第十一話 お姉ちゃんたちのセクハラマッサージ
「みっくーん、ちょっと良い?」
「何、由奈お姉ちゃん」
ある平日の夜、光毅が部屋でテレビを見ていると、由奈が部屋に入ってきて、
「ちょっと、手伝って欲しいことあるんだけど、良いかなあ?」
「手伝って欲しいこと? 良いけど、何?」
「ふふん、まずはお姉ちゃんの部屋に来て欲しいな」
一体何をするのかと、光毅は首を傾げていたが、由奈はイタズラっぽい笑みを浮かべながらそう言い、光毅も無邪気に上の姉の後を付いていく。
「みっくーん、このジュースの蓋、ちょっと開けてくれない? お姉ちゃん、どうしても開けられないの」
「え? うん……」
部屋に入るや、由奈は光毅にペットボトルの炭酸ジュースを手渡し、蓋を開けるようにお願いすると、光毅も素直にジュースの蓋を開けようとする。
「あ、あれ……開かないな……」
だが、いくら蓋を捻っても開かなかったので、光毅も思いっきり蓋を回して開けようとする。
そしてようやく蓋が開き、光毅も
「あ、開いたよ……」
「ありがとう。みっくん、やっぱり男の子ねえ。力あるんだ」
無事、蓋を開けると、息を切らしながら、光毅は由奈にペットボトルを渡して、ジュースを一口飲む。
「みっくんも飲む?」
「え? 僕は良いよ……」
「まあまあ、一緒に飲みましょうよ」
「う、うん……」
由奈の飲みかけのジュースを受け取って、光毅も恐る恐る口にして一口飲む。
そんな弟の様子をニコニコしながら頭を撫でて、由奈は眺めており、光毅と間接キス出来てとても上機嫌であった。
「ねえ、みっくーん。お姉ちゃん、ちょっとマッサージして欲しいなあ」
「マッサージ? うん、良いよ」
「本当? じゃあ、お願いね」
由奈がそうお願いしてきたので、光毅はすぐに頷き、由奈が着ていたブラウスを脱いで、ベッドにうつ伏せになる。
「あ、あの、お姉ちゃん、服は……」
「肌に直接やった方がやりやすいでしょう。あんまり強くもむと、服が痛んじゃうしー」
「う、うん」
ベッドの上で由奈は背中を全て彼の前に曝け出し、彼女の白く細い背中を見て、光毅もなぜか息を飲む。
だが、頼まれた以上はやらないといけないとと思い、由奈の背中に手を触れて、マッサージを始めていったのであった。
「んっ、ああんっ! い、良いわ、そこもっとお……」
光毅が背中を恐る恐るマッサージすると、由奈は大袈裟なくらい甘い喘ぎ声を上げて、光毅をぎょっとさせる。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫よ、気持ち良いわ」
変な喘ぎ声を上げたので、由奈が痛がっているのではないかと不安になった光毅は、すぐに手を離すが、由奈は気にせず続けろと言い、言うとおりにする。
しかし、いくら姉と言えど、由奈の背中を直に揉んでいくのは恥ずかしく、光毅もぎこちない手つきで、マッサージをしていったのであった。
「由奈お姉ちゃん、私のジャージ、何処にいったか知らない? さっき、洗濯してたはずだけど……」
「あっ、はああんっ!だ、ダメ、そんな所、強くしちゃあ、イクウウっ♪」
「な、なあっ!」
光毅のマッサージで、艶めかしい声を上げている最中に、菜月が由奈の部屋に入り、その光景を見て目を丸くして固まる。
「な、何、やってるのよっ、二人とも!」
「はあ、はあ……あら、菜月ちゃんじゃない。見てのとおり、マッサージしてもらってるんだけど」
「ま、マッサージって、上半身裸になって、みっくんの前でそんな……みっくんも、早く離れなさーーいっ!」
「は、はいっ!」
奈月が狼狽しながら、そう叫ぶと、光毅もすぐに由奈から離れる。
由奈が変な喘ぎ声を上げていたのを見て、菜月も顔を真っ赤にして、ドキドキしてしまい、少し羨ましい気分になりながらも、
「駄目じゃない、みっくんにこんな事させちゃっ!」
