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空のエリス  作者: 長部円
第2部 2章
63/98

23 玩ばれる妖精と"拡張"

2023年最初の投稿ですが、次回との兼ね合いで少し短めです。

23


エリスに無意識のまま人形のように操られたり、疑似人格を一時的に植え付けられたりしてたくさん(もてあそ)ばれたスルーズは、目を覚ますと豪華なベッドに寝かされていた。

「おはよう、スルーズ」

「おはようございます、エリスちゃん…じゃなくてエリスさま…」

「昨夜はあなたがあまりにもかわいすぎて、つい抱き枕にしてしまったわ…」

「わ…わたしがエリスちゃんの抱き枕になっていたなんて…早速エリスちゃんのものとして使ってもらえてうれしいですけど抱き枕になっていた間の記憶も感触も全く覚えていないなんてうわああぁ」

嬉しさの感情と悔しさの感情を同時に処理しきれず、暴走まではいかないものの頭の中が混乱しているスルーズ。

「はぁ、仕方ない子ね…私のことを好きすぎてこんなになってしまうところもかわいいけど」

エリスはそう(つぶや)くと、スルーズの意識を一旦強制的に奪ってから再起動させた。


----


数日後、エリスはスルーズをパンゲーアに連れていき、姉たちに紹介した。

「次期皇帝であるノクスさまと、世界の海を統べるイルミナさまにお会いできて誠に光栄です…」

「エリスちゃん、またこんなにかわいい異種族の子を手に入れたのね…うらやましい…」

「えらいわ、エリス…この子を自分のものにしただけでなく、北方の脅威も取り除いたなんて…」

「えへへ…ノクスお姉ちゃんに褒めてもらえてうれしいです…」

「はわわ…見目麗しいお姉さまに頭をなでてもらって喜んでいるエリスちゃんがかわいすぎる…」

「じゃあ、わたしもエリスちゃんをたくさんなでなでしてあげるわね…」

3姉妹のイチャイチャを至近距離で見てしまったスルーズはその尊さに耐えきれず、頭の中が真っ白になって昏倒。

エリスの処置で意識を取り戻すまでの間、ノクスとイルミナにも体を玩具にされてしまった。


----


スルーズを紹介した次の日、エリスは再度パンゲーアに足を運ぶと、ノクスの部屋へ向かう。

ノクスから愛情たっぷりの抱擁を受けて表情を緩めたエリスは、解放された後もしばらく余韻に浸っていたが、本来の用件を思い出すと、姉の顔を見上げながら言葉を紡いだ。

「ノクスお姉ちゃんに、提案があります…」


三賢女(ドライヴァイゼン)から七賢女(ジーベンヴァイゼン)への拡張…」

「はい…アマージエン島やアヴァロニア大陸の一部のみを領し、アヴァロン王国の征服を進めていた頃なら、ドライヴァイゼンの助言に基づいた軍政で事足りたかもしれませんが、今帝国はすでに2大陸をほぼ手中に収め、当面の間は内政を重視しています。

 ノクスお姉ちゃんが母様の後を継ぐタイミングで、軍事面のドライヴァイゼンに比肩する内政面の側近を加えられるよう、制度の改革を図るべきです」

「要は、軍事優先になっている現状から内政担当の地位を向上させたいということね」

「その通りです」

「エリスの意見には一理あるわ…私の代で実現できるか、母上に話を通してみるわね」

「ありがとうございます、ノクスお姉ちゃん…えへへ…」

もう一度ノクスにぎゅっと抱きしめられたエリスは、そのまましばらく大好きな姉に甘えた。


ノクスの進言を受けて、女帝リリスはノクスへの皇位継承後ドライヴァイゼンと同格にする前提で、侍女4名を内政に大きな権限を持つ特別職に任命。

皇女3名にも同等の侍女を最大4名任命して、それぞれが事実上支配している地域の統治を強化するよう指示した。

指示を受けて、ノクスとイルミナは多数いる配下の侍女から4名の選定を進めていたが、配下のディアボロスが2人に比べて圧倒的に少ないエリスは今のところ、適任者を1名しか見つけられていない。

配下以外からの人材発掘を図るも、なかなかうまくいかず浮かない顔のエリスを見て、幹部の1人は密かに"ある決意"を固めた。

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