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計画は進むが

 小説執筆用喫茶店『傑作執筆事務所』の開店計画を開始したが、決めなければいけないことが山ほどある。


 まず、人の手配。仕入れ業者はどうするか。ドリンクはいいとして食事は提供するのか否か。

 そして、単なる喫茶店なら叔父さんにも経営した経験があるらしいが、会員制の組織にするとなると別のノウハウが必要になる。


「結構大掛かりだなあ。会社とかにしないとダメかも」


「ああ、そう思ってな。登記の用意はしてある。軌道に乗るまでは金は出してやるし当座の社長も引き受けるよ。中身はお前の好きにしていい。会員系の商売もしたことあるから心配すんな」


 大丈夫かなあ。叔父さん、昔レンタルCD/ビデオ店で失敗してるから。


 いろいろ考えた挙句、最初は1階と2階だけ営業することにした。

 全部を考えるのは大変だというのもあるし、最初の計画がうまくいかなかった時に修正の余地を残すという意味もある。

 だが、自分勝手にビル丸ごとの商売を始めて失敗するのが怖かった、というのが本音だ。


 まあ、叔父さんも「最初、慎重に始めんのは悪くねーよ」と言ってくれた。


 1階は一応普通の喫茶店にする。

 もちろん、小説を書くこともできるがあくまで2階の会員制スペースのお試しという位置付け。一人一人のスペースがやや広くノーパソで執筆するにはかなり快適な空間とする。普通にお茶を飲みたいお客さんを威圧するような席の使い方は禁止。

 時間も制限する。来店後、1時間半までとして追加注文があっても時間延長はなし。これは執筆しようがしまいが厳守する。文句を言う奴は追い出して出禁。


「叔父さん、そんなことして大丈夫?」


「ああ、そこはやり方次第だがうまくいくだろう」


 最近はネット上でもヤバい客の話が多いが、叔父さんには方策があるらしい。


 2階には受付と執筆スペースとドリンクバーのみ。Wifiは当然完備する。

 一応、プリンターもいるのかな。流石にFAXはいらない。

 1階の喫茶店からコーヒーは届けてもらうが、何か食べ物も頼めるようにするかどうかは今後の検討だな。

 工事が始まり全体の半分を作ったところで、使用テストを始めた。

 自分でまず使ってみたところ問題は見つからなかったが、友達の素人底辺作家数人に来てもらって感想を聞く。


「過ごしやすいけど、椅子の高さ変えられるといいな。あと書いてると後ろにウワーッ、て反りたくなる」


「執筆が捗る。コーヒー美味い」


 ふむふむ、椅子と机は俺が座って決めたからな。

 流石に高さ調節機能は必要か。リクライニングの自由度は高いに越したことはないが値段のこともあるから、そこは叔父さんに相談だな。

 コーヒーはこだわって名店から仕入れることができた。高いけど。

 全般的にいい感触。


 当然、悪い感想もあった。


「ダメだ。2時間で500文字も書けなかった」


「どこが悪いんだ? 机とかライティングとか」


「先週からスランプで……」


 知らんがな。




 そんな訳で紆余曲折あったものの準備は叙々に整っていき、あと2ヶ月というところでホームページを立ち上げて宣伝を始めた。

 有料会員は年1,500円で口座を登録すると初年度の料金が引き落とされる。仮登録にしておいて初来店時に支払うという方法も取れる。

 その時点で先行会員募集はぼちぼち。


 さらに、叔父さんの伝手でマスコミ関係でも取り上げてもらいさらに会員数は増えた。

 問い合わせは多く、近くの駅にも店を作って欲しいという希望はあったが、流石にそれは無理。

 もし、軌道に乗ったら2号店以降も考える、とだけ返すに留まった。


 会員数が増えすぎて来たとしても店に入れない状態が続いたりすると苦情が怖かったが、うちの店は所詮ちょっとスペースが広い喫茶店でしかなく、わざわざ遠くから来るほどのメリットはないのでそういう心配はまだなかった。

 これで何とか開店からガラガラという事態は避けられそう。


 叔父さんはこれでいけると踏み、3階と4階の工事を開始。

 さらに、ある会員増加策を講じた。


 そして、事件は起こった。

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