秘密の部屋
ドレイクは目を光らせると城の捜索にあたった。しかしすでに捜索はリナ達が行っていたし、ドレイクも目ぼしいものを発見するに至らなかった。
「なんにも見つからねぇなぁ~・・・」
「私達も捜索したけど変わった場所はなかったわ。どこにでもある普通の城ってかんじかしら。」
「・・・」
「強いて言えばキングムタイケイトの部屋だけかしら。あそこに入った時、ムタイケイトに囲まれて逃げてきたから。」
「・・・行ってみる価値はありそうだな。」
ドレイクとリナはカルロスの部屋へと向う。部屋に入るとカルロスとミカ、マイコとカーペントが片付けをしていた。カルロス本人も趣味でなかったアリシアの写真入り額縁を外してかなりスッキリした空間に変った。
「リナ、どうしたの?」
「ドレイクが秘密の部屋を見たいっていうから。カルロスの手伝い?」
「うん、そうだよ。」
リナとミカが会話を楽しんでいるとドレイクは黙って奥にあるキングムタイケイトの部屋へと入った。窓もなにもない石積みの部屋には以前いたムタイケイトはいない。石積みも変わった様子もなく、ドレイクはひとつひとつ石を触って確認していく。
「なんにもねぇなぁ~・・・ここが怪しいと思ったんだけどな。」
ドレイクの期待していたなにかはそこにはなく、少しがっかりした様子でカルロスの部屋へと階段をのぼっていく。部屋に入るとミカが声をかけてきた。
「なにか見つかったの?」
「いや、あてが外れた。ここにはなにもなさそうだな。」
「そう・・・でもこっちでマイコちゃんがなにか見つけたようだよ。」
ミカがそう言うとマイコがアリシアの写真入り額縁を手に近づいてきた。マイコが壁にかかっていた額縁を外した時に異変に気付いたらしい。一見、普通の写真にも見えるがマイコいわく、データを物質化したものらしい。マイコはすぐに写真の分析に取り掛かる。
「やっぱりね。この写真はデータの集合体だよ。
データの種類からいうと・・・鍵かな。」
「なるほどな。
その写真を使って石積みの部屋に行けばいいんだな!マイコ、借りるぜ。」
ドレイクは奪うようにマイコから写真をとりあげると急いで石積みの部屋への階段を下った。しばらく経ってもなかなかドレイクが階段をのぼってこないことを心配したリナは階段を下ろうとするとドレイクがのぼってくる姿が目に入った。
「遅かったのね。」
「・・・・」
ドレイクの元気のない声にリナはあてが外れたのだと悟った。マイコは写真のデータからその場所を検索したが見つからなかった。わかったことはデータを、写真をかざすだけでその場所は反応を示すことだけだった。
「しかたねぇな・・・あらゆるところで写真をかざすしかないのか。ちと、面倒臭いもんがあるな。」
ドレイクは写真を手に両手を高く挙げると写真が急に光りだした。驚いたドレイクは写真の光が差すほうを見ると天井が大きく開口していく。そしてカルロスのベッドだけが天井に向ってあがっていくとその下に階段が現れた。開口した天井にベッドがあがっていくと再び天井が閉まっていく。完全に天井が閉じると静まりかえった空気感が漂った。最初に声を出したのはマイコだった。
「大掛かりな仕掛けのわりには大した事はなかったね。ただベッドをずらせばよかったんだ。」
「そうね・・・でも見つかって良かったよね。」
「ミカって前向きだよね。ドレイクはかなり落ち込んでいるようだけど。」
「マイコちゃん!それ言ったら・・・」
マイコとミカはドレイクを見つめた。しばらく黙り込んだ後でドレイクは何も語らずにベッド下の階段を降りた。その後をリナがついていくと今回はミカとマイコも一緒についていく。カルロスとカーペントは後をついていく気にはならなかったようでその場に残った。
「ここって・・・なんなの一体?」
マイコがキョロキョロと辺りを見渡した。長い時間をかけて階段を降りていく。ヒンヤリした空気が身体を覆った頃、それは姿を現した。暗闇に光るそれは神々しくも見える。
「綺麗なところね・・・地下のはずなのに星空みたい。」
ミカはしばらく地下の星空を見てウットリしていた。城内の地下への階段を降りてきたはずなのに夜に輝く星のようなものがまさに星の数ほど広がっていた。ミカとマイコは嬉しそうに星空を見ていたがリナだけはドレイクの反応がまったく違うことに気付いた。
「どうしたの、ドレイク?」
「コイツはすげぇもん見つけたぜ!アリシアが必死になって隠すのもムリないな。」
「ここは一体・・・」
「前に開放区って場所で創造神の扉を開いただろ。」
それは以前、黄泉の国にある解放区という場所での話である。八像と回転時間の法則を使い、ユラを救出する作戦をたてたがピサロの策略により扉が開かれた。しかし創造神の扉は完全には開かれてはいない。開放区には表と裏があり、表の扉と裏の扉を開かなくては完全に創造神システムを掌握できないのだ。
「古文書に記載されていた場所のひとつがここってわけさ。」
「ひとつ?やはり表裏四神の数だけあるってことかしら?」
「ああ、ここの感じからしてアレスの持つ白虎の配置されるスポットだろうな。ピサロが何を考えているのかはわからないが行動してみる価値はありそうだ。」
星空を眺めているミカとマイコを連れて階段をあがると部屋ではカルロスとカーペントが心配そうに見つめていた。ドレイク達の無事な姿を確認するとホッと胸をなでおろす。
「よかった。数時間も経つのに戻ってこないから心配したよ。」
「ああ、心配かけたな。アレスとリディーネは何をしてるんだ?」
「アレス様はメイド達と会話をお楽しみに、リディーネ様はダンスのレッスンをされております。」
「気楽な奴らだ。さて、腹減ったし飯を貰おうか。」
「かしこまりました。早速、ご用意いたします。」
カーペントは呼び鈴を鳴らすとメイドが数名部屋に入ってきた。用件を伝えるとすぐに準備に取り掛かる。食事を待つ間、部屋に戻ったドレイクは古文書を細かくチェックしていた。
「ねえ、ドレイク。この世界に四神のスポットがほかにもあるってことよね?だとしたら・・・」
「ああ、たぶん見つけていると思うぜ。アイツらもな。」
「近くにいるのかしら?」
「いや、それはなさそうだ。だがこの世界には必ずいる。それだけは断言できるぜ。おっ、呼び鈴が鳴った。飯食いにいくか。」
リナはミカとマイコを誘うとドレイクと共にダイニングルームに向う。そこはドレイク達、客人が使用する食堂である。ダイニングルームにはすでにアレスとリディーネが席に座って料理を食べていた。何も知らない彼らにタメ息をつきながらもドレイクも用意された料理を食べ始めた。