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未来のきみへ   作者: 安弘
新天道編
224/253

玄武の像

 「入口もないのにどうやって神殿内に入るんだ?」


ドレイクの問いかけに玄武は神々しい光を一枚岩に放つ。すると地盤が揺れ、一枚岩から岩が剥がれていく。だがあまりもの地盤の揺れにその場にいる誰もが立っていられなかった。


 「ちょっ、ちょっと!これってヤバいんじゃないの?」


 「アレ?リディーネちゃん・・・ひょっとして恐い?」


 「はぁ~、アンタ・・・アタシを誰だと思ってるのよ!破壊神よ、破壊神!こんなのが恐いわけが・・・きゃあ!!」


 「ハハハ、やっぱり恐いんだ・・・うわあっ!」


 揺れはおさまることもなく、さらに酷くなっていく。それはまさに天地がひっくり返りそうな勢いだった。誰もが立つ事もできず、地面にうつ伏せになった。どれくらい経ったのだろうか?揺れはおさまっており、恐る恐るリディーネは顔をあげた。皆がうつ伏せになって揺れがおさまるのを待つ体勢をとっていた。ホッとひと息つくと立ち上がったリディーネは言った。


 「ちょっと!アンタ達、いつまで寝てるつもり?」


 リディーネの激にミカ達は顔をあげるとゆっくりと立ちあがった。皆、無事のようだが異変に気付いたのはリナだけであった。そこにドレイクの姿がなかった。リナとミカが周囲を見渡したがどこにもドレイクはいない。それともうひとつミカが気付いたことがある。


 「あれだけ激しく揺れたのに地面に亀裂も木々も倒れていないね。」


 「もしかしたら・・・。」


 ミカの一言にリナは急いで一枚岩から離れるように走っていく。ミカも後を追いかけていくとリナは突然止まった。


 「ハァハァハァ・・・リナ、急にどうしたの?」


 「近すぎて見えないものってあるのね。あれを見て。」


 「えっ・・・あっ!」


 リナが指差した先には一枚岩が玄武の姿に変わった光景だった。リナはこの像の中にドレイクがいるのだと確信した。ミカに笑顔を見せるとふたりは像に向って歩き始める。一方、ドレイクは宮殿のような造りをした部屋にいた。部屋は異常なほど明るく驚いたことに廊下を歩くと歩く範囲の照明がつくようになっていた。


 「高度な文明がここには残っているようだ。」


 (ぶったまげたやろ。)(玄武)


 「リナ達がいないようだがどこに行った?」


 (外で待ってるんや。ここには選ばれし者しか入れんさかいな)(玄武)


 「選ばれし者か。でっ、その選ばれし者はどこに行けばいいんだ?」


 (こっちや。あれ見たら度肝抜くで、ほんまに!)(玄武)


 玄武の後をドレイクはついて行くが神殿の造りに驚いた。歩く範囲に点灯する照明にも驚かされたが、石積み造りも精密度が高かった。カミソリ一枚通さない密着性も凄いがそれ以上に・・・。


 「これってダイヤモンドなのか?」


 (そやで。)(玄武)


 「ダイヤモンドって加工できたか?」


 (凄いやろ!まあ、そないもんは中級や。ごっつ驚くもんがまだあるんやで。)(玄武)


 含みを持たせた言い方で玄武は先を進んでいく。不思議なことに豪華な廊下を歩いているが、斜面を下っているような感覚にとらわれた。片膝をつき、床に触れてみるが、斜面にはなってはいない。


 (なんや?)(玄武)


 「いや・・・なんでもない。」


 玄武の問いかけにドレイクは立ちあがると再び歩き始めた。かなり長い廊下を歩き続けたドレイクは変わらない光景に少し飽きていた。


 「これだけダイヤモンドがあれば、一生遊んで暮らせるな。おい、玄武!いったい何処まで行くつもりだ?」


 (なんや、疲れたんかいな?)(玄武)


 「フン、変わらない光景に少し飽きただけだ。」


 (この造形美がわからんとは・・・感性もなんもあらへんのやな。まあ、ええわ。そんなら、ワシにつかまれ。)(玄武)


 玄武はその場に止まる。ドレイクはその真意がわからないがなにも考えずに玄武に触れてみた。すると先ほどまでいた廊下がなくなり、目の前に真っ赤に燃えた球体が現れた。


 「なんだ・・・アレは?・・・ここはどこだ?」


 (アレはコアや・・・この世界を支えるすべてや)(玄武)


 コア・・・それはすべてのものを生み出す最初に生まれるエネルギー体である。コアが成長するにつれて、大地や木々、草花、石油などのすべてのエネルギーが生まれる。逆を言えば、コアが消滅すればすべてを失うことになる。ドレイクの目前にあるコアは元アムルタートの星で現在では新天道の星である。


 「天道とは言ってもコアを失えば消滅するってわけか・・・だが、ひとつ疑問がある。おまえに触れた瞬間にここに来れたのは何故だ?」


 (そんなの簡単や。ワシはこのコアを支配する者や。コアに近づくことなんかは簡単にできるってことやな。)(玄武)


 「つまり・・・わざわざ歩く必要もなかったと?」


 (そうやな!・・・イテッ!なにすんねん!)(玄武)


 「なにすんねんはこっちのセリフだ!あんな廊下歩かせやがって!水平な廊下が斜面に感じる変な感覚に襲われたじゃねぇか!」


 (殴ることないやろ・・・おのれは暴力者か!あの造形美を見せたかっただけや・・・あとな、目には見えへんかもしれんが、あの廊下は下ってるんやで。)(玄武)


 「・・・気のせいではなかったのか。それでここに来てどうするんだ?」


 (ワシのエネルギーを直接送るんや。ここのコアは他の星とも連動しているんや。せやからこれにエネルギー接続をしておけば、すべてのコアのエネルギーを得られるんやで。)(玄武)


 話を終えた玄武から神々しい輝きが放たれるとそれはコアに吸収されていく。それと反応するかのようにコアの動きが活発になっていくにつれてドレイクに恐ろしいほどのエネルギーがみなぎってきた。


 「おい・・・凄えぞ・・・ありえんくらいのパワーだ!」


 (せやろ?それが本来の玄武の力や。せやけどな、力の解放は創造神システムの開放にもあたるんやで。)(玄武)


 「つまり、ピサロが創造神システムを掌握することに力を貸した結果になるのか?」


 (そういうこっちゃ。まあ、この力がなければピサロには勝てへんのやし。)(玄武)


 「ああ、望むところだ!同じ土俵なら勝負にもなるだろう。他の四神も同じ力を得たことを今なら感じ取ることができる。奴との・・・ピサロとの決戦も近いぞ!」


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