トンデモ理論
ある所で、白衣を着た男性2人が談笑をしていた。
ある時、地球に巨大な隕石が降ってきた。
それにより様々な物が衝撃で舞い上がり、太陽光を遮り、地球に氷河期が訪れた。
あらゆるものが凍結し、凍結を免れたものは寒さに凍えて倒れ、凍結せず寒さに適応できたものや長期冬眠が可能だったものは生き延びた。
やがてその氷河期が終わり、今まで身動きが取れなかった生き物が、動き回る時代がくる。
その生き物達の中には、タコの姿も。
「いや、なんでそれを今更?」
「タコの遺伝子の中にさあ、地球の者とは思えないのが有るって話を思い出したんだわ」
「ああ、あったな」
「地球外生命説があって、それが本当だった時にどう発生したのか考えてみたんだ」
「…………それがつまり、今喋ってたソレに繋がると?」
「そう。 地球の外から多大な影響を与えた物と言えば、隕石しか考えられないから」
「んーーー、まあ可能性としては否定できないな」
「だろ? 他の近年降ってきた隕石を調べると、隕石の中に他の星の生命体の痕跡を見つけたりする事もあるみたいだし」
「痕跡だろ? 落ちてきた時点で生きていないんだから、命を繋げられるわけが無いだろ」
「むぅ……あ、こんなのはどうだ?」
「この時点で出任せの根拠無しじゃないか」
「いいから。 氷河期にまでなった巨大な隕石の中心近くまでは大気圏突入で発生する熱が届いてなくて、地面へ衝突して飛び散った先で、氷河期でも暖かい地熱で暖まっていて生息できる環境に落ちたタコが生き残って、現代でも生き残っているとか」
「やっぱり口から出任せのトンデモ理論じゃないか」
「ロマンはあるだろっ!」
「ロマンだけじゃないか」
「公表しない仮説なら、証拠が無くても十分だろ! 後は複数の隕石の生命の痕跡数種からタコと同じ遺伝子が見つかれば、それを証拠にして公表出来る仮説に出来る!」
「ただの偶然で切り捨てられるだろ」
「それでも……!」
「まあ、頑張れや」
「おう! 仮説じゃなくて本当に、タコが地球外生命体由来の生き物だって証明してやるぜ!」
「………………あれ? ただの馬鹿話だったのに、気付けば次の研究課題になってる?」
ただの軽口だったはずなのに、男性1人の未来がしれっと決まってしまった瞬間である。




