表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空のエリス  作者: 長部円
エピローグ
98/98

エピローグ 後編

前編からだいぶ間が空いてしまいましたが、ようやく書ける余裕が少しだけできました。

最終エピソードです。

エピローグ 後編


「エリスはもともと、人間(アントロポス)たちの国を征服するために2代前の女帝リリスがレア様の提案で産んだ子。

 そして、四大陸にあった人間(アントロポス)たちの国はエリスの活躍もあってことごとく帝国の版図と化し、異世界の人間(アントロポス)たちによる侵略も二度失敗させたですの。

 ヴェルトヴァイト帝国に対抗できる人間(アントロポス)たちはもはや"この世界"にいないですの。

 それに、エリスを産んだリリスやエリスの姉だった先帝ノクスもイルミナもすでにこの世を去り、エリスがこのままの状態で存在し続ける意義はほぼないですの。

 ただ、もし遠い将来、ヴェルトヴァイト帝国に新たなる脅威が迫った際、時の女帝を援ける戦力として蘇るですの」


エリスは次に必要とされる時まで、専属侍女4名とともにヒンメルスパラストで眠ることとなった。

エクレアは当初、エリスだけをヒンメルスパラストに残すつもりだったが、"エルステ"のメイも、"ツヴァイテ"のクロエも、"ドリッテ"のアンネも、"フィアーテ"のファニーも、エリスの側に居続けたいと願った。

クロエはエリスが生まれた時から側に仕えている侍女であり、メイとアンネはエリスによって救われたことからエリスへの精神的な依存は測り知れないほど深く、エリスとの離別は彼女たちにとって死にも等しいものだった。

ファニーは3人と異なり、ヒンメルスパラストの管理を理由に挙げたが、エリスと離れたくないという思いも隠さなかった。


「4人くらいなら"誤差の範囲内"だから問題ないですの」

専属侍女たちがそう願うことも想定していたようで、エクレアはすぐに許可。

ヒンメルスパラストに残る5人のうち、ファニーだけは"永き眠り"に入らず、ヒンメルスパラストの管理者を務めることになった。


セントメアリの住民には具体的なタイミングを示さなかったが、近いうちにヒンメルスパラストが切り離されることを予め周知していた。

そして、とある日の夜中…。


エリスと4人の専属侍女、それにエクレアは最近リニューアルした1つの部屋にいた。

その部屋には手前側に普通のサイズのベッドが2つ、奥に大きなサイズのベッドが1つある。

手前側のベッドにはクロエとアンネが、奥のベッドにはエリスとメイが一緒に横たわった。

ファニーは部屋の出入口近くで、これから行われる"儀式"を見守っている。


エクレアはアンネ、クロエの順に"術"を施し、2人を永き眠りに(いざな)う。

次いで、大きなベッドに近づくとメイの顔に手をかざす。

「メイ、これからもエリスのこと、よろしくね」

「はい…エリのこと、いつまでも…」

エクレアへ返す言葉が途切れるとともに、メイは永き眠りに入った。


「エクレアちゃん…今までありがとう…またいつか、一緒に…」

「ええ、おやすみなさい、エリス…」

最後に、エリスもエクレアによって永き眠りについた。


"儀式"を終えると、エクレアは何かを託すようにしばらくファニーと唇を重ねてから、振り返らずに部屋を出る。

ファニーもエクレアの後を追ったがすぐに立ち止まり、エリスたち4人が眠る部屋に、先ほどエクレアから授けられた力で封印を施した。

この封印はエクレアとファニー、それに神々以外は誰も解除できないものである。


エクレアはもう1つ別の"儀式"を行った後、ヒンメルスパラストから離れた。

その"儀式"によってヒンメルスパラストが揺れても、予め伝えられていたファニーは驚かなかった。


エクレアが行った"儀式"でヒンメルスパラストはセントメアリから切り離され、東へ移動しながら高度を上げていく。

アヴァロニア大陸から離れたところで進路を南に変えた。

海に出てからの進路は、ある程度ファニーの裁量で変えられるが、陸地には近づかないようにエクレアから命じられていた。


こうしてヒンメルスパラストは、次にエリスが目覚めるまで海の遥か上を飛び続けることになった。

これで「空のエリス」は完結です。

もっと長く書きたかったですが、アイデアが枯渇したのと本業の多忙さで叶いませんでした…。

でも設定回含めて100ページ以内なので、目次が複数ページにまたがらないのは、むしろいいのかもしれないですね…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