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64話

 砕け散る一本の角と共に抑えられていた電撃があふれ出す。情報を少しだけ収集してわかったけど、一本目の角は鋭利な槍としての機能を持つとともに、電気ウサギが本来持っている電気を抑えるためのストッパーのような役割を担っているらしい。


 つまり一本目の角を破壊すると角での攻撃は減るけれど、圧倒的に電力が増すのだ。ゲーム的に言うとSTRとDEXが下がるけどINTとMPが増える。


 まぁそれにしても増えすぎだろって感じだけど。抑えてた量あふれ出したにしてはフィールドバチバチしすぎだよ。

 でも今回は事前情報があるから、以前とは違う。最初に≪紫電一閃≫で切りつけた足。あれは機動力を多少奪うことでスリップダメージを展開する移動攻撃を制限したかったから。


 そして地上に射出して、何本か刺したままの剣。

 不意打ち気味に放たれた雷の槍、そして槍の軌道上にも展開される電気の道。

 槍は回避できるが後ろまで通り過ぎることによって作られるフィールドが困るのだ。だから杭を打つ。

 通り道に先に剣を置いておく、というか剣が軌道上にあるように立ち回ればいいのだ。あの剣は帯電性、そして電気への耐性が高い剣、役割としては避雷針だ。


 一応思い付きとかではなく、結構有名な攻略法みたいだけど。タンクとかでも金属製の盾を使うのがメジャーらしい。


 とにかく、これで拡大し続ける電気フィールドはある程度抑えられる。そしてここからは、攻めるべき、らしい。僕も実際これ以降はやったことないし。

 攻略情報、本当は調べたくなかったんだけどハナミさんに教えてもらっちゃったし使おうかなって避雷針だけは設置したけど。もし僕だけの攻略法をやるとするならこうだ。


 まずは相手が帯電してる状態、剣で触れているだけでダメージを食らう状態だけどこれは剣とプレイヤーとの距離が遠いほどダメージも低い。つまり長剣とかを使えばダメージを抑えられる。


 だからめいっぱい剣を伸ばす。数本地面にさして避雷針にしているけどまだ【血兎アルミラージ】のストックは十分ある。

 まずは最大射程で様子見。振りかぶるときに≪ライトウェイト≫を起動し、振り下ろすときに発動を終了すれば剣の重さをそのままぶつけながら素早く捌ける。クールタイムごとにこれをする。


【 Action Skill : 《スラッシュ》 】


 狙う場所は足、ではなく胴体、でもない。まだ角だ。当たり前だけどあの角が硬く、武器として使われているのはわかる。でもあれさえ壊してしまえばそれ以降はただの巨大なウサギになるのがわかっているのだ。ならそれを狙わない手はないだろう。


 ただ角が狙えないときはどこに当ててもそれなりに通る。最悪角を狙ったりせずダメージを蓄積させ続けることを目的に剣を振るう。


【 Action Skill : 《雷牙咬差》 】

【 Action Skill-chain : 《雷帝怒涛》 】


「あっぶな!」


 僕が上空にいるわけでも背中にいるわけでもないのに上から雷を降らしてきたのでおかしいと思うと、背中に浴びた雷をそのまま地面へ波のように広げてくる。まだそんなスキル隠してたのか。カッコいい。


 避けるためにスキルを切るまではいいけれどこのままでは波が電気の道を縦横に広げてしまう。しょうがなく血兎の連結を解除し、さらに数本刃を地面にさし、雷を縫い留める。


 こうなるとスリップダメージがきつくなってくる。一応大技扱いだったのか少し休憩している電気ウサギから離れながらポーションを使用する。


 そういえばシバさん生きてるのかな、と思い先ほどまでシバさんが立っていた所を見ると一応少し離れたところで震えながらしゃがみこんでいた。逃げればいいのに……と言いたいところだが怯えて腰を抜かしてしまったのだろうか。


 こちらの体力も全回復、あちらも硬直が終了し、僕の剣は短くなってしまった。ここから効率よくダメージを出すなら……一撃離脱作戦で。


【 Action Skill : 《紫電一閃》 】


 最近自分の速さに慣れてきた。紫電一閃で電気ウサギを通り抜ける真ん中、攻撃がヒットした瞬間にスキルを連携させその後の残心移動をキャンセルする。


 一秒、≪スラッシュ≫、二秒、≪ピアス≫、ウサギが反撃に雷を放つのを回避し三秒、≪ステップ≫を踏み距離を取り、今できる最長での≪一閃≫。

 ダメージ的に三秒が限界だろうか。これ以上留まると不意に未見のスキルで屠られる可能性がある。≪ダッシュ≫で距離を取り、再度ポーションを使用する。


 角と足に何回も攻撃を入れ続けることで徹底的に電気フィールドの発生を抑える。後は自前の動体視力とAGIだけで戦えるはずだ。


 そして離れた位置から僕を赤い瞳で睨みつけるウサギの鼻が小さく鳴いたように見えた。何かくる。


【 Action Skill : 《脱兎之勢》 】


 スキルログが表示されると電気ウサギの全身が紫色の雷のようなエフェクトに包まれる。体にエフェクトが付くタイプはだいたい、突進。


 電気ウサギから見て九十度、真横に感覚とあて勘を信じて跳ぶ。すると僕よりも……いや、僕のダッシュと同じくらいの速度は出ているだろうか。その速度でこちらに突っ込んでくる。≪紫電一閃≫よりも早い?


