第三話 家でもイチャイチャ甘やかされる
「えっとねー、この問題の解き方はね……」
「うう……」
家に帰った後、今日出た宿題でわからない所があったので、由奈お姉ちゃんに教えてもらっていたが、由奈お姉ちゃんはやたらと体を密着させており、ちょっと集中できなかった。
「わかった?」
「う、うん」
「本当? それじゃあ、解いてみて」
僕の視線に気付いたのか、悪戯っぽい笑みで、由奈お姉ちゃんがそう言うと、教えてもらった問題を解いてみる。
「くす、正解。やーん、やっぱりみっくんは呑み込み早いわよね」
何とか正解出来たようでホッとし、由奈お姉ちゃんが僕の頭を撫でてくれた。
嬉しいことは嬉しいけど、なんだかあまりにも子ども扱いされてしまい、少しだけ微妙な気分だった。
「じゃあ、ちゃんと正解出来たご褒美をくれようかなあ。何が良い?」
「べ、別にご褒美なんか良いよ」
「良いじゃない、お姉ちゃんがあげたいんだから。ほら、ちゅーしてあげようかな。ちゅっ」
「うう」
ご褒美など良いと言ったのに、由奈お姉ちゃんは頭をなでなでした後、僕の頬にキスをする。
いつもの事とは言え、とても恥ずかしい……。
「ゴホンっ! また、何をしているの、由奈お姉ちゃん」
「あら、菜月ちゃん。勉強教えていたんだけど、悪い?」
「悪くはないけど、ちゃんと真面目に教えてるんでしょうね?」
由奈お姉ちゃんに抱かれて、顔を真っ赤にしていると、菜月お姉ちゃんが呆れた顔をして、僕の部屋に入ってきた。
今のキス、見られていなかったかな……。
「みっくんが私に教えてくれって頼んだんだけどなー。弟に勉強教えてって言われて、教えるのはそんなに悪いこと?」
「別に悪いなんて言ってない。てか、何で私に聞かないのよ」
「そ、それは……」
菜月お姉ちゃんは数学が苦手だと言っていたので、もっと成績の良い、由奈お姉ちゃんに……と言おうとしたけど、これを言うと怒るだろうか。
「はいはい、その辺にしようね。良いじゃない、誰に聞いたって」
「静子お姉ちゃん……ふん、良いわよ。好きにすればー」
騒ぎを聞きつけたのか、静子お姉ちゃんが僕の部屋にやってきて、間に割って入る。
何となく空気が悪くなってきたので、ホッとしたが、菜月お姉ちゃんの機嫌が何故か悪かったので、どうしようかと考えていた。
「全く、ヤキモチ焼きねえ、菜月ちゃんも。ん、ラインの着信が……ごめんね、みっくん、ちょっとお姉ちゃん、席外すね」
スマホの着信があったのか、由奈お姉ちゃんが席を立って、僕の部屋から出てしまう。
「光毅君、もう宿題終わったの? じゃあ、お姉ちゃんとゲームして遊ぼうよ」
「ゲーム……うん、良いけど……」
「やった。この前の対戦の続きしようねー」
静子お姉ちゃんと二人になった瞬間、静子お姉ちゃんが携帯のゲーム機を取り出して、一緒にやろうと誘ってきたので、二人でベッドに座り、対戦を始める。
いつもと変わらない四人の日常。
こんな日常
「ふわああ……もう、こんな時間かあ。じゃあ、そろそろ寝ようか」
「うん」
二人で一時間近く対戦ゲームに熱中していると、もう夜遅くなってしまい、就寝の準備を始める。
また夜更かししちゃったなあ。
「あの、静子お姉ちゃん」
「何?」
「その、どうして僕のベッドに……」
「え? 一緒に寝ないの?」
「…………」
静子お姉ちゃんが、僕のベッドに何故か横になったので、どうしたのかと聞くと、さも平然とそう答え、一瞬、言葉を失う。
「ほら、早く。たまには一緒に寝ようよ」
「は、恥ずかしいよお……」
「恥ずかしいじゃないよー。良いじゃない、姉弟なんだから、別に恥ずかしくはない」
そ、そんな事はないと思うけど……。
たまに静子お姉ちゃんもこういうことしてくるので、困ってしまい、本気なのか悪戯でやっているのか、わからず余計に困惑してしまう。
だけど、静子お姉ちゃんの姿、何処か色っぽい。
タンクトップとホットパンツに、胸元も出ていて、ちょっと刺激が強い格好をしている。
静子お姉ちゃんの太股、凄くキレイだなあ……
「さ、早く寝よう、来なさい」
「う、うん……」
たまには良いかと、一緒の布団にくるまろうとする。
静子お姉ちゃんは僕が布団に潜り込むと、穏やかな顔をして、僕の頭を撫でる。
「光穀君とこうしてる時が、一番落ち着くなあ、私」
「え?」
「くす、今夜は良く寝れそうだなって。おやすみ」
「うん。おやすみなさい」
お互いそう挨拶し、そのまま眠りにつく。
静子お姉ちゃんに抱かれながら、とても穏やかな気分の中、眠っていった。
翌朝――
「みっくん、朝だよ、起きてー。なあっ!?」
「うう……」
菜月お姉ちゃんの声で目が覚め、ゆっくりと起き上がる。
もう朝かー……早く支度しないと。
「な、何やってんの、みっくん!」
「え? 何って?」
「ふああ……あ、おはよー、菜月い……もう朝なんだ」
「何で静子お姉ちゃんが一緒に居るのよ!」
「ん? 見ての通り、光穀君と一緒に寝たんだけど。昨夜は二人で、お楽しみだったしい♪」
「なああっ! ふ、不潔よー! みっくんのバカあ!」
「ええっ!?」
菜月お姉ちゃんは顔を真っ赤にして、そう叫び、静子お姉ちゃんは僕に抱きついて、してやったりとした顔をする。