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未来のきみへ   作者: 安弘
新天道編
233/253

ビックな戦い

 「ミカの様子はどう?」


 「意識は失っているけど大丈夫だよ。」


 アルヒャイ・キャッスル内の一室でミカはベッドで眠っていた。その隣で看病しているタカヒトにリナが声をかけてきた。タカヒトとリナ達が出会ったのは昨日のことだ。廊下を歩いているとミカを抱きかかえたタカヒトが歩いてきた。


 「タカヒトも休んだらどう?」


 「僕は大丈夫だよ。」


 「そう・・・。」


 リナもタカヒトの異変に気づいていた。小さかった身長も今ではリナよりも大きくなっている。急激な変化にリナはドレイクの言葉を思い出していた。


 「ああ、タカヒトなんだが・・・ちょっと混じっている感じがする。」


 タカヒトに看病を任せるとリナは部屋から出て行った。別室ではドレイクとアレス、リディーネらが待機していた。スマイルシステム兵も撃破した今、残る敵はピサロとビックボスとあと一人。


 「あのアリシアをタカヒトが倒したってのはさすがに驚いたぜ。」


 「さすがタカヒトちゃんてかんじだよね、リディーネちゃん。」


 「はん!運が良かっただけでしょ。タカヒトに倒せるんだったらアタシだったら楽勝。」


 「ピサロに動きはないようだ。ここらで俺たちも休息をとることにしよう。」


 アレスとリディーネが食糧庫から盗んできた乾燥肉を頬張りながらドレイクはベッドに横になった。リディーネが林檎を食べようとした瞬間、アレスがそれを奪いさった。


 「ちょっと、アタシの林檎よ。楽しみにしてたのに・・・殺す!」


 「うわぁ~、リディーネちゃんが怒ったよぉ~。」


 林檎を奪い合っているふたりを相手にせず、リナはドレイクのもとに歩いていく。リナも感じたタカヒトの変化をドレイクに伝えた。


 「そうか・・・」


 「タカヒトの変化はたしかに気になるわね。なにか、遠くなったような気がするわ。」


 「リナがそう感じるのならミカもそう思っているのだろうな。なにがあったのかはわからんが味方であることは頼もしいぜ。」


 「なにかが混ざったって言ったわよね?」


 「そうだな・・・まあ、そう感じたってだけだ。実際のところはわからん。」


 「スマイルシステムと関係は?」


 「ないだろうな。そんな表面的なもんじゃないぜ。もっと深い・・・説明しにくいな。とりあえず経過を見守ろうぜ。」


 そう言い残すとドレイクは瞳を閉じて寝てしまった。ベッドの隅に座ったリナも経過を見守ることにした。目の前では林檎を持ったアレスを激怒しているリディーネが追いかけていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 「タカちゃん・・・ここは?」


 「大丈夫だよ。ここは安全だから。」


 「うん・・・」


 ミカが意識を取り戻したのはかなり時間が経ってからのことだった。目の前にいるタカヒトに恥ずかしかったのか、布団で顔を半分隠した。部屋にはタカヒトだけしかいないことにミカは顔を真っ赤にした。ここにタカヒトがいるということはアリシアを倒したということなのか?そんな疑問が浮かびながらもタカヒトと再び会えたことをミカは素直に喜んでいた。


 「タカちゃん・・・あのね・・・」


 「ごめん・・・時間だ。」


 「えっ?」


 「ここにリッパー達を置いていくから安心して。」


 「どこに行くの?」


 「心配しないで・・・約束を果しにいくだけだから。必ず戻ってくるから。」


 タカヒトの真剣な眼差しにミカはドキッとした。その瞳からは以前のようなオドオドしたものはまったくない。タカヒトから決意のようなものが感じられ、ミカにはそれを止めることができなかった。


 「タカちゃん・・・気をつけてね。」


 「うん、リッパー、インフェルノ、パラディーゾ、ミカちゃんをお願い!」


 ミカを守るように神獣が姿を現した。笑顔のタカヒトはそのまま何も語らずに部屋を出ていった。廊下をゆっくりと歩いていくタカヒトは目前に人影を発見した。


 「独りで行くなんて水臭いぜ。」


 「・・・・」


 「ミカのことはリナにも任せてある。」


 「これは約束だし・・・」


 「俺もな、やり残したことがあるんだよ。」


 ドレイクは廊下を進んでいくとタカヒトも後を歩いていく。ドレイクとタカヒトは階段をのぼっていくと二つの扉があった。


 「さて、おまえはどっちに行くんだ?」


 「右に」


 「んじゃあ、俺は左だな・・・タカヒト!」


 「なに?」


 「一勝一敗ってのは勘弁してくれよな。」


 「ドレイクも気をつけて。」


 「ああ、んじゃあ、いっちょ、いったるか!」


 ふたりは扉を開けるとそのなかに入っていった。そこは薄暗く何も見えない。暗闇に目が慣れてきた頃、ドレイクの目前にはビックボスが立っていた。


 「ワシに剣術を教わりたい者はお前か?」


 「けっ、教わることなんざ無いぜ!ずい分、長生きしたろ?そろそろ往生したらどうだ?」


 「口の減らん奴め!剣術よりも礼儀から教えねばならんな。」


 「礼儀か・・・たまには年長者の無駄話でも聞いてやるとするか!」


 ドレイクは斬神刀を鞘から抜くと一気にビックボスとの距離を詰めた。


 「やはり来たのね。」


 「・・・・うん」


 「来たからには覚悟は出来ているんだろうね?」


 「・・・・」


 「容赦はしないよ!」


 「ねぇ、ビックママ・・・戦いをしないで話合いで解決できないの?」


 「話合い?相変わらずマッタリした空気感を出してる子だね。そんなことで解決するほど甘い世界ではないことはわかっているでしょ?」


 「避けられないんだね?」


 「ええ、もちろんよ。私にもやらなければならないことがあるわ。譲れないのよ。」


 「わかった。僕にもやらなければならないことがあるから・・・。」


 「そうよ、やるべきことをしなさい。それから逃げることは許されないわ。」


 「うん・・・・」


 タカヒトから激しくも深い緋色の輝きが放たれていく。その輝きに警戒するとビックママはタカヒトから距離をとった。タカヒトが何かをした動きは見られなかったがその頬には焼き斬られた傷が現れた。頬から流れる血を拭ったビックママは背中に冷たいものを感じる。


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