 剣を振り返そうと右腕をあげるとまたこちらを赤い瞳が捉える。先ほど当たった感覚を信じて横へ回避し続けると、先ほどの速度のままウサギは跳ねまわる。


 速さにはギリギリ目が慣れている。避けれないことはないけれど問題は足元。あの速度で動き回った後にもしっかり電気のフィールドが展開されていた。これでは避雷針なんてあまり意味をなしていないだろう。やっぱり最後まで攻略情報聞いておけばよかった。


 ウサギについていたエフェクトが消えると、先ほどまでのとんでもない速度が収まる。


 え?もしかしてそれ、単純な速度強化のスキル?


 なるほど、なるほどね。ライトウェイトやらダッシュでちまちま稼いでいたAGI補正値にダイレクトに行くスキル、だよね。


 欲しいなぁ。電気ウサギさん、それ、すっごい欲しい。


 今回は正直イベント前の前哨戦というか、リベンジマッチのつもりで来ていたので最悪失敗してもいいと思って挑んでいた。ただ馬の前に人参、ウサギの前に人参、犬の前に速さ強化スキルが置かれてしまったらそりゃモチベーションがマックスまで跳ね上がる。


 そして僕なりの作戦は一撃離脱、ヒットアンドアウェイと言ったけどあれだけじゃない。僕にしかできなくてこの広がりまくった電気フィールドをかいくぐる方法はある。


【 Action Skill : 《マグネットブロー》 】


 先ほどの移動で砕けていたのだろうか。僕の頭よりも大きい、岩と言うべき塊が雷のエフェクトを纏わせ宙に浮いている。ああ、そのスキルもちょっとほしい。もしかしてここら辺全般電気ウサギ倒せば解放されたりする?


 空中に物を出してくれたのなら好都合だ。岩は一つ一つがかなりの速度でこちらに飛来してくるが先ほどよりも遅い。剣を射出。岩の一つに鎖を巻き付けすぐに鎖を巻き、上空へ身を運ぶ。


 上空で狙い撃ちにしようと岩を動かすウサギに対し足に刃を展開。≪スラッシュ≫を角に当てる。まだ足りない。自分に攻撃を当ててしまうからか岩を飛ばさないウサギの角を踏んづけてジャンプ。スキルを使っていないため高度はあまり稼げてないが≪飛燕≫を発動しカバー。


 コマイヌ式攻略。電気フィールドに当たらない場所、空中にいればいいのだ~作戦。


≪空烈閃≫、まだ角は壊れない。地面に避雷針代わりにした剣に向けて鎖を伸ばし離脱。途中で剣を回収しながら上へ跳ねる。飛んでくる岩を半身を逸らすことで回避し、さらに岩を踏んづけてさらに高度を稼ぐ。


 浴びせるように先ほどと反対の足で≪スラッシュ≫、体勢が崩れてもなく、硬直が短いのでもう一度≪スラッシュ≫。電気ウサギは近くにいる僕を岩ではなく、角で振り払おうとする。


 目の前で≪シャドウアサルト≫を起動。続け様に≪ハイジャンプ≫を使用する。


 上空、右から殴りつけるように、まだ壊れない。下と上から挟むように≪クロスカット≫、まだ壊れない。岩を踏み続け稼げるギリギリの最大高度から。まだ壊れない。地上から近づき、離れ、また近づき。まだ壊れない。

 電気ウサギの赤い瞳が僕を捉える。ただそこには最初のように恨みに満ちたどろどろとした視線の奥に、無機質な瞳があった。


 あー、そうか。まぁ結局はAIだしね。


 極限まで高まった集中力により加速された思考の中で、なんとなく次が最後だろうなと思いながら角に剣を押し当てる。


『二本の槍は地に落ち、復讐に満ちた獣はただ哀れな獲物に戻る』


 この後は削りきって倒すのかと思ったけど二本の角を落とした時点でHPが0になるのか、0になったのかはわからないれど、背中にあった血のような模様が全身に広がり、地に伏せたウサギを赤い塊へ変えていく。赤は茶色に、そして土のような色になり地面に沈み込んでいき、姿を消した。


『称号【復讐を跳ね除けし者】を獲得しました』


 うーん、何故か不完全燃焼だ。強敵倒したんだけどなぁ。

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