◇30 欠落
◇30 欠落
……。
………………?
……あれぇ?
困惑を隠せない。
正直な話、こういう結果は予想していなかった。
これまでに人類と比較して自分が優れていると感じたことはほとんど無い。
せいぜい身体部位が破損しても再生成できるという機能回復性くらいだろう。
代償こそ必要だけど、何なら物理的に完全消失しても問題ない。
もっともこれだって条件付きだから、状況を選ぶ特徴でしかない。
そもそも自分は肉体の組成構造に問題を抱えている。
一般的な人類のそれと比べても、比較にならないほど脆弱なのだ。
なにしろ構造や稼動原理が根本から異なっているのだから、人類にとっての効率的な身体運用法みたいなものがまるで役に立たない。人体を損耗しないよう立ち回るような出力とか耐久性だとかを補強する特殊能力や技能を有しているわけでもない。
力比べでも行われたら、討伐隊の参加者の中で最も弱かったことだろう。
原理的な話で言えば小動物の類にすら負ける可能性がある。試したことは無いけど。
だが、そんな自分が魔物に対して起こした変化は著しいものだった。
魔物の表層構造、手が触れた部分がごっそりと削れてしまったのである。
いや、もちろん自分にそういう類の機能があることくらいは想定していた。
むしろ経験上、自覚せざるを得なかったわけだし。
ただ想定以上に相手の魔物が脆かったと言うべきか。
感触というより、触れた場所には何も存在しなかったかのような感覚だった。
今まで自分が触れてきた魔物から考えて、もう少し抵抗があると考えていたのに。
これでは硬いとか軟らかいとか以前の話である。手加減も何もできやしない。
触れた位置から接合していた部位がポロリと取れてしまう。
撫でたらポロリ。
あ、もしかしてこれがいわゆる『なでポ』とかいう奴なのでは?
状況を示す言葉のはずだけど、用法が合っているか確かめられない。
撫でたらバラバラになるから『なでバラ』になるのかな?
やはり未体験の世界の言葉は難しいんだよね。
いつも何かを間違えている気がする。
おっと思考が逸れかけた。
見た目と物理的な強度ってのは相関関係が無いものだ。
物理法則に反した魔物特有の性質と関係あるのかもしれない。
考えるのは時間の無駄かな。
これは流石に元には戻らないか。
どの程度の復元機能があるのか視認しようと思っていたんだけど。
いや、これは元に戻ろうとする性質は最初から持っていないのかもしれない。
破片がいくつかビチビチと音を立ててあちこちに走り始めたし。
なるほど?
もしかすると外装とか接合部位とか、それぞれが独立した別個体だったのかな。
個々が独立して稼動できるなら、この接合自体にも大した意味は無い。
人間の外見を一部残していたことは本質ではないのか。
要するに、たまたま人間に似た形に寄り集まっていただけだ。
擬態にしてはやけに拙い出来だとは思っていたけど。
魔物の法則の組み合わせで認識だか観測を歪める法則を作っていたからこの形になったのか、あるいはこの形だったからこそそんな法則を作ることができたのか。魔物だからどちらでもありえる。ということは、どちらでもあるのだろう。
素体となった人間の性格だとか性質が相当に大きな影響を与えていたのかもしれない。もしくはよっぽど素体の人間が人として歪んでいて、魔物寄りだったのかもしれない。まあ色々と想像くらいはできるけど、もう何をどうやっても確認は出来ない。
いちおう似たような現象を人類枠に片足の小指の先くらい残していた犬耳が起こしていた気もするけど、今となってはアレとの関係を確かめるのは難しいだろう。犬耳はもうこの世にはいない。犬耳が無防備な感じでタンスのかどに小指の先をぶつけたせいだ。あれは不幸な事故だったね。
まあこの際どっちが先かは今さらあまり重要なことじゃないな。
今ビチビチ跳ねるように走る個体の集団こそが処分対象だ。
この様子だと各部位ごとに主従があるようにも見えない。
ただしどれも互いに食い合わない性質を持つ魔物なのだろう。
いや、どちらかというと食い合う性質が欠落した魔物同士なのかもしれない。
共生関係に近いのか。いやむしろ生きてるわけではないから共存関係?
