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魂色ファンタジア~語られざる異端者の冒険譚~  作者: ガホウ
~魔法の衆と禁じられた書~
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第三十七話 いつもと変わらない夜明け

 おれとレイは旅に出る準備を終えていろんな人の所へ会いに行った。ネウィロスの爺さんやセルシス、その他大勢のエルフやダークエルフにお別れの挨拶をして回った。まさか挨拶だけで一日かかるとは思わなかった。気が付けばここでたくさんの知り合いが出来た。最初に来たときは皆似たような端正な顔立ちで区別をするのも難しかったし人間に対してどこかスカしたような態度をとられていたから仲良くできるか不安だったがエルを筆頭に皆と仲良くなれた。


 挨拶を終えたおれたちは世界樹を後にして歩いていた。


「これでエルフの里ともお別れか~寂しいな」

「旅が終わったらまた来ればいいよ。時間ならいっぱいあるんだから」

「そうだな。それにしてもエルの奴はどこに行っちまったんだよ。挨拶無いまま別れるのは何か嫌だな」

「僕も、最後に一言くらい会話したかったよ」


 おれがもらったリンゴを真上に投げてはキャッチするのを繰り返していたら突然真上に投げたはずのリンゴが落下せずに目の前の木の幹に矢に貫かれた状態で刺さっていた。おれたちが振り返る前にエルの声が聞こえてくる。


「私を置いていくなんていい度胸してるじゃない⁉」

「「エル‼」」

「準備してたら遅れたわ」

「ついてきても平気なの?」


 おれたちはエルが来てくれたことに飛び跳ねながら喜んでいたが、エルは一応エルフの里の王女様だ。


「今度の旅は前回みたくすぐに戻れるわけじゃないんだぞ」

「そんなの分かってるわよ。あなた達の方こそ私の案内無しじゃ生きて旅なんてできないわよ」

「エルだってまともに里の外に出たことないだろ」

「あなた達よりかはマシよ」


 エルが木の幹に刺さった矢を回収してリンゴをおれに向けた。おれはリンゴを矢から引き抜いてそのままの勢いで噛り付く。


「じゃあ姫様一人を護衛しながらフォルワを旅するか」

「騒がしくなりそうだね」


「何か言ったかしら?」


「「なんでもございませんお姫様」」


「その呼び方はやめて。ドワーフの所に行くんでしょ。ほら、出発するわよ!」


 エルは早歩きで森の中を突き進んでいく。おれもついていこうとしたらレイに止められた。


「ねえディール、二人そろって新しい剣をもらったことだし”騎士の誓い”を交わしてみない?」

「何だそれ?」

「エイリレ王国の騎士が大事な願い事をするときにしているらしいんだ」


 そう言ってレイは鞘からヴェルブリンガーを引き抜いて自分の胸の前に持ってきた。もう片方の手は剣を持っている腕の関節部分に添えている。おれも見様見まねで同じ構えをとる。


「これでいいか?」

「上出来だね。そうしたら、願い事を話して」

「おれの願いは『七玹騎士を全員討って皆の仇をとること』だ」

「じゃあ僕の願いは『ディールの願いを叶えるための支えになること』だね。こうしてお互いに願い事を言ったら剣を二度交互にぶつけるんだ」


 レイの言ったとおりにおれたちは剣を優しく交互にぶつけた。


「これで終わりだよ。早くエルを追いかけないとどやされちゃうよ」

「そうだな。急ぐか!」


 おれたちは二人一緒にエルを追いかけて走り出した。

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