピッタリとくっついた。

 

 「タカヒト、持ち物を全部テーブルの上に置いて、グラスの飲み物を飲むらよ。」


 「本当に・・・飲むの?」


 「大丈夫らよ、毒じゃないらよ。」


 嫌々ながらも言われた通りにテーブルの上のグラスを持ったタカヒトは素直にそれを飲んでいく。すべて飲みきったタカヒトはなんとも言えない表情をしている。


 「味とかないんだね・・・あれ?なんか苦しく・・・ガハッ、ゲホッゲホッゲホッ!」


 「タカちゃん!どうしたの?」


 グラスを落として、その場に膝まついたタカヒトは苦しみ悶えだした。近くにあったテーブルはひっくり返り、水筒と赤玉、紫玉が床に散乱していく。床を転がり悶え苦しんでいるタカヒトをミカは必死になって容態を確認する。動転したミカが部屋の壁にもたれ掛かっているディーノを睨みつけた。


 「ディーノ!どういうこと?

  なんでタカちゃんがこんなに苦しんでるの?ねぇ!どうして?」


 「誰でも信じすぎなんらよね!騙されたほうが悪いんらよ。いやぁ~、他人の苦しむ姿を見るのはなんとも楽しいものらね!」


 「あなた・・・何者?」


 「ワスは死神・・・死神ディーノらよ!」


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