何にせよ、司令塔を破壊して終わりという感じにはいかないだろうね。
ふむ。
せっかく珍しい種類の個体なのだから色々試すつもりだったんだけど。
いやはや、そうか、なるほど。
これならどうでもいいかな?
要するに群体だよね。
人類が母体種と呼んでいる類のものと性質がほぼ同じだ。
魔物が群体として成立すること事態、希少性はあるけど。
逆に言えば唯一では無いし、少しばかり珍しいだけだ。
内包する核の数が少なく、そのぶん個々の歪みが若干強いという程度。
再現性が低いのは魔物だからであって、本質は集積による凡庸の補填。
発生する歪みや揺らぎの多様性も見られない。
そもそも完結した個体じゃないから個体名を付ける意味も無い。
詳細を把握する為に世界を消費するほどの価値も無い。
やっぱり元の素材が何だろうと魔物は魔物か。
雑音もうるさいから始末しておこう。
といっても、今から慌てて何かするわけでもない。
こんなこともあろうかと、あらかじめ準備しておいて良かった。
計画通りに動き、計画の通りに進行するように。
まあ動かすというか、まあ、元に戻すだけなんだけど。
自分が準備できる手札なんて、最初から最後までたったの一枚しかない。
世界の外側の力。
名前だけなら何か凄いことが出来そうに聞こえるかもしれない。
でも、これだってやっぱり名前負けしている案件なんだよなぁ。
世界には直接影響を及ぼすことが出来ないわけだし。
だからこそ空気の抵抗すら無く自在に動かせるとも言えるんだけど。
どのみち、自分が使える力なんて大したものじゃない。
実際にはそよ風一つ起こすことは出来ないというシロモノだ。
形にも、色にも、熱にも、質量にも作用しない。
世界の内側において全く働かない、力とも呼べない力。
ただし、魔物はこの力に抗う事ができない。抗う術が無い。
なぜなら、
魔物の存在の根底やら力の根源が、この世界にはないから。
この世界に存在していなかったものが、
この世界の法則に守られる道理などない。
地底深くに隠れ潜もうと、仮に亜光速で空を飛ぼうとも問題ない。
たとえ分散して複雑な挙動で走り回りはじめても意味はない。
もう準備は済ませている。何もかも想定の範疇だ。
まあ今回は最初から後始末が目的だったこともあるけど。
情報の抽出後も目的地へ直行しなかったのは、準備のためでもあった。
遠くなるほど操作は雑になるけど、形も速度も自由自在の力である。
精度さえ求めなければ自分の手足を動かすよりも簡単だ。
皇帝さんの死灰の王権のように、代償を支払う必要もない。
猫耳さんの剣の扱いほど緻密で複雑な操作もしない。
まずは全方向からの包囲。
すでに力を薄い平面状に延ばして、建造物の外側を壁のように覆っている。
そして隙間ができないように上下を窄めて立体的に閉ざし、接合する。
出来上がったのは、口の無い袋のような形状である。
特筆すべき特徴もない歪な球体だ。
きれいな平面や真球を作るような複雑な手間をかける必要性も感じない。
建造物が気密構造であろうと、そうでなかろうと影響はない。
外側の力は空気も建材も透過するが、魔物は通過も抵抗もできないからだ。
生物を殺しつくした魔物に、最初から逃げ道なんて無い。
縮めていくだけで、魔物を効率よく収集できる。
まあその過程でも魔物は潰れて千切れて粉々になるんだけど。
後片付けの心配はご無用。
散らかる事も取りこぼしもありません。
