第24章
手紙を読み終わると、すぐに光彦は彼女の店に向かった。
息せき切って、店内に駆け込むと、若い店員が驚いた様子で、慌てて近づいて来た。
「リナさんはまだいますか?もう辞めてしまいましたか?」
「あ、いや、まだいますが」
「じゃあ、指名します。今、客が入っているなら、待ちます。何時間でも待ちます」
「あ、いや、それが……」
若い店員は困ったような顔をして、中年の店員の方を振り返った。その店員が近づいて来て、申し訳なさそうに言った。
「予約の入っていないお客さんは断ってくれとリナさんから言われているんですよ。本当はリナさんは今日辞めるつもりだったのですが、今日明日明後日と指名の予約が入っていたので、無理を言って残って貰ったのです。だから、リナさんの言うことを守らなければいけません。誠に申し訳ありませんが、お引き取りください」
店員は深く頭を下げた。
光彦はひどく落胆した。しかし、そう言われれば、返す言葉がなかった。
何とか彼女と連絡を取る術はないか、そう頭を巡らせた時、彼女と同じように手紙を書くことを思いついた。
「すみません。ペンと紙はありませんか?」
そう言うと、店員はカウンターの上からボールペンと一枚の紙を取って、差し出した。
光彦は礼を言って、それらを受け取り、それにメモを書き、店員に渡した。
そして、「これをリナさんに渡してください。お願いします」と何度も何度も頭を下げた。
「僕がいない時でいいから一度家に来てくれ。鍵は例のところにある。玄関の靴箱の上にリモコンを置いているので、照明は点けずに、そのリモコンを持ってリビングに行って、天井の方に向けて真ん中の三角形の印のついたボタンを押してくれ」
光彦は専門の会社に頼んで、CGを制作して貰っていた。光彦の会社と取引きのある会社なので、多少割引きしてくれたが、それでもわずかな時間で数十万円もかかった。その上、プロジェクターなどの装置を整えるのにも数十万もかかった。
しかし、金などどうでもよかった。
どうしてもりんに見せたいものがあった。




