表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来のきみへ   作者: 安弘
修羅道編
39/253

灰玉の力

 金色紫炎キャノンが直撃したドレイクは逃走を計るが膝から崩れ落ちもはや反撃できる状態ではなかった。リナを抱きかかえながらタカヒトの攻撃を警戒しているドレイク。


 「はん、いよいよ幕引きだな!トドメだ!!」


 金色の赤紫赤タカヒトはドレイクに接近すると拳を固めた。だがその時、金色の赤紫タカヒトに異変が起きた。両手は力が抜けたようにだらんとたらし、膝がカクンと曲がると地面に倒れ込んだ。


 「なっ、何だ?・・・・この脱力感は??」


 膝まずき何の抵抗も出来ない金色の赤紫タカヒトを見下すようにリナを抱きかかえたドレイクは立ちあがった。


 「どうやら形勢逆転のようだな。」


 何も出来ない金色の赤紫タカヒトはドレイクの服にしがみつき最後の抵抗をした。その手を蹴飛ばすと冷静にドレイクは灰玉の力を明かした。ソウルキラーである灰玉はすべての能力を無効にする。つまりどのような能力を持っていても灰玉の能力の前に成す術がないのだ。能力が使えない金色の赤紫タカヒトの表情は絶望感でいっぱいだ。


 「この灰玉さえあれば俺は無敵だ!」


 「くっ、あと少しだったに・・・・なんちゃって!」


 「何???」

 

 「バァ~カ。なぁ~んもわかっちゃいねえなぁ~。お・し・ば・いだよ!灰玉の能力を俺様が知らなかったとでも思ったのか?徳の水筒にはバリアの効力もあるんだぜ。だから灰玉の能力は俺様には効かないってわけだ!だけど・・・おまえは違うよな?」


 「ぐっ!!!」


 「灰玉はソウルキラーだ!それはもちろんおまえにとってもな。灰玉の能力を使っている時は茶玉も牡丹玉の能力も無効だ。だが俺様は違う!さてと・・・大トリの最後の派手な演出だ。くらいやがれ!赤玉上級闘気 メガフレア」


 ドレイクの眼下に膝まずいていた金色の赤紫タカヒトから激しい火炎柱が放出される。リナを左腕で抱きかかえるとドレイクは右腕で火炎柱を受け止めた。


 「ぐがあぁぁぁ~~!!」


 「ドレイク!!」


 激しく燃える火炎柱にドレイクの右腕は黒く皮膚はただれ大量の血が流れた。地面に焦げ落ちた腕は燃え尽き、苦しみもがくドレイクに金色の赤紫タカヒトはトドメを刺そうとした。しかし寸前のところでリナが金色の赤紫タカヒトの前に立ち塞がった。痛みを堪えながら右肩を止血するように左手でおさえているドレイクを守るように両腕を広げ金色の赤紫タカヒトを真っ直ぐ見つめて対峙している。


 「もう傷つけさせないわ。私が守る!」


 「そうかい。じゃあ、おまえから・・・なんだあれ??」


 砲玉が飛んできたことに気がついた金色の赤紫タカヒトは火炎の波でそれを受け止めた。その直後、徳の効力が消え、赤紫タカヒトから金色の輝きがなくなった。砲撃の先を見るとチモネガがバルキリー部隊を引き連れて総攻撃を仕掛けてきていた。すると赤紫タカヒトの無事を確認したてんと達は繰り返される大砲撃に対してすべての力を防御に注いだ。赤紫タカヒトとてんと達はバルキリー部隊の大砲撃に防戦一方で後退を余儀なくされた。そんな赤紫タカヒト達をチモネガは嘲笑っていた。


 「ガッハッハッハッ もはや敵は虫の息じゃ!攻撃を続けろ・・・なんじゃ?ドレイク!増援がきたのじゃ。あやつらをはよう仕留めよ!」


 チモネガの罵声が辺りに響き渡りドレイクは必死で立ちあがろうとしていたのだが出血があまりにも酷くリナに支えられなければ立つ事も出来ないほどであった。複数のバルキリー兵士の担ぐ神輿のような形の王座に座っているチモネガの目には右肩から先を失い瀕死状態のドレイクの姿が映った。そこにはいつもの勝ち誇ったドレイクの姿はなく血と泥に塗れた哀れな小さい存在に見えた。王座の上でニヤニヤ笑いながらチモネガは吼えた。


