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蝶が舞う  作者: 御通由人
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第28章

 光彦はりんに言われた通り、妻とやり直すための話し合いを持った。

 しかし、元に戻るのは難しいと拒絶された。

 

 今までなら諦めて、これまでと同じの生活をまた続けただろう。しかし、もう様々なことに目をつぶり、感情も考えも意志もなく、眠ったように生きたくはなかった。お互いのこれからの人生をやり直すためにもケジメをつけることが必要だと思った。

 それで光彦は離婚を切り出したのだが、彼がそんな思い切ったことを言うことに妻は驚き、狼狽えたようだった。 

 結婚以来、知り合いのところでのパートくらいしかしたことがない彼女にとっては、生活費の問題が大きかったようだ。

 彼女は彼が浮気をしていたとは知らない。光彦のようなうだつの上がらない地味な男が浮気する甲斐性などないと思っていたので、想像さえしていなかったようだ。

 妻と会っていない時にはなんとも思わなかったが、妻と会い、話をすればするほど、彼の中で疾しい気持ちが増していった。

 その贖罪の気持ちもあり、娘が大学を卒業するまでの学費と養育費を払い続ける、家や貯金、有価証券などの財産はすべて彼女のものとするという妻からの条件を全面的に受け入れた。 

 離婚は成立した。

 

 離婚しても光彦の生活は殆ど変わることはなかった。同じ神奈川のアパートに住み、毎日同じようにバスに乗って会社に通った。


 七年の歳月が流れた。

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