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空のエリス  作者: 長部円
第1部 3章
35/98

35 ジュリオポリス巡視

少し遅くなった上に文章少な目ですが35話目です。

35


エリスのアヴァロニア大陸巡視が、南部のジュリオポリスを"第1回"の目的地として始まった。

エリスの巡視にあたっては、いつどこへ行くかといった情報は出さず、さらにいろいろな策をもって一般の国民がエリスたちと接触しないようにしている。

エリスたちの側もエリス、メイ、イーリスは魔女っ娘姿になり、クロエはトイフェライ"シャテン"でエリスの影に隠れ、飛行中は認識阻害の魔法を使うなど、"皇女と侍女"として一般国民と極力接しないように努めた。

なお、イーリスはメイに新しく魔女服と帽子を創ってもらい、帽子にはイーリスの瞳と同じ淡紅色のリボンがつけられた。


ジュリオポリスの街並みははるか昔に人間(アントロポス)が支配していた頃とほとんど変わっていないが、住民はすべてディアボロスに変わっている。

かわいい魔女っ娘3人とヴァンピーリンの少女がおしゃべりしながら歩いていても何の違和感もなく、また"4人の世界"に割って入ろうとする者はいなかった。


ジュリオポリスでは数少ない、帝国によって新しく造られた施設であるクロイツ公園でエリスたちは昼食をとる。

ファニー、ラヘル、リューディアが用意したという昼食は、野菜や肉を挿んだブロート(パン)と、筒状の容器に詰めた(ディアボロスにとっての)栄養たっぷりのスープ。

クロエは有事の際を除いてエリスの影から出られないため食事はできないが、エリスたちが楽しそうに食事をしている様子を見ているだけで"お腹いっぱい"になったらしい。


クロイツ公園はかつて、帝国とアヴァロン王国の戦争において、アヴァロン側の"自爆"で崩壊し十字路だけが残った地区。

ジュリオポリスを攻略した後の帝国は、この場所にあった建物を元通りにせず、"多目的公園"として整備。

十字路は公園外の道と切り離した上でそのまま残し、道以外の部分には木や草花を植え、住民の憩いの場とした。

日中は子供の集団や親子で賑わう場所だが、今は各家庭や食堂などで昼食中なのだろう、エリスたち以外には数人のロリっ子しかいなかった。

昼食を終えると、エリスは昼食時にもかかわらず公園にいたロリっ子たちを気にしつつ、侍女とともに公園を去った。


昼食後も巡視を続けたエリスたちは夕食前にヒンメルスパラストに帰ってきた。

「エリス様、メイ様、おかえり…すぐ夕食にする?先に入浴する?」

エリスは出迎えたファニーに

「ファニーがいい…」

そう言うとファニーの唇を奪う。

エリスにキスされて唇だけでなくいろいろなものを奪われたファニーは幸せそうな顔で失神。

"気付け薬(リーヒザルツ)"で目を覚ましたが、

「わたくしも、ファニーがいい…」

今度はメイにもキスされて、ファニーの中でいろいろなものが壊れた。

クロエ、アンネ、イーリスに対してはファニーから唇を奪いに行き、ファニーの正常な意識は翌朝まで帰ってこなかった。


エリスは2日後、ジュリオポリス巡視の内容を報告書としてまとめ、リリスに提出。

それをもとに、リリスからアンデレス・ウーファ州政府へ調査命令が下され、その結果、エリスがクロイツ公園で見かけたロリっ子たちは親が育児放棄をしているため、ほぼ毎日あの場所にいることが判明。

親に事情聴取を行った上で、ロリっ子たちは将来エリスの侍女にするためセントメアリへ移し、親の"扱い"は別途リリスから州政府へ指示することとなった。


----


エリスの巡視は数日おきに行われ、何事もなければ単なる"エリスと侍女たちのデート"で終わるが、彼女たちの目線で何かしら問題が見つかると、エリスからの報告書に記載されてリリスに情報がもたらされる。

エリスがアンデレス・ウーファ州の巡視を終えて最終的に報告書に記載した都市、町、村の問題点は約50に上った。


エリスがリリスへの、アンデレス・ウーファ州の巡視を総括する報告を終えてリリスの執務室から退出すると、外で待っていたイルミナが近づいてくる。

「エリスちゃん…アンデレス・ウーファの巡視が終わったのなら、わたしとお姉様と一緒に、南の島でデートしましょう。

 お母様からは、エリスちゃんのミッテルアヴァロニア巡視は来月からと聞いているわ」

「はい…えへへ…ノクスお姉ちゃんとイルミナお姉ちゃんと南の島デート…うれしい…」

すでにイルミナが後顧の憂いをなくしているのであれば、エリスが大好きな姉たちとのデートを断る理由はない。

満面の笑みとともに、エリスはデートの誘いを受諾した。


今回は皇女たちの"プライベートなデート"なので、同行する侍女は専属の"フィーア・テュヒティヒステン"に限られる。

また、それぞれの拠点を離れることになるため、有事に備えて4人中、"伝令役"を含めた2人が留守番となる。

"エルステ"はよほどのことがない限り主のそばにいる義務があるので、南の島に行ける侍女はエルステともう1人。

示し合わせたわけではないが、結果的に3人とも留守番のうちの1人をツヴァイテにした。


クロエとファニーに留守番を任せたエリスは、メイとアンネを伴ってヒンメルスパラストから飛び立つ。

まずは姉たちとの待ち合わせ場所である、アヴァロニア大陸南端に近い"とある場所"へ向かった。

本文に出てきた州はそれぞれ以下の通りです。

アンデレス・ウーファ州:アヴァロニア大陸南部(州都はジュリオポリス)

ミッテルアヴァロニア州:アヴァロニア大陸中部(州都はツェントラルシュタット)

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