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未来のきみへ   作者: 安弘
地獄道編 Ⅱ
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捕獲計画

 「ピサロ様、何故、私がジェイドと一緒に行かねばならないのですか?私ひとりでも捕獲は可能です。しかも破壊神に取り入っていたこのジェイドは信用できません。」


 「フッ、おまえがそういうのは承知している。だがジェイドが二重スパイだとしたらどうだ?」


 驚いたアレスの表情にピサロは笑みを浮かべた。すべてはピサロの計画通りに進んでいた。そして今、アレスとジェイドは黄泉の国にいる。


 「フッ、まさかおまえも二重スパイだったとはな。だが、なんだその装備は?いくら黄泉の国へ向かうとて重装備すぎはしないか?」


 「アレス・・・おまえ、知らないのか?」


 ため息をついたジェイドはこの黄泉の国での重要な事をアレスに教えた。 


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「黄泉の国ではソウルオブカラーは使えんのじゃ。」


 「徳寿様、どの属性の色玉が使えないのですか?」


 「全部じゃ!」


 これにはてんとを始めそこにいたすべてのソウルオブカラーを所有している者達が驚いた。ソウルオブカラー・・・色玉は確かに使えない世界がそれぞれにある。だがすべての色玉が使えないとなると話が変わる。


 「黄泉の国へはそれなりの装備を用意しなければならん。アレスやジェイドと遭遇するかもしれん・・・先住民ともな。」


 黄泉の国には天道のハデスが統一する前にすでに先住民と呼ばれる者がいた。彼らがどのような姿をしているかは分からないがソウルオブカラーの能力を使えない以上、警戒するべき相手であるだろう。


 「アレスとジェイドが黄泉の国に向かうということはそこにタカヒトがいる可能性はかなり高い。天道に・・・ピサロにとって今現在一番の障害は朱雀を持つタカヒトなのじゃからな。」


 「可能性があるのなら私はタカちゃんを捜しに行く。」


 「しょうがないわね。私も一緒に行くわ。」


 「ミカ、リナ、出発の準備に取り掛かるぞ。」


 こうしてミカとリナそれにてんとは出発の準備に取り掛かった。体力と装備の整った三人は地獄道を旅立とうとしていた。


 「ねえ、ミカ・・・行っちゃうの?」


 「うん・・・タカちゃんが心配だから。」


 「あのね・・・アタシは・・・・」


 言葉を詰まらせるリディーネにミカは笑顔で答えた。


 「分かってるよ。リディーネには守るべき場所と仲間がいるんだもん。やっと手にいれた幸せを大切にしないと駄目だよ。」


 「・・・・ありがとう。」


 「なんからしくないよ。しんみりして。」


 「そっ、・・・まったく、タカヒトのヤツ、ミカにこんな思いさせて。見つかったら教えてよ。一発殴ってやるんだから!」


 拳を握り締めるリディーネにミカはニッコリと笑った。出発前日、リディーネの計らいで晩餐会が開かれた。デスサイドも復興が予定より早く進み要塞としての機能を回復しつつあった。

 この晩餐会はミカ達の送別会であり新生デスサイドの竣工記念でもあった。楽しく騒いでいるデュポンを見ながらミカは少し元気のない様子だった。


 「浮かない顔をして退屈なのかしら?」


 「リナ・・・ううん、この間までデュポンの隣にタカちゃんとポンマンがいたんだよね・・・そう考えるとなんか・・・・。」


 「今からその失った人を捜しに行く。そうでしょ?」


 「えっ・・・うん。」


 「捜すのを諦めたら終わりだって・・・そう言ったのはミカよ。」


 「・・・・そうだね。私はタカちゃん、リナは大切な人を捜さないとね。」


 「お互い大変ね。どこにいるのか分からない男を捜すのって。」


 リナとミカの会話が弾むと晩餐会も盛りあがっていった。復興作業もここまで来るのに想像を絶する困難があった。それらを乗り越えて辿り着いた復興にアスラを始め生き残った兵士達が歓喜をあげて踊り騒いでいた。騒ぎは夜中まで続いた。次の日の朝、黄泉の国へ向かう為、徳寿が愛車を用意していた。装備は整いてんとはアスラや兵士達を戦術に話が弾んでいた。


 「てんとや、時間じゃ。出発するぞよ。」


 てんと、リナ、ミカが車に乗り込むと徳寿はハンドルを握りしめた。ゆっくりと車が進むとそれは次第に浮遊していく。下を向いて俯いているリディーネにミカは声をあげて手を振った。


 「リディーネ、また会おうね!約束だよ。」


 手を振るミカやリナに顔をあげると走って車に近づいてきた。


 「あのね・・・アタシ、もっと強く・・・したたかになるから!もっと成長するから。だから、戦うときは必ず呼んでよね!必ずまた会おうね。約束だよ!」


 リディーネは大きく手を振ると徳寿の車は上空へと消えていった。しばらくしてアスラがリディーネに歩み寄ってきた。


 「さて、これからです。復興は完了しました。あとは王の誕生を待つばかりです。」


 「アスラ、教えて。王になるには何をすればいいのかを。」


 「険しい道のりですぞ・・・耐えられますか?」


 「覚悟の上よ。それに耐えなきゃ、ミカ達との約束が果たせない。違う?」


 「御意!」


 この地獄道に新たな王が誕生した瞬間だった。


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