表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空のエリス  作者: 長部円
第1部 2章
22/98

22 兵器との戯れ

今回もこれまでの1話分より文章量がやや少ないです。

22


「お姉様からは、わたしに少し似てるらしい双子の妹ちゃんをもらったのね…。

 じゃあ、わたしからはフェーりんとロザりんが捕まえてきたばかりの"グナーデ"持ちの子をエリスちゃんにあげる。

 隣の部屋でパッペルと一緒にいるから、エリスちゃんの好きにしていいわ…」

「はい…大好きなイルミナお姉ちゃんからもらった大切なもの…必ず大事に使います…」

親衛隊"シュヴェンツェ"の新しいメンバーとしてブラウベーレを手に入れた後、アビュススに呼ばれたエリスは、イルミナと会話を交わしてから、メイとアンネを連れて隣の部屋へ。

「あっ、エリスちゃん…イルさまから聞いたと思うけど、この子が…」

「イルミナお姉ちゃんから好きにしていいって聞いたから、パッペルを好きにするね…」

「エリスちゃん、ちがっ…」

エリスは隣の部屋で真っ先に目に入ったパッペルに襲い掛かった。


「パッペルは…誰のもの?」

「今のパッペルは…エリスちゃんのもの…」

エリスに唇を奪われた後、抱きつきながら虚ろな目でエリスの顔を見つめるパッペルが愛おしくて、エリスは時間の許す限りパッペルとイチャイチャした。


「エリスちゃん…イルさまからのプレゼントは、パッペルではなくこの人間(アントロポス)だよ…」

「ヵヮィィ…ヵヮィィ…」

"イルミナの兵器"に戻ったパッペルは改めて、拘束されている状態で2人のイチャイチャを興奮しながら見ていた、"かつての同胞"である人間(アントロポス)の女性を指し示した。

「フェブラさまのトイフェライとロザリンデさまの"ジレーネ"としての能力でおかしくなってるけど、パッペルみたいに頭の中を弄られたり壊されたりはしてないから安心してってイルさまが言ってた」

エリスはイルミナ配下の大物2人によって正気を奪われ、口の端から涎を垂らし、小声でぶつぶつ独り言を(つぶや)いている女性に近づく。

「イルミナお姉ちゃんは、まず私がちゅーして失神させてからこの人間(アントロポス)を壊せって言ってた?」

「うん…重度のロリコンさんになっているから、かわいいエリスちゃんが普通にちゅーするだけで間違いなく失神するって」

「じゃあ、さっさと落ちてもらうわ…」

パッペルが言った通り、エリスの(魔力を籠めていない)キスで、極度に興奮した女性は白目をむいて失神した。


その後、エリスはブラウベーレの時と同じようにして女性を壊し、"人間(アントロポス)の外見をした兵器"へと作り変えていった。

「さあ、目覚めなさい…"ビルネ"…」

エリスから命令された"ビルネ"は瞼を開いて、"エリスの紋様"が刻まれた薄緑(ヘルグリューン)の瞳でエリスを見つめると、勢いよくエリスに抱きついた。

「エリスさま…うふふ…かわいい…」

「ビルネ…あなたは…どんな存在?」

「わたしは…エリスさまの…兵器…」

「その通り…あなたは私が王都を落とすための兵器よ…。

 それに、王都攻めが終わってもあなたたち"兵器"は用済みではないわよ…。

 末永く、私の役に立ってもらうわ」

「はい…末永く…ロリかわいいエリスさまのために…尽くす…ふへへ…」

エリスにとって2体目の"兵器"は、フェブラとロザリンデが植え付けた"重度のロリコンさん"の部分をあえて残していた。

もちろん、エリスへの忠誠心を高める意味もあるが、他にも"将来"を見据えてビルネをロリコンのままにしたとのこと。


「さて…ビルネはこれでいいとして、後はパッペルで遊ぶわよ…」

「えっ…エリスちゃん…まだパッペルで遊ぶの…イルさまにっ…」

パッペルの言葉をまたしても遮るように、エリスはパッペルと唇を重ねる。

「それで…私はパッペルで遊んでもいい?」

「うん…いいよ…エリスちゃん…好きなだけパッペルで遊んで…」

再び"エリスのもの"に堕ちたパッペルでしばらく遊んだエリスは、ビルネを連れて満足した顔でアビュススを後にした。


----


翌日、エリスはイルミナに"兵器"の扱い方を学ぶ、という名目でアビュススを訪れ、パッペルで遊んだ。

「パッペルは…エリスちゃんを愛してる…パッペルの頭の中は…エリスちゃんのことでいっぱいなの…。

 この世界にはパッペルとエリスちゃんだけいればいいから…イルさまには消えてもらうね…うふふ…」

エリスがパッペルに自分への恋慕という偽りの感情を最大レベルで植え付けたところ、イルミナに本気で襲いかかった。

だが、専用武装"レヴィアタン"を使わずとも、イルミナは暴走したパッペルを制圧し、そのまま唇を重ねる。

「エリスちゃん…パッペルとイルさまの仲を裂こうとするなんて…いけない子だね…。

 パッペルとイルさまだけの世界を作るために…邪魔者のエリスちゃんは排除する…」

イルミナが離れると、起き上がったパッペルは、先ほどまで"恋慕の対象だった"エリスを邪魔者と認識して攻撃を始めた。


「エリスちゃん、本当に危ないものはわたしが止めるから、存分にやりなさい」

最初は"絶対防御障壁アプゾルーテ・バリエーレ"を展開して防戦一方だったエリスだが、イルミナからの"許可"を得て反撃を開始。

「パッペルのようなかわいい子と"そのまま"でやりあうには少し心苦しいから、メイに創ってもらった"これ"を使うわ…」

エリスは"魔導眼鏡(ツァウバーブリレ)"を左手に持ち、魔力を籠めてから掛けると、

「うふふ…イルミナお姉ちゃんのお言葉に甘えて、容赦せず行くわよ…」

絶対防御障壁アプゾルーテ・バリエーレ盾状(シルトフォルム)に変形させて勢いよくパッペルに衝突した。

メガネっ娘(ブリレントレーゲリン)エリスちゃんかわいい…」

傍観しているイルミナがメガネを掛けた妹に見惚れる中、エリスは先ほどの衝突で怯んだパッペルに、緋色(シャルラッハロート)と漆黒の短剣(ドルヒ)で次々と切り付ける。

パッペルが戦意を喪失して床に倒れこんだところで、エリスは攻撃を止めた。


イルミナがパッペルの傷を癒した後、エリスが再びパッペルの頭の中を弄ると、

「えへへ…イルさまも…エリスちゃんも…大好きだから…動かなくして…ずっとパッペルのそばに…いてもらうの…」

"ヤミ"を(こじ)らせたパッペルは"大好きな"2人に向かって武器を振り回したり魔法を放ったりするが、正気であれば1対1で勝てなかった相手を2人同時に敵に回して勝てるとは思わないはず。

結局、パッペルは心も体もボロボロにされた後、イルミナによって元の"イルミナの兵器"に戻された。


後日、エリスはエマやブラウベーレ、ビルネを練習台にして、絶対防御障壁アプゾルーテ・バリエーレからの"アプゾルーター・シルト・アングライフェン"を何度も試し、次の日には空中から仕掛けるなど、初陣に向けて自らの技も磨くようにしていた。

<2022/ 2/11修正>グナーテ→グナーデ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