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未来のきみへ   作者: 安弘
畜生道編
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反撃 サンギガトン

 タカヒト達は二階へ向かう階段をのぼっていくが周りは薄暗くジトジトしていた。二階のフロアにはイーターは居ないらしくデオルトは皆を止めた。


 「これより対デノガイド作戦決行する。」


 デオルトは皆に伝え二手にわかれる事にした。デオルトとてんとで塔の外から最上階を目指してタカヒトとグラモで階段から最上階を目指す。最上階のデノガイドに挟み撃ちを仕掛けるのがこの特攻野郎Aチームの作戦である。作戦の内容と合図を確認した四名は二手にわかれタカヒトとグラモが三階を目指し階段をのぼろうとした。


 「おまち!!」


 タカヒト達を呼び止める声がフロアに響いた。振り返るとサンギガトンが立っていたのだが相当疲れている様子だった。タカヒト達が攻撃体勢と整えサンギガトンの攻撃に備えるとギガイーターが片手をあげて呟いた。


 「ちょっとタイム・・・休ませなさい・・・疲れているんだから。」


 5分経過・・・


 「待たせたわね!この私を騙すとはいい度胸だわ!

  いくわよぉ~~とうぅ~~クルクルクルッハアァ~~!!」


 「ワイはイタ太郎ぉ~~」  


 「ミイはイタロスぅ~~」


 「そしてわたしがギガイーター!三人揃って殺戮部隊サンギガトン!ハァ~~」


 以前と同様に空中に飛び上がり前回転を繰り返して着地するとサンギガトンは決めポーズをとった。しかし以前とは少し決めポーズが違うようでその事をタカヒトが問い掛けた。  


 「いくつか決めポーズのパターンがあるわ。そうしないと飽きちゃうでしょ。」


 「ふぅ~ん。そうなんだ。教えてくれてありがとう。」


 「これはご丁寧にどうも・・・」


 ギガイーターとタカヒトがお辞儀をかわし挨拶を済ませたところで・・・


 「まったくデノガイド様に楯突く輩がお前達だったとは!ここで出遭ったが運の尽きよ!まあ前も会ったけど。イタ太郎、イタロス。いくわよ最強奥義サンギガアタック!」


 「ちょっと、待って!」


 「坊や、命乞いは一切受け付けないわ。」


 「ううん、そうじゃあないよ。あのさぁ~・・・必殺技って最後に使うんじゃあないの?普通最初には使わないんだよ。ヒーロー戦隊なんでしょ?ヒーロー戦隊は最初ピンチになってから最後に必殺技で勝つって決まっているんだよ。」


 「ヒーロー戦隊・・・・なんていい響きなの!ヒーロー戦隊サンギガトンいいわぁ~~それ!そうね、ヒーローたるもの最初はピンチで最後に決めるのね。そして勝利の美酒に酔う。素晴らしいわ。よし、イタ太郎、イタロス最初はピンチよ。さあ、あんた達攻撃しなさい!」


 サンギガトンは納得した上でタカヒト達に自分達がピンチになるように攻撃するように伝えるとその場に座り込んだ。恐る恐る確認するようにタカヒトは言った。

 

 「ホントにいいの?」


 「もちろんよ!さっさとやってちょうだい。」


 その言葉を聞いたタカヒトはフロアの端にあった石の塊を持ちあげるとイタ太郎の頭上目掛けて思いっきり振り下ろした。するとイタ太郎の頭から大量の血が流れた。続いて槍を構えたデオルトの鋭い槍術でイタロスは八つ裂きされた。更にテントの体当たりでイタロスの首の骨が折れた。グラモのメガトンパンチにギガイーターの顔が腫上がっていく。


 10分後・・・


 「ねっ、ねぇ・・・そろそろいいんじゃないのかしら?」


 「まだ十分しか経ってないよ。普通は二十分までピンチなんだよ。」


 ギガイーターは顔を腫らし元の顔がどうなっていたか分からなくなっていた。イタロスは首と右足が折れて立つ事もままならない。イタ太郎に至っては緑色の血で身体が染まっていた。


 「そっ、そうなの・・・仕方ないわね。さあ、やってちょうだい。」


 20分後・・・


 サンギガトンはもはや立つこともままならないくらいに叩きのめされていた。ギガイーターの顔は二倍以上に腫上がっている。イタロスは首と右足それに左肩が外れていた。イタ太郎は緑色の血が目に入り状況が全く分からない。


 「もう・・いいわね・・いっ、いくわよ・・・サンギガ・・・」


 「ちょっと待って!最強奥義サンギガアタックってどんな技なの?」


 最強奥義サンギガアタックはイタ太郎とイタロスがギガイーターを持ちあげてそのまま相手に投げる技だと答えたがタカヒトがわからない様なそぶりを見せた。


 「・・・分かっ・・・たわ・・実演・・する・・・わ。」


 そうと言うとギガイーターは倒れこんでいるイタ太郎とイタロスを無理やり起こした。ギガイーターを先頭にイタ太郎とイタロスはその背後に配置すると三角形の隊形に並んだ。イタ太郎とイタロスはギガイーターの足を持ちあげ必殺技のポーズを取った。か細い声でギガイーターが掛け声をあげた。


 「いっ、いく・・わよ・・最強・・・奥義、サン・ギガ・・アタッ~・・~ク!」


 ギガイーターは予行練習のつもりだった。だがイタ太郎は大量の血を流してほぼ意識はなく力いっぱい投げた。イタロスは右足が折れていた為にギガイーターを投げる方向を誤りギガイーターは勢い良く壁に飛んで激突した。砕けたレンガがギカイーターの頭上に崩れ落ちた。ギガイーターは起きあがれず沈黙している。


 「ギガさま、ギガさま!どうされましたか?

  おい、イタ太郎!お前の投げ方が悪いからこうなったんだぞ、コラ!!」


 「なっ、なんやと!おのれが悪いんやろが!ちゃんとしいや!!」


 いがみ合っている二匹の怒りはエスカレートして殴り合いになった。足腰は震え立つ事もままならない二匹はそれでも殴り合いを止めようとはしない。そしてイタ太郎の渾身の右ストレートとイタロスの快心の右フックが互いの顔面にヒットすると双方は崩れるようにその場に倒れこんだ。


              サンギガトン撃破!!


 「とりあえずサンギガトンは倒したようだがタカヒト、徳の水筒を使ったのか?」


 「ううん、てんとに言われた通り最後の切り札と思って使っていないよ。」


 「そうか、サンギガトンの天然か。まあ、うまくいってよかった。では先を急ごう。

 二手にわかれていよいよデノガイドとの戦いだ!」


 徳の水筒を使わずにタカヒトがサンギガトンとの戦いを切り抜けた事にてんとは驚いた。まさかタカヒトがこのような切り抜け方をするとは思いも寄らなかったのだ。どうやらタカヒトにはてんとにはない変化に対する対応力が備わっているようだ。

 てんとそんなことを考えながらも次なる作戦遂行を行っている。当初の作戦通りにデオルトとてんとは塔の外から最上階を目指しタカヒトとグラモは階段から最上階を目指していく。薄暗い階段をのぼるとタカヒトとグラモは最上階まで何事もなくすんなり辿り着いた。


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