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未来のきみへ   作者: 安弘
新天道編
209/253

友との絆

 「我が能力に巻き込まれて死ぬがよい!」


 ゼカメアレインドの竜巻は巨大化して台風となると大樹木は根から引き抜かれ上空へと舞い上がっていく。


 「こいつはデカくでたな。どうするつもりだ?」


 「協力してくれないか?昔のように・・・。」


 「・・・・」


 「・・・やはりダメか。」


 諦めにも近い声を出した蒼龍ジェイドはエネルギー体をゼカメアレインドに放つ。だがゼカメアレインドにダメージを与えることすらできず、水の刃が放たれ蒼龍ジェイドの防戦が続く。その様子を伺っている緑てんとは動こうとはしなかった。


 「ぐあっ!」


 無数に振り落ちてくる水の刃をかわしきれなかった蒼龍ジェイドは右肩を切裂かれた。血を流し地面に膝をついた蒼龍ジェイドの頭上を無数の水の刃が落ちてくる。


 「死ね死ね死ね死ね!」


 寸前のところで球体が蒼龍ジェイドを包み込むと水の刃は弾かれて地面に突き刺さっていく。球体が消えると緑てんとが蒼龍ジェイドに近づいていく。


 「何をしている?おまえなら倒せない相手ではないだろう?」


 「一緒に戦いたい。昔みたいに・・・」


 「何を子供みたいなことを言っている!」


 「・・・それでもあの頃の思い出に触れていたい。」


 「ごちゃごちゃと何を言っている?我を侮辱しおって・・・死ね!」


 再び水の刃が振り落ちてくると緑てんとは球体のシールドでしのいでいく。しかし水の刃は巨大化しながら雨のように振り続き球体のシールドに亀裂が出来てきるとガラスのようにシールドが砕け散け蒼龍ジェイドと緑てんとを切り刻んでいく。


 「がっ、はっはは!刃の雨を浴びて死ぬがいい!」


 切り刻まれる緑てんとから血が流れていく姿に蒼龍ジェイドの感情が込み上げてきた。水の刃をかわすこともせず、ゼカメアレインドに両腕を向けた。一閃の蒼い光がゼカメアレインドに放たれると一瞬にして巨大な台風が消え去った。上空から何かが落下してくると2メートルくらいの虫が落ちてきた。四対の足を持ち、ダニのような姿をしている。


 「たっ、助けてくれ・・・死にたくない!」


 「却下だ・・・俺の友に手を出したんだ。死をもって償え!」


 蒼龍ジェイドが右手をゼカメアレインドに差し出すとその身体は四つに切裂かれた。四等分になったゼカメアレインドは死を感じることもなく消え去った。蒼龍が姿を消すとジェイドはてんとのもとに走っていく。


 「大丈夫か、てんと?」


 「大丈夫かどうかはおまえが判断すればわかるだろう。友が倒れているのに何をするか、わからないのか?」


 「・・・・ありがとう。」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「ここは何処なんだろう?あっ、タカちゃん達がいなくなっちゃった。」


 「そうね・・・ドレイクもいないわ。」


 「天道じゃないわね。ピサロが創った世界よ、きっと。」


 ミカとリナ、リディーネが話し合っているとロードギアからマイコが顔を出した。


 「おかしいね。

  ロードギアで方角を確認しようと思ったんだけどエラーが発生する。」


 「やっぱりそうよ。ピサロの世界に入り込んだんだ。」


 「これからどうする?私はタカちゃん達を捜したい。」


 「私もドレイクが心配だわ。変な女に引っかかっていなければいいんだけどね。」


 「男、男ってアンタ達それしかないわけ?」


 「でもタカちゃん心配だし・・・ちゃんとご飯食べているかな。」


 「そうね、ドレイクの女癖が悪いのよ。せめて私が一番でないとね。」


 「かぁ~、アンタ達!

  目の前にはピサロがいるのよ!ちょっとは気を引き締めたら?」


 「ねぇ、リディーネ。それってもしかして嫉妬?」


 「はぁ~、マイコ、アンタ何言ってんの?このアタシが嫉妬なんてするわけないでしょ。破壊神であるアタシは地獄道でも屈指の美人よ。男に惚れられることはあっても女に嫉妬することなんかないわ!」


 「ふ~ん、別にいいけど・・・

  ねぇ、あそこに屋敷みたいのがあるよ。行ってみようよ。」


 マイコはロードギアを走らせるとその後をミカ達が追いかけていく。それにしてもおかしな風景であった。地面は黒くドロッとして、木々も枯れて腐っていた。空はドス黒く光は差し込めてはいない。だが屋敷だけは妙に明るく引き立っていた。いや屋敷というよりは城に近い造りをしている。


 「ちょっと、マイコちゃん。ここはピサロの世界なのよ。急に動いたら危ないよ。」


 「大丈夫よ、ミカ。それにしても綺麗ね。私、こういうお姫様みたいなのって憧れていたんだ。でも誰もいないね。」


 「ちょっと警戒する必要があるかもしれないわね。」


 リナの言葉にミカとリディーネは周囲を注意深く観察するが・・・


 「大丈夫みたいね。ねぇ、中に入ってもいい?いいよね!」


 マイコのロードギアは城の中へと入った。慌てたミカ達も城の中へと侵入していく。城へ入ると目の前に大きな噴水が設置されていた。そのまわりをバラの花が咲いていた。マイコはロードギアから降りると噴水を眺めながらウットリしている。


