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深淵の闇と停止した時間  作者: メン
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心理士の数奇な運命

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 それは深淵の闇のなかで始まった数奇な物語だった。それ以来、現実感の湧かない虚無感と円蓮を願って、時には罪人の様に、時には日常に呑み込まれて生きてきた。記憶は薄れ追憶の彼方へと閉じ込められた。生存本能や防衛機先という自分自身の本能が選択した行い…。

 自分が生きていくために、全てを陽炎と化してしまったのかもしれない。改ざんされた記憶と現実に戻る瞬間が最も絶望的で死を願う。ひょっとしたら、救われる詩を願っているかもしれない。待ち望んだ救済は、どれだけ苦しんでも未だ現われはしないのだ。そして、それは永遠に訪れることはないのかもしれない。


 人間には後悔という思考がある「悔いる」という、その憑かれたような思念は私を縛り、足首を掴んでいる。狂気と化したその右腕で私の踝を掴み同化しようとしている。その思念と同化したら、私はどうなるのだろう。興味と好奇と恐怖と絶望が混ざり合う。興味とはどんな色だろうか、恐怖とはどんな臭いだろうか、混ざり合ったとき、そこには何が残るのだろう。形骸化せずに君と逢えたなら、闇夜を恐れた日々も価値がある。自分自身が存在するために深淵の闇へと葬らさらざるを得なかった。しかし、完璧に葬り去れないのであれば眼を逸らさずに向き合おう。生きていかなければならないのであれば。


 私は心理士という職業上、自分の内界とよく向き合う。他者の思考や思念を考察する。ある意味で歴史学と似ていて、答えのない学問であり、だからこそ自分自身を時に苦しめ、時に安らぎを与えるものへと変わる。私は数奇な人生を生きてきた。故に苦しみ、喜び、悲しみ、どれも人よりも多くを感じてきたと思う。良いことも、悪いことも。そしてそれはメビウスの輪のように捻じれたレールで繋がっている。行き先もないまま...。

 現実と夢の区別が段々とつかなくなり、溢れだす記憶で混乱する。これは何かの予兆だろうか。いや、違う。今が何時なのか、何処なのか、何をしているのか、ときどき分からなくなる。幸い、若年性の認知証ではないと慈恵医大病院の先生のお墨付きは貰っているが...。。そうだ、これは自分が生きるために、生きていくために、私は大切なものまで深淵の闇のなかへと葬り去ってしまったオーバードーズの副作用なのだから。

読んで頂き、ありがとうございます。

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