あらゆる方向において隙間のない立体構造だからね。
ぜんぶまとめて不可逆圧縮。
飴玉サイズにまで縮めてしまえば、ひと口で飲み込んでしまうこともできる。
世界の外側に放逐するのも簡単だ。
状況完了。
やはりというか何というか、これは戦いではないよね。
確かに歪みの大きさは今まで見たどの魔物よりも酷いものだったけど。
ちなみにこの歪みの大きさというのは、そのまま魔物の法則の強さや効果範囲に繋がっている。
今の人類に残されている戦力だと、かなり際どい戦いになっていた可能性はある。
人類最大戦力第一位と第三位を失った今は特に。
まあ犬耳はこの状況を利用してたし、生きていても人類の為にはならなかったかな。
残された第二位もこんな狭い場所では厳しい戦いを強いられたかもしれない。
建造物自体も強力な魔物の法則の支配下にあったわけだし。
でもまあ、それだけだったという話ではある。
魔物には道具を利用する文明も無ければ、環境を利用する知恵も無い。
どんな魔物に対しても、自分の特性を押し付けるだけで終わる。
何なら身体を動かす必要すら無いのだ。
いくら何でも、こんなものは戦いとは呼べないだろう。
支えを失ったものが音を立てて床に落ちた。
理外の固有法則で魔物が掴んでいた塊。
存在の力と構成情報を喪失して随分と軽くなった残骸。
人の遺体の成れの果てだ。
物体の落下速度より早く片が付いてしまったということか。
もしかすると自分は万有引力を超越してしまったのかもしれない。
いや重力加速の一定が成立するかどうかも検証してないけど。
でもまあ、情報提供者には敬意を表する必要があるかな。
残骸さんの情報提供を感謝します。ごきげんよう、お達者で。
残骸さんの残骸は干乾びて骨の形になり、それすらも崩れて塵になり、間を置く事も無く色褪せ、薄れて、消えた。
魔物によって存在力を削ぎとられていたのに、自分が構成情報の残滓すら残さず抽出してしまったのだ。この世界に残るものなど欠片も存在しなかったとしても、何もおかしくはない。
実にあっさりとした事態の収束。
世界断片のひとつ、始祖魔導書も無事に回収できた。
まあ正確にはその欠片に過ぎないんだけど。
もうひとつ付け加えるならこの欠片こそが本来の目的に近い。
どちらかと言えば魔物退治のほうがついでなのだ。
物足りないとは言わないが、達成感も無い。
でも同時に、こんなものなのかもしれないな、とも思う。
なにぶん今回、最も脅威だったのは世界断片である。
少々の魔物が加わったというだけで対処できなくなるはずがない。
包帯で封印された右手が勝手に動くとか、眼帯で隠した左目の奥が疼くとか、年若い人間が周囲の環境に影響を受けて罹患する精神的な病気と似たようなものだ。
たまに息抜きのように症状を出す分にはストレス発散にもなるだろう。けれども流石に常在戦場の心得がごとく常に発症し続けて、いつまでも自分自身の言動を省みないようでは、あまりに痛々しいというものである。
閑話休題。
魔物の動きを止める程度なら剣モドキも役に立つ事が立証された。
物理的にはほとんど役に立っていなかった気もするけど。
ああ、つまり、世界の外側の力というのはこの剣モドキの本体なのだ。
剣モドキを自分が取り込んだことで力の性質が変わってしまったというか。
本来は自分の意思で切り離した自分の欠片のひとつに過ぎない。
いや、これに限っては逆か?