 「マイコちゃん、ダメだよ!勝手に入っちゃあ!」


 「いいなぁ~・・・私もこういうところに暮らしたいなぁ~。」


 「もう、マイコちゃんたら!」


 呆れたミカがマイコを連れて城を出ようとした時、声をかけてくる者がいた。


 「なんて美しいんだ・・・」


 「えっ・・・あの・・・」


 「ああ、神は天女との出会いをお導きに・・・」


 「あの・・・すみません。すぐに出ていきますから。」


 「出て行く?なにをおっしゃるのです。おっと、申し遅れました。私は城主のカルロス。カルロス・ジュロムです。ここで会ったのも運命。

  どうぞ、城内へご案内いたします。」


 片膝をつき頭を下げたカルロスに困惑したミカ。マイコは大喜びすると勝手に城内に消えていった。カルロスはたちあがるとミカ達を城内へと案内していく。豪華なシャンデリアが眩いばかりに輝いていた。カルロスの前に黒服を着た年配の者が近づいてきた。


 「カーペント、お客様に最高のおもてなしを!」


 「かしこまりました。」


 一礼するとカーペントはミカ達を連れて廊下を歩いていく。ある部屋に通されたミカ達にカーペントが言った。


 「お風呂のご用意が出来ております。ごゆっくりと。」


 カーペントが部屋を出ていくと部屋にいる数名のメイド達がミカ達の服を優しく脱がせるとバスルームにともに向った。大きな浴槽にはバラが散りばめられてマイコは感激したらしく嬉しそうに浸かっている。


 「うわぁ~、広くて気持ちいいなぁ~。」


 「ちょっと、マイコちゃん・・・」


 「いいじゃない、ミカ。汗を流してゆっくりしましょう。」


 「でも・・・」


 「まったく警戒心ってものがないわね!ミカの言いたい事はわかるわ。身体を洗ったらさっきの奴らに食用として食べられるって思っているんでしょ?」


 「えっ?」


 「いいの、いいの。言わなくても・・・この美貌を奴らが見逃すわけがないものね。でも安心して。返り討ちにしてあげるから!」


 リディーネはバラ風呂に浸かるとブツブツと独り言を言い始めた。どうやら作戦を練っているらしい。完全に勘違いしているリディーネを無視してリナとミカもバラ風呂に浸かった。マイコが楽しそうに泳いでいる。水面が動くたびにバラが揺られていい香りがひろがった。


 「ところでミカ・・・タカヒトとはどうなの?」


 「えっ?どうなのって・・・」


 「結婚は?」


 「えっ!けっ、結婚って・・・まだ、そんなこと・・・考えたこともないよ!」


 「フフフ、まだってことはいずれあるのね。」


 「もう知らない!」


 顔を真っ赤にしたミカは水面に浮かんでいるバラに顔を隠した。バラの香りに満足した彼女達はメイドに勧められてドレスを着た。部屋の外にはカーペントが待っておりドレスに身を包んだ彼女達に微笑んだ。


 「実にお美しい。さあ、皆様がお待ちです。こちらへ」


 「皆様?」


 首を傾げるミカだがカーペントは笑顔でエスコートしていく。廊下を歩いていくと音楽が聞こえてきた。そこにはドレスに身を包んだ女性とエスコートしている男性がいた。広いホールの見事なシャンデリアとバラの多さが目についた。リナがボソッと言った。


 「ここの人達ってバラが好きなのかしらね?」


 そんなことを言っているとミカ達に近づいてくる者がいた。城主のカルロスだ。


 「お美しい・・実にお美しい姫君達。さあ、こちらへどうぞ。」


 「ちょっと、アンタ!そんなこと言ってアタシ達を喰らうつもりでしょ!」


 リディーネの罵声にホールが一瞬シーンと静まり返った。誰もが動かなくなり、その光景にリナもミカも戦闘体勢をとらねばならなくなった。しかしその静けさを消したのはカルロスであった。


 「ハッハハハ・・・いや、失礼。面白いお嬢さんです。残念ながら豊富な作物にかこまれておりますので人を食べる習慣はございません。」


 「へん!そんなこと言って・・・アンタ、ピサロの配下でしょ!」


 「ピサロ・・・どなた様ですか?その方は?カーペント、存じておるか?」


 「いいえ・・・私も存じませんが・・・。」


 「ピサロを知らないの?だってここはピサロの世界でしょ?」


 驚いたミカがカルロスに語りかけたがまったく知らないと言った。この世界はたしかに広くこの辺りは代々、ジュロム家が治めているがそれ以外は別の皇族が治めている。もちろんどの皇族も治めていない未開拓の地もあり、魔物も生息しているらしいのだがどの皇族にもピサロと名のつく人物はいないらしい。


 「まあ、長い旅でお疲れなのでしょう。晩餐会は明日も開かれますので今日はお休みください。カーペント、皆様を寝室へお招きしなさい。」


 カーペントは一礼するとミカ達を連れてホールを出ていった。案内された部屋に入るとリナが城内の偵察に向った。リディーネも部屋中の探索を始めた。マイコは警戒心もなく鏡に映ったドレス姿の自分にウットリしている。


 「どうやら、監視はされてないみたいね。でも警戒は必要よ。」


 「大丈夫よ、リディーネ。そんなに恐い顔しなくても。」


 「マイコ!アンタは警戒心がなさすぎるのよ!」


 「まあ、まあ、リナもしばらくしたら戻ってくるから。あっ、紅茶の用意がしてある。飲む?」


 「毒とか入ってるんじゃないの!」


 「まさか!」


 マイコが飲んでみたが意外に口に合ったらしくおかわりをミカに要求した。ミカも飲んでみた。


 「うん、おいしい。ローズヒップティーだよ。」


 「・・・・アタシも・・・貰うわ!」


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