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未来のきみへ   作者: 安弘
地獄道編 Ⅱ
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神具 風の衣

 ジン達は死獄呂しごろ師団に劣勢を強いられている。機械魔人兵の数は減っているが同化再生プログラムによりその強度と強さを増していた。リディーネの率いていた魔物兵もほぼ壊滅状態となりリディーネとデュポン、ジンに混沌、数匹の魔物兵のみとなってしまった。勢いを増す機械魔人兵は進軍を止めずリディーネ達は窮地に追い詰められていく。


 「もうダメ・・・こんなの勝てないよ。」


 数百の機械魔人兵に取り囲まれたリディーネは諦めるように座り込んでしまった。戦意喪失したリディーネの姿を見てジンも諦めを隠せなかった。容赦なく機械魔人兵はリディーネ達に詰め寄ってきた次の瞬間、激しい雷撃が一体の機械魔人兵に直撃した。壊れた人形のように崩れながら倒れていく姿を見たリディーネが振り返るとそこにはリナが立っていた。


 「もう諦めたの?あなたは諦めが良すぎるのが少し欠点よね。」


 「あっ、諦めてなんかないわよ!・・・ちょっと休憩してただけでしょ!」


 「あらそう?ならいいけど。

  牡丹玉オーバーエレメント リ インドラ メガラウンド!」


 上空の黒雲の中から大きな雷神の腕が現れると押し寄せてくる機械魔人兵を巨大な拳で潰していく。押し潰されて地面にめりこんだ機械魔人兵は壊れた人形の様に手足をカクカクさせて再び立ち上がることはなかった。。


 「リディーネさん、まだ休憩時間は終わらないのかしら?」


 「く~~~、終わったわよ。あぁ~、よく休んだ。そろそろいくわよ。

  紅玉最大闘気 獄熱地獄」


 リディーネも負けじと恐ろしく巨大な火炎輪を上空より落とすと機械魔人兵は瞬時に溶けて消え去った。


 「よし、一気に畳み掛けるぞ!」


 戦意を取り戻したジン達も立ちあがると劣勢だった状況を引っ繰り返し、死獄呂師団を壊滅させていく。倒れた機械魔人兵の屍を踏みつけながら知将レイが歩み寄ってきた。リディーネは闘気を開放させたまま知将レイに罵声を浴びせた。


 「アンタ達の負けよ!」


 「負け?死獄呂師団を壊滅させたくらいでか?」


 「このぉ~紅玉最大闘気 獄熱地獄」


 リディーネの最大級の大火炎攻撃に対して知将レイは身にまとっている白い布を広げた。薄っぺらな白い布一枚で上空から落ちてくる巨大な火炎輪から身を守ろうとしている。


 「おバカ!布ぐらいでアタシの火炎が防げるか!」


 「どうかな?」


 リディーネの自信満々の巨大な火炎輪を知将レイは白い布一枚で受け止めた。いや大火炎を布で吸収したといってもよい。再びリディーネは獄熱地獄を知将レイに浴びせるがそれも白い布で吸収した。


 「なっ、何よ!防ぐだけじゃ、アタシは倒せないわよ!」


 「倒せない?おかしなことを・・・・」


 「えっ?・・・!」


 リディーネが後ろを振り返ると残っていた魔物兵の身体が切り刻まれて死んでいた。それだけではない。デュポンやジン、混沌も腕や足に傷を負っていた。リディーネの攻撃を受け止めながら攻撃に転じていた知将レイの強さにリディーネは蒼白の表情をした。


 「まだよ!」


 リナが次々と雷撃を繰り出すがそれすらも知将レイは受け流し瞬時にリナに近づくと剣に形を変えた白い布で斬りつける。ギリギリのところでなんとかかわしたものの変幻自在な上、こちらの攻撃が通用しないことは致命的だった。リナとリディーネにデュポンの攻撃は続けられたものの意図も簡単にかわし攻撃に転じる知将レイに防戦どころか少しずつ劣勢に追い込まれていく。圧倒的な力の差を目の当りにしたジンはある決断をする。混沌に近寄ると指示を伝えた。


 「何言ってやがる?そんな命令は聞けん!」


 「これしかない。生きてさえいれば奴を倒す日もくる。彼らは希望なのだ!」


 混沌は拒否していたがジンの決意は固く渋々従った。無色透明化したジンは気配を消して少し知将レイから距離をとると回り込むように移動していく。混沌は攻撃を仕掛けているリナ達の背後に回り込む。


 「ちょっと、混沌!何をするの?」


 顎でリナの身体を噛むと背中に乗せた。そしてリナ達全員が混沌の背に乗せるとそのまま撤退していく。

 

 「この私から逃がれるものか! 何?」


 急に身動きの取れなくなった知将レイは背後に気配を感じた。背後より掴みかかったジンは身動きが取れないように知将レイを羽交い絞めした。身動きの取れない知将レイだが神具 風の衣は違う。


 「があっ!・・・ぐあっ、がが・・・」


 白い布は鋭くジンの背中を突き刺すと何度も突き刺し続けた。その度にジンの口からは大量の血が吐かれるが羽交い絞めした腕は離さなかった。意識の遠のく中、ジンの瞳には小さくなっていく混沌の姿が映った。白い布が赤く染まる頃、ジンの腕は解かれそのまま地面に倒れた。


 「自らを犠牲に・・・敵ながら感服した。」


 血だらけのジンに敬意を払いながら知将レイは白い衣を翼に変化させて上空に浮遊すると混沌達の方角、デスサイドに向かい飛び去っていった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「タカちゃん、来ないかと思ったよ。」