これはもともと自分自身を切り分けるために使った力のはずだ。
なぜか所管から離れて別の役割を割り振られてしまっていたけど。
あと、魔物相手でなければ役に立たないことも立証されてしまったかな。
やっぱりコレ名前負けしてるんだよなあ。
せめて鋭い形状にでもなれば、威嚇くらいにはなるかもしれないのに。
少しでも触れられた瞬間に完全に無意味になるけど。
どれだけ尖っていても生物相手には刺さらないだろうし。
まあ今回は収穫が無かったということでもない。
力と力の応酬以外にも魔物への対抗手段を確認できたことだ。
孤高なる断絶の剣、つまりこの剣モドキの存在は人類にとって既知のものだ。
由来が由来だけに魔術で再現するのは難しいかもしれない。
だが、魔物への対処だけなら完全に再現しなくとも十分だろう。
そして何より、人の力は魔術だけに限られているわけでもない。
血染め岩の剣や魂喰らいの魔剣なんていう名前こそ付いていたものの、魔物に対して有効なこの剣の本質は帝国の人間に知られていた。情報という前提を手にした人類が、魔物に対する何らかの対抗手段を思いつかないはずが無いのだ。
そしてこれは、逆の意味でも気にかけておくべきことでもある。
対抗手段を得た人類にとって、魔物が脅威でなくなるのは遠い話では無い。
魔物が唯一の敵ではなくなったとき、人類の敵が魔物だけとは限らなくなってしまう。
人類の結束が緩み、魔物への対抗手段に対する妨害や封殺を考えてしまう者がいるかもしれない。
自分はこの世界の生物に強く影響を及ぼすことができない。
特に人間相手だと、存在力の差が大き過ぎる。
だからもし、魔物に人間の護衛が付いていれば、今回のように簡単にはいかなかっただろう事は分かる。魔物の性質を考えれば普通はありえないけど、普通にありえない事なんてものは普通に起きてしまうので。
すべての人類が自分に協力的になるとは考えていない。
すべての人類のために自分が動いていることは、その逆を保障しないのだ。
むしろ自分に協力的である理由が、今の人類には無いのだから。
上手くいったのは、今回の黒幕がどうしようもないほど魔物だったからだ。
魔物らしく、無知で、無策で、無防備だったからだ。
人類からの妨害を受けた場合の対策については、今後の課題かな。
色々と考えているところへ、天井が崩落して
◇ ◇
『■■k^@■..6,*■■て、■■#g`%P■■のに■』
◇ ◇
いやあ、失敗だ。
まったく油断も隙も無い。
被害ゼロの完全試合を達成したかと思った途端にこれだ。
不意を衝かれたのは最初の落下物だけではあるけれども、ダメージを負ったという事実は変わらない。
これが完全試合の終了直前に失点した気分というものなのかな。
いったい何の試合なのか分からないけど、締まらない結末だった。
まあ、すぐに孤高なる断絶の剣を盾になるよう変形させたけど。
建材の劣化もあったのか、自分には大した被害も無かった。
身体部位は千切れていない。落としたり無くしたりもしていない。
直接衝撃を受けた頭部自体には影響は無く、意識の断絶もしていない。
ちょっと骨が折れた程度だ。物理的な意味で。
肉体の損傷割合として見ればかなり軽微な部類に入る。
つまり敗北したわけじゃないから完全勝利と言ってもいいだろう。
粉砕骨折なら話は別だろうけど、骨折程度なら放っておけば再生する。
人間も骨にヒビが入るより骨折のほうが回復が早いらしいからね。
知識由来の情報提供に嘘や冗談は無いはずだ。
それにしても、いくらなんでもタイミング悪過ぎやしないだろうか。
考察やら感傷やらに浸る暇も無いってどういうことなの。
形ある物が滅びるのは必定とは言っても、限度があると思う。
耐用年数とか構造強度とか考えて建築してほしいんだけど。
いや、そうじゃないのか。
魔物の法則が建造物の倒壊を防いでいたんだ。
建物の設計段階から魔物の法則を発揮していた可能性が高い。
騙し騙し設計され、騙し騙し作られて、騙し騙し使われた建物というわけか。
ああ、だから『もしかして:急造欠陥住宅』みたいな情報が提起していたのかな。外観だけだと頑丈そうだったから、意味が分からなかったんだ。年季が入った歴史ある建造物にしか見えなかったし。
歪めて騙していた元凶が消えれば、その後の現実までは騙しきれないのかな。
単なる一時避難所に過ぎなかったであろう建造当初の様子が目に浮かぶ。
つまり壊れるべくして壊れたわけだな。
いや?