「ちぇ、良いじゃない。弟にマッサージ頼んで何が悪いの? みっくん、ありがとー、気持ち良かったわよ。ちゅっ♡」
「もう、そういう事しないのっ!」
妹に注意され、頬を膨らませていた由奈であったが、全く悪びれる様子もなく、光毅の頬にキスをする。
由奈にキスをされて顔を真っ赤にしていた光毅であったが、そんな反応が面白くなかった菜月は、
「みっくんもデレデレしない! んもう、どうしていつもこうなのよおっ!」
「ちょっとー、うるさいわよー、何なの?」
騒ぎを聞きつけた静子が、部屋に入ってきて、何事か訊ねる。
「別に何でもないわよ。みっくんにマッサージしてもらっただけ」
「なーんだ。じゃあ、次は私にしてもらおうかなあ」
「ちょっと、静子お姉ちゃんまでえっ!!」
「良いじゃん。私も光毅君にマッサージしてもらいたい。ね、良いよね?」
「うん、良いけど……」
別に静子にマッサージすること自体は嫌ではなかったので、光毅もすぐに返事をし、それを見て静子が彼の手を引いて、
「んじゃ、私の部屋にレッツゴー。光毅君、借りるよー」
「あーーん、良いなあ。またお願いね、みっくん」
「はあ……二人ともみっくんを何だと思っているのかしら……」
「んじゃ、お願いね」
「し、静子お姉ちゃんまで……」
「ん? 何?」
静子が自室に光毅を連れ込むと、何食わぬ顔をして、着ていたTシャツを脱いで、ブラジャーだけ羽織った姿だけになる。
「服があるとやりにくいでしょう?」
「や、やりにくくは……」
「はいはい、じゃあ、背中揉んでくれる?」
「うう……」
ベッドに仰向けになると、静子もブラのホックを外し、か細い背中を彼の前に晒してマッサージをさせる。
何でこんな事をしているのかと、光毅もよくわからなくなっていたが、言われるがままに二番目の姉の背を揉んでいった。
「んっ、あんっ♪良いよ、もっと、下の方、揉んでくれる?」
「うん……」
本当に気持ち良かったのか、静子は気持ちよさそうな顔をして、そう指示し、光毅も静子の腰のあたりを揉んでいく。
「もっと、下」
「こ、こう?」
「うん、そうそう。そこ、もっと揉んでえ」
「え……う、うん……」
静子が指示したのは、彼女のお尻の方で、本当に良いのかと、光毅も躊躇したが、静子が気持ちよさそうに呻いていたので、お尻のあたりを揉んでいく。
「あ、やあんっ♪そんなとこ、強くしたら、イっちゃうう♪」
「い、イクって、痛いの?」
「ううん、痛くないよ。むしろ、もっと強くもんで。あ、今度は私のおっぱい、揉んでもらおうかなあ」
「ええ?」
お尻を揉まれて、静子もさすがに恥ずかしくなったのか、頬を赤らめながら、変な声を出し、しまいには胸を揉めと無茶な事を言いだす。
流石に冗談だろうと光毅も思っていたが、静子は起き上がって、
「おっぱいも、めっちゃ凝っちゃってさあ。光毅君に揉んでもらいたいなあ。はい、どうぞ」
「そ、そんなの……」
静子がブラで隠していた胸をすっと見せようとすると、光毅も思わず目を逸らし、拒否するが、
「ストーーーップっ! いい加減にしなさあいっ!」
廊下でこっそりのぞいていた菜月が慌てて、静子の部屋に飛び入り、二人の間に割って入る。
「あ、菜月、見てたんだ」
「当り前っ! んもう、由奈お姉ちゃんも静子お姉ちゃんもみっくんへのセクハラ酷すぎっ! みっくんも、デレデレしない! 行くよ! あと、ちゃんと静子お姉ちゃんは服を着る!」
「はーい。みっくん」
「な、何?」
「ありがとう、気持ちよかった。また、お願いね。チュッ♡」
「――!」
静子が光毅の腕を掴んで彼の体を引き、光毅の頬にキスをする。
それを見て、菜月も嫉妬が顔を赤くし、
「デレデレしない! もう行くよ!」
光穀を引っ張り部屋を出る。
二人の弟への過剰なスキンシップに菜月も頭を悩ませるばかりであった。




