第8話
………腹痛が止まらねぇ。今頃転校生の紹介が終わっているところだろう。教室が凄く賑わっているのがよく分かる。
「…さんは生まれはどこなの?」
「私は気づいたらこの国にいました」
「へぇ〜」
たぶん転校生とクラスの女子の会話だ。間違いない。名前はよく聞こえなかったが…。
「…さんは彼氏いるの?」
「いないです。でも…」
「でも?」
「…今でも想っている人はいます。その人とお別れするときに思いを伝えました。今は…その人のことを待っています」
「キャー!」
「お熱いー!」
と、かなりお熱い恋愛話を聞く。転校生さんはお熱い話をお持ちのようだ。
女子たちに囲まれて未だに姿が見えない。
「かならず来ると言ってくれたので今も私は待ち続けています」
「その人が来るといいね!」
ふーん、そう考えたらアリスは俺のことをずっと待ってくれているわけだ。
そうだったら早めに行かないとな。
結局昼休みになっても人混みが止むことなく、関わることが出来なかった。
「もう帰るか」
結局一度も関わることが出来ぬまま1日を終えてしまった。
学校前、いくらなんでも騒がしいので様子を見に行った。すると昨日の転校生さんが昨日より注目されていた。
「…さんを見れて俺は幸せものだぜ!」
「でも…さんは彼氏いるんじゃないか?」
「いや、噂によるとだな、告白の答えを待ち続けているらしいぜ」
「マジか、早く答えてやれよな」
「でもどうしてもお別れしなきゃいけなかったらしいぞ」
「だったらなぁ…」
と会話しているのを聞く。今も注目されていて…何だったら人混みで見えない。昨日もそうだった。
同じクラスだったはずだからそこで改めてという形で…
と俺は教室に向かおうとしたら
「うそ…でしょ?まさか…」
と聞いたことのある声が聞こえる。まるでアリスのような…
「隼人…隼人なんだよね…」
なるほど、そんなに俺はアリスのことが恋しいのか、さっさと会いに行かないとな。声のする方向に振り向く。
「…隼人だ!隼人!」
となんとアリスは俺を正面から抱きしめた。
「アリス…アリスなのか?」
俺はびっくり仰天だ。だってもう会える可能性のほうが限りなく低かったのに感動の再会を果たしているわけだから。
「会えて…良かった!」
「俺もだ…」
昇降口前、俺達は人前だということを忘れて抱きしめ合っていた。その影では「何と言う感動の再会なの…」と感動するものもいれば「何であんなやつが…」と妬むやつもいた。
それからというものの必要なとき以外、アリスは俺から離れなかった。勿論そんなんだからクラスメイトから色々なことを聞かれた。
「二人はもう…」
「今はどういう関係なの?」
「◯ックスはした?」
とか色々と聞かれたさ、最後に関しては聞かなかったことにしよう。
「…ちょっと移動しよう」
「うん!」
ちょうど昼休みだったこともあり俺達は場所を移した。
「…ここだったら大丈夫かな」
俺達は校舎裏にやってきた。
「まさか隼人とまたこうして出会えるなんて」
「俺も驚いたよアリス」
改めて人目のないところで俺の思いを伝えようと思う。
「聞いてくれアリス!」
「何?隼人…」
「…アリス、俺は、そっちの世界に来るまでは特に何も特徴もないただの目立たない…どこにでもいる人だったんだ。でもそっちの世界に転移してからは毎日が楽しくなって…何よりアリスと出会えた。俺にとってはどうでもいいと思えたことも、アリスがいたから意味が持てた。アリスと旅をすればするほど俺の人生に色がついた。何もなかった日々から徐々に色がついていった。そして、俺の存在意義も持たせてくれた!こんな惨めな俺に生きる意味をくれたアリスのことが………」
風が吹く中、アリスは遮ったりしないでちゃんと聞いてくれた。
「アリスが好きだ!」
俺は思いを伝えた。何とか言い切ってみせた。今までもやもやしていた気持ちとかはトイレに流したかのようになくなっていた。
「…私も、改めていいますが…隼人のことが大好きです!付き合ってくれませんか?」
「喜んで!!」
俺は勿論即答していた。好きな人、アリスと恋人になることが出来た人生の中でも上位に上がる程の良い思い出になった。
「隼人の思い、改めて受け取りました。だったら私も…目、瞑っててくれない?」
「わっ分かった」
俺の視界は見えない。勿論目を瞑っているからだからだが…
しばらくすると俺の唇に柔らかい感覚がした。勿論俺はされるがままだ。
「…もう開けていいよ」
俺は目を開けた。
「…何をしたアリス」
「………内緒!」
俺の彼女、アリスの笑顔をを見れなかったのは多分、目が未だに慣れていなかったからだと思う。
これで本作は終わりです!番外編は…1つ目は書きますが、それ以降は反応次第で書きます。