 「この役立たずめが・・・ドレイクもろとも叩き潰せ!」


 チモネガは赤紫タカヒト達のみではなくドレイクとリナの抹殺も命じた。バルキリー全部隊が前面に進んでくるとリナの切実な声も届かず総攻撃が開始されていく。右腕を失い瀕死状態のドレイクを守っているリナの防御も圧倒的な砲撃の前に屈していく。激しい砲撃に地上は砂埃が舞い上がり草木に火が燃え移り辺りが炎で包まれていく。追い詰められていく状況の中ミカがドレイクとリナの近くまで走っていくと桜玉理力サクラリーフを放った。思いもつかないミカの行動にリナは呆気に取られていた。ミカのサクラリーフはバルキリー部隊の総攻撃からリナとドレイクを守っている。


 「・・・どうして?私達はあなた達を殺そうとしていたのよ!」


 「そんな事わかってる。でも・・・あなた達のこと、ほおっておけないの!」


 懸命にそして必死にリナとドレイクを守っているミカ。砲撃が増してサクラリーフも限界に近づいているがそれでも理力を高め抵抗している。


 「・・・・ありがとう」


 涙ながらにリナは呟くと傷ついたドレイクを抱きしめた。


 「撃て、撃て、撃ち殺せ!」


 砲撃がミカに集中するとサクラリーフの一部にヒビが入り割れ始めた。異変に気づいたバルキリー部隊はその部分を集中的に狙って砲撃してくる。砲撃に振動にリナの胸元に頭を埋めていたドレイクが言った。


 「ドレイク・・・」


 「ぐうっ・・・どいてろ、リナ。」


 蒼ざめた表情のドレイクは闘気を振り絞り地面に左手を押し当てると地面が激しく揺れ、亀裂が走っていく。バルキリー部隊いる地盤が大きく裂け崩れると砲台の標準は定まらず砲撃が一時的に止まった。


 「リナ・・・逃げるんだ・・・・・・・」


 ドレイクはこの場から逃げるようにリナに伝えるとそのまま気を失った。ミカはサクラリーフを消すとリナと共にドレイクの肩を支えながら防戦中のタカヒト達のところまで歩いていく。ミカは勢いでリナ達のもとまで走ってきたがタカヒト達との距離はそれほど遠くなかった。ポンマンが手を振って安否を気にしている姿がミカからも見えた。ミカとリナはドレイクを引きずり歩いていくが体格の良いドレイクは重く思うように近づけない。


 「いでで・・・おのれぇ~~」


 地盤の崩れにより神輿の王座から転落したチモネガは顔中が泥まみれとなり怒りに震えていた。その眼に逃走していくドレイク達の姿が映ると歯ぎしりをして立ちあがった。兵士が持っていた小銃を取り上げると標準を合わせた。


 「ドレイクゥ~~死ねぇ~~~!」


 気絶していたはずのドレイクは殺気を感じると無意識にリナとミカを地面に押し倒すと自らが二人の盾となるべく覆い被さった。砲撃が止まっている中で銃声が確かに鳴り響いた。突然のことにリナは状況がわからなかったがドレイクの口から血が流れ倒れている姿が瞳に映った。ミカは再びサクラリーフを繰り出すとチモネガの銃撃からふたりを守る。桜ミカの足元では倒れたドレイクをリナが呆然と見つめていた。


 「ド・・・レイク?・・・ドレイク・・・」


 胸の出血は止まらず口からも大量の血を吐いたドレイクを抱きかかえリナは必死で呼びかけた。だがほんの少しの笑みを浮かべるだけでその顔は次第に蒼ざめていく。地盤が安定して攻撃態勢を整えていくバルキリー部隊の砲撃が再度開始していくと赤紫タカヒト達の防戦が続く。


 「くそったれめ!・・・・・いつまで続くんだ!」


 防戦はひたすら続き闘気が弱まっていく赤紫タカヒト達に対してバルキリーの総攻撃はさらに勢いと強さを増していく。彼らは成す術も無く終わるしかないのか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