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未来のきみへ   作者: 安弘
地獄道編 Ⅱ
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死獄呂師団の機械魔人兵

 知将レイのいる天道軍本陣に辿り着いた赤紫白タカヒト達は本陣の敵情を伺っていた。なんとか辿り着いた本陣であるが少なくとも三つの師団三万の兵が待機している。上空では飛行能力を備えた十三師団が地上には九・十二師団が本陣を守っている。


 「くっ、乾坤一擲作戦は無謀であったか・・・。」


 諦めにも近い弱々しい声でジンが言った。確かに天道軍は兵士の数に物を言わせて扇形の布陣を取っていた。そこでアスラは集中攻撃を仕掛けるために乾坤一擲作戦を取ったのだが師団の対応が素早く赤紫白タカヒト達が本陣に辿り着く前に体制が整えられてしまっていた。


 「ここは誘導作戦しかあるまい。リディーネ、囮をしてくれまいか?」


 「えぇ~アタシが囮って絶対に嫌だ!」


 ジンは急きょ作戦変更を告げた。当初リディーネはこの作戦を嫌がったがジンの説得により渋々了解した。


 「ほらほら、リディーネ様がお通りだよ。道を開けな、このアンポンタンども!」


 リディーネは本陣の正門に立つとすぐに師団兵に発見された。無数の弓矢の雨が降り注ぐがリディーネはそこを動こうとはしない。 


 「紅玉最大闘気 獄熱地獄!!」


 恐ろしく巨大な火炎輪が上空より堕ちてくると頑丈な本陣の正門を簡単に破壊すると本陣内から師団兵がドッと押し寄せてきた。師団兵に対してリディーネと魔物兵五千匹は正門から向かってくる師団兵に集中攻撃を仕掛ける。だが師団兵の勢いを止めることは出来ずにリディーネ達は次第に後退をしていった。


 「このまま後退する・・・

  ほんとっ、つまらない役割。アタシも乗り込みたかったのに!」


 リディーネとデュポンによる大火炎と風の複合攻撃と魔物兵達は師団兵にダメージを与えながらも後退することで引き付けることに成功した。師団兵が本陣から離れていくのを確認したジン達は手薄となった本陣裏側から内部に潜入した。本陣内部は割りと広く知将レイの姿は見当たらない。


 「どこにもいねえ・・・」


 「油断するな。作戦を指揮している以上隠れていることは考えられない。」


 ジンは上空の十三師団を警戒しながら物陰から物陰へと移動していく。リディーネ達によりほとんどの師団兵は本陣を出撃していたがすべてが出払ったわけではなく、師団兵に気づかれないように移動することはかなり困難なことである。


 「おい、こんなネチネチしたやり方は俺様流じゃねえな。オラ、いくぜ!」


 痺れを切らした赤紫白タカヒトは混沌から飛び降りると大声をあげた。それに気づいた数名の師団兵士が近づいてくると赤紫白タカヒトは強力な火炎を放った。


 「敵襲、敵襲!」


 燃え盛る大火炎に敵の襲撃と気づいた師団兵士達が駆け寄ってくる。赤紫白タカヒトは迎撃態勢に入り最大まで闘気を高めた。


 「いくぜ!赤紫最大闘気複合技 テラアルティメットバスター」


 赤と紫の強烈な波動砲が師団兵士達を一瞬にして消滅させた。それらを一掃する赤と紫の波動砲は上空を浮遊する十三師団の兵士達にも放出された。その波動砲はリディーネからも確認することが出来た。


 「タカヒトのヤツ、派手にやってるわね。アタシ達も負けてられないわよ!!」


 「へい、姉さん!」


 デュポンは火炎を浴びると炎の戦士と化した。デュポンは顎を開くと巨大な火炎輪の連撃を繰り出していく。奇しくも挟み撃ちとなった九・十二師団はほぼ壊滅状態に陥ってしまう。

