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未来のきみへ   作者: 安弘
餓鬼道編
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絶大なる力を持つ者

 タカヒトの耳に聞いたこともない声が聞こえた。てんともゲイルもほかの誰も一言も言葉を発していないし、もちろんそんな状況ではない。タカヒトは辺りを見回すと背後に赤い火の玉が浮遊していた。 びっくりしたタカヒトは驚いて腰を抜かすとその火の玉はゲラゲラと笑いだした。


 「わっはっはっはっ、別に俺様は死神じゃないぜ!

  面白いなぁ~、おまえ。がっはっはっ~~!」


 「??? きっ、君は・・・誰なの?」


 「はぁ~?・・・何言ってやがる!俺様は赤玉に決まってるじゃねえか!

  封印を解いたのはおまえじゃねえのか?」


 リディーネに奪われた赤い玉は赤玉自体を封印する器に過ぎずその器を破壊したためにこの世界に出てこられたと赤玉は語った。話を聞いていたてんとはある伝説を思い出した。その昔絶大なる力を持つ者が自らの力に酔いしれ、意味もなく都市の破壊を楽しんでいた。その行動に激怒した神が絶大なる力を持つ者を赤い玉に封印したというものだった。学舎で学んだ時、それは学徒を教育する為の作り話だと思っていた。しかしその伝説が実際にあった話だと今になって気づいた。


 「まぁ、いいや。それよりいいのか?このままだとかなりやばいぜ・・・

  俺様なら助けること出来るんだけどなぁ~~。」


 「ミカちゃんを助けられるの?」


 「もちろんだ!おまえ紫玉と契約しているだろ?ってことは波長が俺様も合うってことだ。俺様と紫玉は属性が似ているからな・・・俺様と契約しろ!

 でもそれだけじゃあ、奴には勝てないな。奴は紅玉を使いこなしているし闘気の量もかなりある。今のおまえじゃあ、逆立ちしても勝ち目はまず無いな!」


 「どうすれば、ミカちゃんを守れるの?」


 「それはな、おまえのすべての意識を俺様に明け渡すことだ。いいか、すべてだぞ!おまえの潜在能力はかなり高いと思うぜ。紫玉も認めたくらいだからな。俺様がおまえの身体を支配して能力をフルに使えば簡単に奴を倒せるぜ!」


 「ちょっと待て、タカヒト!

  こいつの言うことはうさん臭いぞ。何を考えてるかわからない。」


 てんとは赤玉の伝説を知っている。その乱暴さも分かっている。タカヒトの身体を奪ってこの場から逃げ去ることも考えられた。てんとの脳裏にはすでにリディーネから逃げる策が整えられていた。


 「赤玉は信用出来ない。すでにここから逃げる策は考えてあるのだ。そいつの言う事は気にせずにミカを助けこの場から撤退するぞ!」


 てんとはタカヒトに思い止まらせようとした。少しの間、沈黙が流れると痺れを切らした赤玉が急き立てた。


 「おい、どうすんだよ!やんのか?やらないのか?早く決めないとマズイぜ!」


 「・・・わかった・・・どうすればいいの?」


 「そうこなくっちゃな!やり方は・・・・」


 「おい、タカヒト!やめろ。危険すぎる。」


 赤玉が契約しようとするとてんとがそれを阻止すべく試みた。赤玉の力を借りずに別の方法でこの場から逃げようとしたのだがタカヒトは首を縦に振らなかった。


 「ムリだよ・・・リディーネの能力から逃れる可能性が低いことは僕でもわかる。このままだとミカちゃんが危ないんだ。今は赤玉を信じるほかに手がないんだ。」


 言われたとおりにすべてを赤玉に託すとタカヒトは意識を開放していく。それを見た赤玉は更にタカヒトに問い掛けた。


 「いいんだな? すべての意識を・・・心を解き放て!」


 タカヒトはうなずくと両手を開き、深呼吸をすると目を閉じて意識を開放していく。赤玉はタカヒトと同調していくかのようにタカヒトの身体の中に消えていった・・・。


 「あっはっはっはっ、もう限界?あたしに逆らおうなんて身のほど知らずな女ね。

  さあ、死になさい!」


 「くっ・・・もっ、もうダメ・・・耐えられないよ・・・」


 地面に座り込みミカの理力は限界に近づいていく。紅リディーネの業火が更に勢いを増していくのとは逆にミカのサクラリーフは次第に弱まっていく。サクラリーフが完全に消えてなくなると紅い業火がミカを襲う。ミカが瞳を閉じて死を覚悟した瞬間、ひとつの人影がミカの前フワリと現れて左手を差し出すと紅い業火を受け止めた。


 「・・・ん・・・?」


 ミカはうっすら瞳を開けて辺りを見渡すと目の前で赤タカヒトが業火を受け止めていた。地面に座り込みキョトンとしているミカに向かって赤タカヒトは口を開いた。


 「・・・ミカとかいったな?ちょっと退いてろ。俺様が奴を倒してやる!」


 「???・・・タカちゃん?」


 しかしすぐにミカにはそれがタカヒトでないことがわかった。姿形はタカヒトだがいつものオドオド感は全くなく、身体は赤く輝き、目が鋭く髪の毛も目も赤く光っていたからである。 

 業火を弾き飛ばした赤タカヒトは座り込むミカを軽々と抱きかかえて、てんと達のほうへ連れて行く。恥ずかしくて赤面しているミカをてんと達のいる場所に降ろし赤タカヒトは空中に浮かんでいる紅リディーネを睨み付けた。


 「おい、てめぇ!何様だ?この俺様を見下して・・・ぶっ飛ばすぞ、バカ女!」


 「なにぃ~~?あんたバカぁ~~?さっきの攻撃で勝てないってわからなかった?

  業火を受け止めた位でいい気にならないでよね。」


 闘気をあげた紅リディーネから更に紅い輝きが増すと周辺の空気がビリビリと揺れる。てんとはその闘気の大きさに驚愕している。その闘気を一気に開放したらここら一帯、焼け野原と化すことは間違いなかった。しかし赤タカヒトは微動だにせず紅リディーネを睨んでいる。


 「さて・・・待たせたわね!

  この私を怒らせたんだから死んで償いなさい。中級闘気 焦土」


 業火クラスの火炎の波が地面を這うように襲い掛かってきた。ミカにてんと、ゲイル、パンマン、そしてマーキュリーはすべての終わりを感じた。しかしただひとり赤タカヒトだけはそんな事など思ってない。赤タカヒト少しほくそえんだ後、闘気を一気に開放すると両手を紅リディーネに向けた。


 「いくぜ!赤玉中級闘気フレイム」


 赤タカヒトが闘気を一気に開放すると地面から炎の壁が現れて襲い掛かる火炎の波をすべて受け止めた。焦土の勢いは止まることはなかったが、それらのすべてを赤タカヒトの炎の壁が受け止めていく。自分と同等の力をもつ赤タカヒトに脅威を覚えた紅リディーネは困惑した。


 「・・・あんた、何者?」


 「俺様か?よぉ~~く耳の穴かっぽじいて聞きやがれ。俺様が赤玉だ!」


 「なるほどね。ソウルオブカラーとして私の力にならなかったわけか・・・

  私の敵ならその存在自体消すしかないわね!」


 「やってみやがれ!バカ女・・・俺様は強えぞ!」


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