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人滅「Noah's Ark」  作者: 真下ハジメ
第一章
3/15

クソヤロー

また明日上げます。

 目が覚めると見知った天井が見える、学校の保健室だ。よくサボって寝てたから間違いないだろう。腕時計で時間を確認するとそれほど時間は立っていないようだ。


ベッドから起き上がり身だしなみを整えていると、ニフルが部屋に入ってきた。




「あらようやく起きたようですわね。あなたが突然倒れるものですから心配しましたわ。なんて言っていいか分かりませんが、なんでしょう?ご愁傷様?」




なんだこの女 心配といいながら煽りに来たのか。可愛らしく首をコテンじゃありません。




「でもあなたなら大丈夫ですわ!たとえ死傷だろうと!あ!資源開発省ですわね。本当の首席はあなたなのですから!優秀なあなたなら余裕ですわ!」




こいつやはり煽りだろ!傷口に塩を塗りに来やがってー




「ありがとうニフル。本当は万年次席だった君に!言われると自信が湧いてくるよ。ハハハハ俺に任せてくれ必ず方舟に有益な資源を発見して。同期の中で一番出世してみせるよ!」




 お互いの傷に塩を塗り込みながら保険室をあとにし正門で分かれるまで罵りあった。




「これが、最後にならないように願って折りますわ。ごきげんよう」




「あーはいはい。ニフルも中央で頑張れよ。そして出世して俺を引っ張ってくれ」




俺が生きてさえいればまた道を共にする時がくるだろう。そんなことを考えながら生まれ育った孤児院に挨拶に行こうと肩を落としながら歩きだした。(中央のエリートに絶対なるなんてでかいこと言うんじゃなかった。はぁーシスターになんて言おう。)









 彼の背中が遠ざかっていく。入学当初から彼の背中を追いかけてきた。入学での成績も彼の方が良かったが、平民だったため次点の私が代表挨拶をすることになった。彼はとても気さくで優しい人だった。自分で言うのもなんだが、貴族の中でも私と並ぶ地位の人は少ない。幼い頃から同じ貴族の人間でさえ私に気を使い、機嫌を伺っていた。軍学校ではそういうことがないと思っていたが同じだった。私はそんな日常にイライラしていたのだろう、ある試験のあと彼に詰問した。




「あなた一体どんな小細工をしているの?毎回試験の点数が満点っておかしくないかしら。絶対に学生が解けないような問題がわざと紛れ込ませてあるのよ。その道の研究者でも間違えてしまうような問題なの。私は、どうしても信じられないの、だからあなたにフェンリル家のニフル・フェンリルが問います。不正をおこなっていますね?」




平民が貴族の前で嘘をつくと罰せられることはないが非常に方舟で生活しずらくなる特に、上級貴族を敵に回したら最悪だ。普通の生活を送ることは出来なくなるだろう。それを人質にして私は彼に問いかけた。非常に汚いやり口だっただろう。貴族扱いが嫌だと思っているのにそれを利用する私は、自分が矛盾している事に気づいていたが、どうしても試験の結果に納得できなかった。




 彼は目を真ん丸と見開いて愉快そうに微笑んだ。ちょっと見惚れたのは内緒よ。




「これはニフル様 私のような下賤な者と会話して頂けるとは感激です。ですが、あなたが言った言葉はあなた自身が自分を許せなくなる事なのでは?まぁお答えするなら、他の人から見ると不正に近いかもしれませんね。私は、一度聞いたり、見たりした物は忘れないのです。もちろんそもそも頭もいい方のようですがね。」




 彼には、分かっていたのだろう。私が今の環境をよく思っていない事と手段として好きでない貴族の地位を利用して後で落ち込むことも。この男は周囲をよく観察しているなと感心した。普段は教室でも隅で目立たないようにしているが常に情報収集をしているのだろう。私は普段からあまり感情を表に出さないように努めているがどうやらバレていたらしい。




「ニフル様がイライラするのも分かりますがね。なんたって未だにトップを取れないのですから。いえ決してニフル様を煽っているわけではありませんよ?事実を言っているだけです。まぁ私がいる限り取れないでしょうが。いえ決して煽っていません。本当です。ですのであまり私のような平民に当たり散らかされますと醜聞が悪いでしょう。お止めください。」




 誰が見ても分かる。この男煽ってる。すごい清々しい顔をして無駄にきれいな顔が非常に苛つく。一発殴りたい。感心した自分が腹立たしい、よし!そのケンカ買ったかかってこいやごらぁ!




「安心なさって!私がいるかぎりあなたは常に2位ですわ。家柄も実力のうち。どうやっても覆せません。矮小な身に生まれてしまった自分を恨むんですわね。孤児院から来たんですって?生活大変ですわね?私が恵んで差し上げましょうか?」




「んだとこのくそアマ!」




「なによこのくそヤロー」




 私達は、出会い頭の犬の如く罵りあった。今思うとなかなか酷い出会いだったが度々ケンカしていくうちになんやかんや仲良くなり今に至っているのだが、彼への恋心?そんなもの忘却の彼方だわ。


 


 遠ざかって行く彼の背中を見ながら昔のことを思い出し、私は踵を返し歩き始めた。また会えることを願いながら自然と呟いた。




「生きて会いにこいよ。クソヤロー」





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