 赤紫白タカヒトとリディーネの思いもよらないコンビプレーに師団兵の隙をつきジンは知将レイの捜索に専念する。点在する屋敷の隅々まで捜索するが知将レイの姿はどこにも見当たらない。「逃げたのか?」そう考えたジンの眼下に知将レイの姿が映った。逃げることも隠れることもなく知将レイは本陣中央の館で指揮をとっていた。ジンは混沌、窮奇と共に中央の屋敷前に突撃していく。知将レイを守るべく衛兵達が立ち塞がるのをなぎ倒すと残るはレイただ独りとなった。


 「レイ、もはや師団は壊滅状態。潔く降参するのだ。」


 「降参?・・・フフフ、戦況を理解していないのはお前達のほうだ。

  出でよ、死獄呂師団よ!」


 地響きが鳴り本陣の館が次々と崩壊していくと数万の兵士達が現れた。その兵士達により本陣を完全に崩壊され何もない平野が広がった。知将レイは兵士達の後方へと飛行すると兵士達に担ぎ上げられた玉座に座り込んだ。


 「十四・十五・十六師団、通称 死獄呂しごろ師団は天道の科学者であるインドラにより造られた機械魔人だ。ほかの師団では対応できない仕事をこなしてきたプロフェッショナルと言ってもよいだろう。さあ、とくと味わうがよい。最強部隊死獄呂師団の力を!」


 死獄呂師団総勢約三万の機械魔人兵の突撃にジン達は撤退を余儀なくされた。途中で見つけた赤紫白タカヒトは上空の十三師団を壊滅させていた。


 「んっ?なんだ・・・」


 赤紫白タカヒトは地響きが近づいてくるのを感じて振り返るとジン達を追って死獄呂師団が迫ってくるのが視界に入った。


 「どけ、ジン!赤紫白最大闘気複合技 バーストテラアルティメットバスター!」


 赤紫白タカヒトは両足が地面にめり込むほどの衝撃を受けながらも赤紫白色の高濃度エネルギー粒子砲は死獄呂師団に直撃した。直撃を受けた機械魔人は瞬時に溶けて消滅したが消滅を免れた機械魔人数千体はその衝撃を浴び地面に倒れ込んだ。だが再び立ち上がると機械魔人は密着同化して一体の機械魔人へと変身した。


 「なんだ、ありゃあ?」


 「やはり同化再生装置を内蔵しているのか。機械魔人は完全に消滅させる以外に倒すことは出来ないぞ。」


 数は減ったもののより強力な機械魔人兵を生み出した死獄呂師団は進軍してくる。ジンはもう一度赤紫白タカヒトに攻撃を促すがすでに今の攻撃で闘気を消耗しきっていた。タカヒトは混沌の背に乗るとジン達と共にリディーネのところまで撤退していく。


 「アンタ、何やってんのよ!バカじゃないの!!」


 「・・・・ゴメン。」


 「リディーネ、タカヒトを責めてる場合ではない!すでに死獄呂師団はそこまで進軍している。タカヒトの攻撃で師団兵士の数は減ったが・・・」


 「フン、それでアタシに力を貸してほしいってわけね?いいわ、やってあげる。役立たずのタカヒトとは違うところを見せてあげるわ。いくわよ、デュポン!」


 「合点でさぁ!」


 リディーネはデュポンを連れて進軍してくる死獄呂師団へと向かっていく。ジンの命令で魔物兵達はリディーネの後を追って進軍を開始した。ションボリするタカヒトにジンは命令を言い渡した。


 「うん、分かった。窮奇、お願いね。」


 「おう!」


 タカヒトは窮奇の背に乗るとデスサイドへと向かって飛び去っていった。そのデスサイドへ潜入したインドラは薄暗い地下通路を歩いている。途中、魔物兵数匹に遭遇したがインドラは身を隠しながらそれらを回避した。


 「薄暗いのぉ~。じゃが、少しでも闘気の消費を抑えんとのぉ~。ここいらのはずじゃが何処にいるのかのぉ~?」


 薄暗い地下通路をずっと手探りでインドラは歩いていく。地下通路の先に下へ向かう階段があった。インドラはゆっくり降りていくがどのくらい時間が経過したのか、下へと降る階段は尽きることがないほど続いている。嫌気がさしたインドラはその場に座り込みしばらく休息をとった。