建造物の崩壊は悪いことばかりでもないか。
都合の悪い現実を隠蔽できる。
都合の良い真実を捏造できる。
人の可能性が安易に失われるような技術知識は自分にとって都合が悪い。
全人類が自己保身を優先して魔物化するという事態は避けたい。
そのためには人が魔物になることができたという事実は害悪だろう。
だがここをいくら調べても、そんな情報は導き出す手段が無くなった。
なにしろ物的証拠が残っていない。完全に隠滅済みである。
外法の痕跡が魔物本体以外に無かったのだから。
すでに真相は闇の中だ。
人間が事実を明らかにするには世界の外側まで追いかける必要がある。
そして世界の外側まで出た人間は、もう世界には戻れない。
懸念していた情報の漏洩を未然に防いでしまったということだ。
意図せず働いている自分の有能さがおそろしい。
だけど、まあ、結果を総合的に見ればギリギリ及第点くらいかな。
何にしても解決した問題はひとつだけなのだ。
まだ、ある。
まだ、足りない。
自分の中にあるべきものが無い。
記憶を取り戻したからこそよく分かる。
おそらく、世界断片を回収しきれていないのだろう。
どちらかと言えば欠落した部分のほうが大きい気もする。
物理的に記憶が無かった期間が長すぎたのも都合が悪い。
いつ、どこに、何を、どれだけ落としたのか。
見当だって付かないし、推測できる情報もない。
ああ、世界断片ってのは知識の中にある名前なんだけど。
皮肉なことに、その名前は性質とかなりかけ離れている。
世界断片という名前なのに、この世界が欠損してできたものではない。
じゃあ何の断片なんだと問われても、そっちの答えは持ち合わせていない。
実はその根幹となる前提情報が『知識』にも『記憶』にも無いのだ。
この情報は欠落した部分に紛れてしまっているのかもしれない。
その名前や成り立ちはさて置き。
この世界のものでない以上、世界の外側に属する物のはずだ。
つまりは世界には存在しない、存在するべきではない類のもの。
ただし世界の法則を歪めないから、世界に弾かれてもいない。
許されざるものが許されているとか、いったい何の皮肉だろうね?
その辺の設定が色々と緩すぎるんじゃ無いだろうか。ゆるゆるだ。
閑話休題。
放って置いても元通りになることは分かっている。
肉体の復元や再生成も、『約束』を満了するための行程に過ぎない。
統合化は自分の『約束』が持つ機能のひとつでもある。
ただし、それは世界断片を放置しても良い理由にはならない。
約束には当然のように有効期間がつき物だ。
有効期間は、統合の障害がすべて消失した後。
この障害となりうるのは、すべての物質、すべての空間、そしてすべての熱量である。
それらが残らず消失してしまえば、それは世界の破滅と等しいだろう。
待っているだけですべての機能を取り戻せるのは、未然に防ぎたい破滅の後だ。
色々な意味で本末転倒になってしまう。
世界断片は、その欠片ひとつでも人類の脅威となる。
利用する存在だけでなく、確実に色々なものを巻き添えにする。
それも、人類の文明や生態系の環境という狭い範囲に留まる規模の話では無い。
大量の可能性を根こそぎ失わせてなお、有り余る代物だ。
もちろん機能と扱い方の相性次第というのもあるだろうけれども。
太陽表面の熱を利用して冷蔵庫を動かすくらいの話になるんじゃないかな。
不可能とは言わないけど、今この時点では現実的な運用は難しいだろう。
技術を発展させても費用対効果は芳しく無いはずだ。
あと、耐用時間とか考えると非常に残念な事になると思う。
放置することのできる問題ではないと、今回の件でよく分かった。
魔物にとっては栄養豊富なエサのようなものだろう。
人類にとっては異質で未知な格好の研究材料になる。
それ以外の存在は、今は思いつかないが……仕方が無いかな。
今後、新たに発生するだろう存在なんて予想も付かないし。
なにせ断片があといくつ残っているかも分からないのだ。
遠くまで持ち去られても、それを察知する方法が無い。
現状では探し出すのも困難を極める。
それに対して自分の身体はひとつしかない。
一人で何もかもできるわけじゃないのだ。