 「ゴメンね・・・てんとは?」


 レインボーウォールはふたりを包み込みミカはいままでのことをタカヒトに説明する。二人っきりになったことはいままでも沢山あったが小さなレインボーウォールのような密室空間に二人っきりで入ったのはこれが初めてだった。頭を掻きなんとなく照れるタカヒトに対してミカはタカヒトの闘気を回復させる為に最大級の理力を消費している。そんな自分に少し恥ずかしくなったタカヒトは自らの闘気を回復させることに集中する。ほんのひと時のやすらぎ・・・タカヒトは闘気と一緒にミカから元気ももらったような気がした。


 「がっはっはっはっ、どうじゃな、アスラ。ベテルギウスの張り手は痛いじゃろ?」


 岩壁が崩れるとアスラも地面へと滑り落ちてきた。崩れた岩はてんと達が入ってきた扉を完全に埋めてしまう。脱出する術を失ったがてんとはアスラに急ぎ近づくと意識はないものの生きてはいた。とりあえずホッとしたがてんとにはアスラの身を案じている余裕はない。なぜならベテルギウスがいつでも始末できると言わんばかりにてんと達を見下しているからだ。実際アスラは一撃で倒されて、てんとにベテルギウスから身を守る術などない。感情など一切を排除したベテルギウスの眼は緑色で筋肉はなく皮膚はシワシワで骨が目立つ。仮死状態が続いていた為にそのような姿となったのだろうがそれでも破壊力はずば抜けている。扉も埋まってしまい逃げることも不可能である。最良の方法を考えているとてんとの瞳にある場所が映った。


 「緑玉上級理力 風撃波」


 一か八かの勝負に出たてんとは理力を高めるとベテルギウスの冷たく光る緑色の眼に鋭い風の衝撃を当てた。激痛に顔を押さえるベテルギウスは暴れだし肩に乗っていたインドラもバランスを失い転んだ。隙をついたてんとは浮遊するとアスラを連れてにある場所を目指す。そこはアスラがなんとか通れるくらいの穴だった。穴を通り抜けると鍾乳洞のような洞窟が続いていて前に進むしか生きる道はないとてんとは先を進んでいった。激痛の治まったベテルギウスは怒声をあげ辺りをキョロキョロとしている。


 「おのれぇ~~、ベテルギウス!この忌々しいデスサイドをブチ壊わすのじゃ。」


 「バウォオオ~~!」


 怒声をあげたベテルギウスは大樹木のような太い腕を振ると岩壁に大きな穴をあけた。インドラがフラフラしながら降ってきた階段を破壊しながら登っていく。肩に乗ったインドラは馬の背で風を浴びているような気分を愉しんでいた。先に地上に辿り着いたのはてんと達であった。鍾乳洞を進んだ先はデスサイドの食料保存庫に続いていた為そこから地上へと脱出出来たのである。地上に降り立ったてんと達にタカヒトとミカは笑顔で近づいてきた。


 「タカヒト、ミカ、説明は後でする。窮奇を連れて急いでこの場から離れるぞ!」


 てんとに言われるままデスサイドから離れようとした瞬間デスサイドを破壊しながらベテルギウスが飛び出してきた。


 「うわぁ、なっ、何アレ?」


 「急げ!」


 巨人の出没にタカヒトとミカは驚愕していたがてんとからの激が飛ぶと急いで走りだした。ベテルギウスはキョロキョロしながらてんとを捜していると肩に乗ったインドラが逃げるタカヒト達を発見した。


 「あそこじゃ。追うのじゃ!」


 「バオオォォォ~!」


 ベテルギウスは逃げるタカヒト達を追おうとするが足が破壊したデスサイドに当たりその場に転倒した。その衝撃で地獄道の象徴とも呼ばれていたデスサイドは崩壊していった。地面に叩き付けられたインドラがベテルギウスに罵声を浴びせた。


 「このでくのぼうめが!逃げられてしまうではないか!!」


 「バオォォ~~ン!!」


 怒声をあげながら立ちあがるベテルギウスはまたしてもタカヒト達を見失ってしまう。再び肩に乗ったインドラと共に辺りを見渡しながらゆっくりと歩き回るベテルギウス。木の影に隠れながらタカヒト達は様子を伺っていた。そこへ混沌の背に乗ったリナとリディーネ、デュポン達と偶然にも出会った。


 「リナ、どうしたの?」


 「知将レイが追ってきているわ。ジンの命を賭した行動で私達はなんとか逃げてきたのだけど・・・。」


 「そうか・・・我々もベテルギウスに追われている最中だ。」


 「ちょっと、どうすんのよ!前から怪物、後からは知将レイよ。

  ヤバイじゃん!ヤバイじゃん!」


 「姉さん、興奮しすぎでさぁ。」


 「確かにヤバイわね。てんとに戦術はあるのかしら?」


 皆が一斉にてんとを見つめるがそんな戦術などなかった。事態は最悪の極みでもある。最強の機械生命体ベテルギウスと十六善神の知将レイによる挟み撃ち攻撃に対抗する戦術などあるわけがない。しかし最悪の状況は待ってなどくれずベテルギウスと知将レイに挟まれるのは時間の問題だった。


 「見つけたぞ!」


 知将レイはタカヒト達の姿を発見すると神具 風の衣を翼から鋭い刃に変化させて地上に降り立った。そして腰を落とすと一気に鋭い刃を振りきる。風の刃はタカヒト達を隠していた木々を斬りおとすとベテルギウスからも発見することが出来た。最悪の極みが整うとベテルギウスはゆっくり歩み寄ってくる。


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