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空のエリス  作者: 長部円
第3部
95/98

11 ウンターネーメン・テルツェット

11


「ツェーン」

ヴェルトヴァイト帝国の本拠地・アマージエン島のパンゲーアに拵えられた"作戦本部"。

そこで女帝・ノクスが発した一言から"カウントダウン"が始まった。

「ノイン」

「アハト」

「ジーベン」

「ゼクス」

「フュンフ」

数字のカウントとともに、この作戦を必ず成功させるための"お膳立て"が行われる。

「フィーア」

そして、カウント4(フィーア)で"ティーアクライスのフィーア"であるデジレとイルミナの専属侍女"フィアーテ"のキルシュが"ドゥンクレ・ヴォルケン・ルフト"に魔力を送り込むと、

「ドライ!」

エリスとメイが同時に発したカウント3(ドライ)で、ヒンメルスパラストに構築した"ドゥンクレ・ヴォルケン・ルフト"から最大出力の"シュパイヒャー・ブリッツシュラーク"が海上に浮かぶ巨大な要塞に向かって放たれた。


空からの砲撃を受け、慌てたように要塞から兵器が出てきて周りを警戒する。

「ツヴァイ」

ヴェルトヴァイト帝国の二の矢ツヴァイター・アンラウフはそれらを嘲笑うかのように海中から発射されると、要塞の底面に直撃。

エリスたちがアビュススに設置した"ドゥンクレ・ヴォルケン・メーア"で要塞に砲撃を加えたヴェパルは満足そう。


空と海から要塞を攻撃したヴェルトヴァイト帝国だが、ドゥンクレ・ヴォルケンをもう1つ残していた。

その"ドゥンクレ・ヴォルケン・ヴェルト"から初めて行われる砲撃であり、この作戦で最後の砲撃でもある次の一手は、第一皇女であり次代の女帝でもあるリリスの言葉で動き出す。

「アインス」

要塞から至近の場所にあるオストグレンツェではなくツェントラルグレンツェに姿を現した"ドゥンクレ・ヴォルケン・ヴェルト"は、超高密度の魔力砲で要塞を貫いた。

もちろん、味方に被害が及ばないよう、"フュンフ"までの間で対策は済ませていたので、オストグレンツェは無傷だった。


----


ドゥンクレ・ヴォルケンの試作品は期待通りの威力を発揮していたが、ノクスもエリスも、"本番"で使うドゥンクレ・ヴォルケンが1つだけでは要塞に決定的なダメージを与えられないと考えていた。

最終的には"ドゥンクレ・ヴォルケン・ルフト"、"ドゥンクレ・ヴォルケン・メーア"、"ドゥンクレ・ヴォルケン・ヴェルト"の3つが造られたが、いくつ必要か、それぞれどのような性能を持たせるか、などは皇族や幹部たちが何度も意見を交わしたがなかなかまとまらず、決定するまでにはかなりの日数を要した。

それでも、納得いくまで試行錯誤を重ねただけあって、完成品には誰も文句をつけなかった。


----


空からの砲撃だけなら耐えきる、もしくは雪辱を期して元の世界に戻るという選択肢が取れたかもしれない異世界勢は、三連撃により要塞の制御機能が完全に失われ、これ以上何も打つ手がなかった。

やがて、大規模な爆発とともに要塞は崩壊し、中にいた異世界からの侵略者たちはこの世界の住人に姿を見られることも、自身や組織の名を知られることもなく、要塞と運命をともにした。

なお、海に沈んだ要塞の残骸はヴェパルが率いるマリーネによってすべて回収された。


こうして、ヴェルトヴァイト帝国による作戦"ウンターネーメン・テルツェット"は異世界勢の要塞の撃墜という所定の目的を達成し、成功裡に完了した。

本当は客将のキルシュを活躍させたかったのですが、うまく動かせるシチュエーションが思い浮かばず、かといって何もしないよりは…ということでこうなりました。

次回の投稿は(2024年)6月中もしくは7月上旬予定です。

なお、次回で一区切りとするつもりですが、第3部1章の終わりではなく、「空のエリス」の最終回とする可能性もあります。

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