 「年寄りに無茶させおって・・・・ムッ、空気がヒンヤリしておる?もうすぐか!」


 杖をつき立ちあがるとインドラは急いで階段を降りていく。階段を降るにつれてヒンヤリしている空気は皮膚が痛いくらいの寒さへと変わっていった。階段を降りきった先には凍りついた扉がありインドラは指先に電気を発生させると扉はゆっくりと開いていく。中に入るとインドラの目の前に巨大な人型の姿をしたものが氷ついていた。笑みを堪えきれないインドラが高笑いをした。


 「ヒョッ、ヒョッヒョッ・・・

  長きに渡る歳月を経て我が野望が実を結ぶ日が来おったわい。」


 インドラの高笑いは氷ついた部屋中に響いている。それを静かに凍りついた巨人だけが聴いていた。 丁度その頃、インドラの後を追ってきたアスラ達はデスサイドに到着した。


 「ミカ、危険が迫っている。ここから退避するのだ。」


 てんとはミカにメイド達を連れてグリフォンから脱出をするように伝えた。グリフォン内のメイド達がアタフタしているとメイド長のオバが激を飛ばす。


 「しっかりおし!アタシらがうろたえてはメイドの名が泣くわな!」


 冷静になったメイド達はオバの指揮の下、グリフォンから退避していく。メイド達の安全を確保するとアスラはミカを呼びつけた。


 「今、こちらにタカヒトが向かっている。インドラを止めるにはどうしてもタカヒトの力が必要なのだ。だが闘気を消耗しきっている。そこで桜玉の力が必要になる。」


 アスラはミカの持つ桜玉の力を説明した。桜玉はソウルオブカラーで唯一、闘気や理力を回復させることが出来る色玉である。このことはミカ自身も知らなかったことだ。それを伝えるとアスラはてんとを連れてグリフォンの地下へと向かった。不安を感じながらもミカはタカヒトの到着を待っている。アスラとてんとは薄暗い通路を抜けて階段を一気に降下すると開かずの扉が開いているのに気づいた。


 「この巨人が・・・ベテルギウスなのか?」


 扉を潜り抜けたてんとの瞳に映ったものは巨大な巨人だった。その巨人の頭部にインドラが立っていてアスラ達の姿を見つけると慌ただしく動き出した。


 「やはりヤツの目的はこれだったのか。」


 「アスラ、ベテルギウスとは何だ?ヤツは何をしようとしている?」


 「あれは先の大戦で天道軍が送り込んできた機械生命体だ。インドラは天道では科学者を名乗っていてヤツの造った生命体は我が軍を苦しめた。なかでもベテルギウスは最強の機械生命体。あれにより我が軍は壊滅状態まで追いやられたが破壊神様と交戦を繰り返しなんとかこの地下に凍りつけ封印したのだ。インドラの目的は再びベテルギウスを復活させてこの大戦争を終結させるつもりだ。阻止せねば大戦争を終結させるどころか地獄道の消滅に繋がる。」


 「この巨人にはそれほどの力があるのか。」


 「くっくっくっ、もう遅い!ベテルギウスは氷付けの仮死状態じゃが我が最大級の雷撃を脊髄に浴びせれば必ず復活するじゃろ。」


 雷神インドラがここまで能力を温存した理由は最大級の雷撃を浴びせベテルギウスを復活させる為であった。そして今、すべての力をここで出し尽くす。


 「さあ、息子よ。今こそ目覚めの時。今一度甦り我が野望を叶えさせろ!」


 インドラは右腕をベテルギウスの脊髄に突き刺すと蒼白い稲光がベテルギウスの脊髄に浴びせられた。それを阻止すべくアスラが飛びあがるが巨大な腕が突然動きアスラを叩き落とした。


 「ぐはっ!」


 地下の岩壁に叩き付けられたアスラは気絶した。蘇ったベテルギウスはゆっくり氷づけの封印から腕や足を取り出し顎を開くと鼓膜が割れるほどの大声で咆えた。巨大な機械生命体ベテルギウスになすすべもなくてんとは傍観することしか出来なかった。ベテルギウスの肩に乗るインドラは甲高い笑い声をあげていた。


 「どうじゃ、ベテルギウスの力は!この力でワシは六道の王となるのじゃ!」


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