表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

にこちゃん、にこにこがいっぱい

作者: 須東理唯

「にこちゃんは5さい。すきなことばは、きらい」にいただいた素敵なレビューや感想に触発されて書いた続編です。このお話だけでも、完結しております。

にこちゃんは5さいです。


いもうとのなまえは、みこちゃんです。


おかあさんのなまえは、いっこさんです。


いち、に、さん、で


いっこ、にこ、みこ、なんです。


すてきでしょう?


それなのに、にこちゃんなんだか、ごきげんななめです。


「あら、にこちゃん、どうしたの?」


おかあさんが、ふしぎそうにたずねます。


「にこちゃんも、にこちゃんじゃなくて、いっこがよかったな」


にこちゃん、くちびるをとんがらして、こたえます。


「だって、いっこは、1でしょ。1って、1とうしょうの1でしょ。にこちゃんも、2ばんじゃなくて、1とうしょうが、いいなあ」


おかあさん、こまってしまいました。


にこちゃんは、おかあさんとおとうさんがうんと考えて、このなまえが1とうしょう!と思ったから、にこちゃんになったんです。


いち、に、さん、で


いっこ、にこ、みこ。


「ねーね、にこ」


いもうとのみこちゃんが、にこちゃんを見上げていいました。


するとにこちゃん、こんなことを言いだしました。


「にこちゃんも、にこちゃんじゃなくて、みこちゃんがよかったな」


「あら、どうして」


「だってみこちゃんは、3でしょ。3って、2よりいっぱいでしょ。にこちゃんも2こじゃなくて、3こがいいなあ」


にこちゃんのだいすきないちごだって、2こより3このほうが、うれしいもの。


いっぱい、いっぱい、ほしいもの。


「こまったにこちゃんねえ。そういうの、となりの芝生は青く見えるっていうのよ」


おかあさんが、あきれがおで、むずかしいことを言いました。


「あおい、しばふ?」


にこちゃんの目がかがやきます。


にこちゃんのだいすきな色は、ブルーなんです。


あおいしばふでおひるねしたら、


まるで、ひろいうみの上。


まるで、晴れたそらの中。


なんてすてきでしょう。


にこちゃん、うれしくなってにこにこします。


「ねーね、にこにこ」


みこちゃんが、にこにこしている、にこちゃんをゆびさして、わらいます。


「あ、そうか!」


にこちゃん、いいことを思いつきました。


「にこちゃん、にこを、いっぱいにすれば、いいんだ」


にこにこ。


にこにこにこ。


にこにこにこにこ。


にこがいっぱいで、にこちゃん、えがおのいっとうしょう。


にこちゃんがにこにこすると、


いもうとのみこちゃんも、にこにこ。


おかあさんのいっこさんも、にこにこ。


「にこちゃんったら、にこにこして。どんな夢をみているのかしら」


いつのまにかねむってしまったにこちゃんのおなかに、おかあさんがやさしくタオルケットをかけます。


◇◇◇


でもほんとはね。


にこちゃんが、いっこがいいなって思うのは、おかあさんのいっこさんのことが、だいすきだからなんです。


にこちゃんが、みこがいいなって思うのは、いもうとのみこちゃんのことが、だいすきだからなんです。


にこちゃんがそれを見つけるのは、もうすこし、さきのことです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 家族仲良しなところ。 [一言] おー!にこちゃんの別の1日を覗かせていただけるとは。にこにこにこ。
[一言] にこちゃんは大好きがいっぱいですね。 大好きに囲まれている状況ってとても幸せだと思います。 幸せがずっとずっと続いてくれますように。
[一言] にこちゃんの「大好き」がたくさん詰まった素敵な物語でした。 子どもたちって、同じものでもお父さんやお母さん、お兄ちゃんやお姉ちゃんが持っているものが良いのですよね。大人から見たらどうしてそ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